第3話 Twitterを使ったプランニングで新境地を拓く | デザインってオモシロイ -MdN Design Interactive-
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メイン写真  Webプロデューサー列伝 第22回 
メディアの枠にとらわれない
新しいコミュニケーションを切り拓く
スパイスボックス


スパイスボックス クリエイティブディレクター 神谷憲司(カミヤ ケンジ)


博報堂グループのインタラクティブ・エージェンシーとして、2003年に設立されたスパイスボックス。ネット上でのコミュニケーションプランニングのブレーンとして、これまでに多くの実績を積み重ねており、カンヌ国際広告祭銅賞、東京インタラクティブ・アド・アワードゴールドなど、国内外の広告賞受賞歴も多く、つねに注目を集める存在だ。同社でクリエイティブディレクターをつとめる神谷憲司氏に、スパイスボックスに入社するまでの軌跡から手がけてきたプロジェクトなどについて、じっくりとお話を伺った。



第3話 Twitterを使ったプランニングで新境地を拓く



開始1週間で50万回も再生された「IS parade」


――神谷さんは、2010年にKDDIの“IS series”のTwitterを使ったプロモーションプラン「IS parade」を手がけたそうですね。Twitterのアイコンがパレードするという新鮮なアプローチで、非常にインパクトがあったのをよく覚えています。

IS parade神谷●「IS parade」は、平成22年度(第14回)の文化庁メディア芸術祭エンターテインメント部門で大賞を獲ったということもあって、この秋にもオランダで巡回展示されたりしているので、いまだに何らかのニュースが入ってきてまだまだ進行形のプロジェクトの感じがありますね。一般的にTwitterが世の中で盛り上がってきたのは2009年のことで、2010年の時点では、まだそこまでTwitterを広告キャンペーンに使った例は見当たらなかった。「フォローすると何かがもらえる」とか、その程度のプレキャンペーンが多かったはずです。当時、他ではTwitterを“メディア”だと捉えていましたけれど、僕らはユーザーが日常的に使う“環境”だと思っていました。“自分ごと”化できるネタがないと盛り上がらないなと思ったんですね。ですから、そういうコンテンツ勝負だなと強く思ったんです。

「IS parade」について言えば、どのソーシャルメディアでもできる企画です。あそこでパレードすることが面白いとか、自分がどうにかなっちゃう感覚が面白いとか……当時はつながりを俯瞰で見れるということがなかったので、パレードでつながりを可視化することによって、自分ひとりじゃない、幸せな気持ちになれるということとか……そういうコンテンツが持っている人を動かす力がそもそも重要だと、そういうことを思い返したタイミングだったんですね。

IS paradeもともとメディアアートが好きだったということもあって、「IS parade」でメディア・アーティストの千房けん輔さんと一緒に仕事できたというのは、自分の中でも貴重な経験でしたね。


――当時、Twitter APIを活用した企画というのも、まだまだ見当たらない状況でしたよね。

神谷●まだ情報もあまりない状況でしたね。毎日のように、Saqooshaさん(小山智彦氏/エイド・ディーシーシー)がデモを作って、これができる・できないとやりながら、チャレンジしていったのを覚えています。


Twitterアイコンが花火になった「million play hanabi」


――さらに、KDDIの“IS series”では「million play hanabi」というプロモーションプランも手がけられたそうですね。

million play hanabi神谷●「IS parade」の後に、「IS parade」的な企画が他でどんどん出てくる中で、ネットの閉じた世界の中だけではなくて、この面白さをもっと日常のリアルな世界で広げられたら……と考えていました。それには、PR戦略も欠かせない部分だということで、博報堂のCC局のメンバーと一緒にいろいろと案を出していくうちに、日本の夏の風物詩である花火大会をアイコンでやったらどうなるだろうということになったんですね。最終的に「million play hanabi」は、六本木ヒルズの壁面にTwitterアイコンを花火として打ち上がるようにしたのですが、スタート時間は18:50に設定したんです。それは六本木ヒルズにあるテレビ朝日のニュースお天気情報が始まる時間帯。お天気情報は六本木ヒルズを背景に放映しているんですね。それに映り込むように、お天気情報コーナーに盛り込んでもらって、実際にニュースキャスターのアイコンが打ち上がるという演出も行いました。


――Twitterアイコンが、ネットの世界を飛び出してリアルで体験できるということがかなり新鮮で面白いなと感じました。

神谷●USTREAMとニコニコ生放送で生中継をしつつ、ユーザーさんは自分のアイコンが打ち上がる様子を見るために実際に六本木ヒルズに来てくれました。ちょうど夏休みの最後の期間だったので六本木ヒルズを訪れるのは家族連れが多いということも想定して、お子さんの顔が花火になるのを見たいという親御さんのために、その場で撮影した記念写真が花火になって打ち上げられるというプログラムも行いました。

ソーシャルメディアで、まずネタ元となるコンテンツが大事だなと思った時に、その発想って「ニュースが飛びつくかどうか」ということと同じだなと思ったんですね。そう考えていくと、ちゃんと優秀なコンテンツ、みんなが人に伝えたくなるようなコンテンツを作れば、ニュース・メディアも飛びつくし、ソーシャルメディアのみんなも注目してくれるということが期待できるなと実感しましたね。




(インタビュー/草野恵子 撮影/飯田昌之)



メイン写真 [プロフィール]
神谷憲司(カミヤ ケンジ)

CM制作会社葵プロモーションを経て、2006年にスパイスボックスに参加。KDDI「IS parade」や「million play hanabi」など、ソーシャルメディアを活用したキャンペーンを担当し注目を集める。最新作は三菱自動車の「i-MiEVねぶたPROJECT」。文化庁メディア芸術祭グランプリ、カンヌ国際広告祭銅賞、東京インタラクティブ・アド・アワードゴールドなど、国内外の広告賞受賞歴も多数。

URL http://www.spicebox.co.jp/
求人情報 http://www.spicebox.co.jp/about/recruitment/


[記事リンク]
>>> 第1話 人の心を動かすインタラクティブ広告
>>> 第2話 日本初のインタラクティブ・エージェンシー、スパイスボックス
>>> 第3話 Twitterを使ったプランニングで新境地を開く
>>> 第4話 産官学連携で行われたi-MiEVプロジェクト


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