第3話 渡英、そして独立 | デザインってオモシロイ -MdN Design Interactive-
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々なジャンルで活躍するデザイナーの来歴をたどるシリーズ。今回はグラフィックデザイナーの水戸部博さんを取材し、今日までの足跡をたどります


第3話 渡英、そして独立



水戸部博さん

水戸部博さん


この先どうしようか……



──石岡怜子さんのオフィスでの仕事は順調に?

水戸部●はい。入った当初は、当時「ブレックファースト」に所属していた駿東宏さんや永井裕明さん、野本卓司さんが兄貴分みたいな感じでした。石岡さんが「ブレックファースト」を辞めるとき、仕事も移行するので「今後はあんたが憶えてやらなくてはならないんだよ」と。で、かなり短期間で、濃厚な引き継ぎ研修期間があったんですね。

──じゃあ「ブレックファースト」が予備校みたいなもので。

水戸部●そうです。みなさん僕よりちょっと上の世代なので、先輩というか……仕事場では殺気立っていましたが(笑)なんとなく共同体で。でも、あまり教えてくれないんですよ。「石岡さんのところに来たってことは、できるんだよね」って感じで。そう言われたら「できません」とは言えない(笑)。

──石岡さんのところではどれぐらい?

水戸部●6年弱ですね。ちょうど30歳を前に辞めました。仕事は嫌ではないし、もちろん自分である程度できるようになり、ロケとかも行かせてもらえるようになっていた。だから、環境的にはいいはずなんです。ただ、次第に「この先どうしようか?」と思うようになって。

──オフィスの人員も増えて?

水戸部●いや、そんなに増やさなかったんです。多くて3人、デザイナー2人とアシスタント1人。基本的に序列をつけないで、みんな同等で仕事していたんです。案件はまず社内でコンペをやって、これがいいとなったら全員でやる。だからラフなんかでも、壁に一面貼って、石岡さんが眺めてダメなものはどんどんはがしていく。でも石岡さんも同じように作るので、緊張感がある職場でした。

──で、オフィスを辞めようと?

水戸部●具体的なプランはなかったのですが、漠然と独立しようかと。あと海外に行ってみたいと思ったんですね。向こうにちょっと住むノリが周囲にあったので。で、唯一辞められる理由が「海外に行きたい」だった(笑)。でも、そう言ってから辞めるまで、1年半ぐらいかかりましたね。


イギリス留学後、独立



──海外はどちらへ?

水戸部●ロンドンです。それ以前にプライベートで行ったことがあったし、馴染むところだと思って。音楽もパンクが終わってニューウェイブとか、もろもろ落ち着いた頃だったから。

──どのくらい滞在を?

水戸部●1年ぐらいですね。仕事もちょっとしました。日本人向けの欧州新聞みたいなものを作る話があって、その立ち上げを手伝ったり。基本的には語学学校の生徒だから、表向きは仕事できない。最初はネヴィル・ブロディかピーター・サヴィルのスタジオに入れそうになったんですよ。口を聞いてくれる人がいて。でも、行ってみたら満員。イギリスは外人を雇うのがすごく厳しいので、そんな簡単には無理なんですよね。

──そのままロンドンにいようとは?

水戸部●半分思いました。周りもそういう人ばかりでしたから。でも、たまたま銀座で事務所を開いている友人がいて、彼が「半分使っていい」と言ってくれたんです。そこで帰国後、そこに机を置いて一人で仕事を始めました。そのとき32歳ですね。

──仕事はどのように?

水戸部●営業は何もしなかった。全部知り合いからです。ロンドンに行く前も半年ぐらい、一人で仕事してて、独立するとご祝儀仕事が来るじゃないですか。そういうのもあったし、渡英期間も1年ちょっとだったので、そんなにご無沙汰って感じでもない。戻ってきましたと連絡したら、当時付き合っていた代理店からちょこちょこ仕事が入って、またそこから紹介されて……。

──やはり広告が多かったのですか?

水戸部●そうですね。あと、一番多かった仕事が駿東さんからの紹介。当時、駿東さんがADを務めていた雑誌『03』を「手伝ってくれ」と。エディトリアルは初めだったんです。駿東さんもまったくエディトリアルの手法ではなかったから、ページごとにラフ作ってましたね。僕もそういう方法でしかできないので、素材を全部切り貼りしてから、壁に貼って「ああだこうだ」と。それを新潮社の別館……というかプレハブの編集室があって、そこに通ってやってました。


帝国ホテル ホテルショップ「ガルガンチュワ」バッグ
帝国ホテル パッケージ帝国ホテル パッケージ

帝国ホテル パッケージ帝国ホテル パッケージ帝国ホテル パッケージ

水戸部さんが手がけたデザイン作品より「帝国ホテル」の各種パッケージ

次週、第4話は「グリッドなデザイン」を掲載します。

(取材・文:増渕俊之 写真:FuGee)

水戸部博さん



[プロフィール]

みとべ・ひろし●1959年新潟県生まれ。日本デザイン専門学校卒業後、デザイン事務所数社を経て、石岡怜子デザインオフィスに勤務。渡英をはさみ、90年にフリーランスとして独立。現在、自身のオフィス「grid graphics」を主宰し、広告、CDジャケット、パッケージなどを手がけている





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