第4話 「仕事の速さは品質だ」と… | デザインってオモシロイ -MdN Design Interactive-
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成功を勝ち取れ!異業種からの挑戦

第5回 株式会社ミツエーリンクス 田口公章氏の場合


株式会社ミツエーリンクスの田口公章氏は、自動車業界での経験を持つWebディレクターだ。もともと“夏休みの宿題は7月中に終えるタイプ”の彼、単位時間あたりの仕事量をぎゅっと圧縮し、クオリティを上げながら、さらに仕事量を増やしていく方法を日々積み重ね、実践しているという。「楽して儲けたいだけ(笑)」と軽く語る彼だが、その仕事術はどうやって身につけてきたのか──。彼の新卒時から転職までの軌跡を追います。

第4話 「仕事の速さは品質だ」と思います

──田口さん自身が、仕事上で心がけていることを教えてください。
田口●まず、お客さんに対しては成果を持って答えたいと思っています。ただ単純に「Webサイトを作りました」ということだけでなく、何かしら目標を達成したい。たとえば「資料請求の数を増やす」とか「売上を上げる」とか。Webサイトって、あくまでビジネスのひとつのツールなんですよね。販路のひとつだったり、広告媒体だったり、いろんな側面がWebにはあるわけですけれども……電話やFAXと同じように、単にWebサイトがあるだけでは儲からない。Webサイトをビジネスのどこに位置づけてどう使ったらよいか……ということまでを、お客さんと一緒に考えていきたいと思っています。

──それは大事な視点ですね。
田口●それから、利益をきちっと出したいというのもありますね。会社としてやっている以上、必ず利益について意識しておかなくてはいけないと思いますし、同じ成果を得るなら、少ない時間や手間で利益を出したいと思っています。平たく言うと「楽して儲けたい」だけなんですけど(笑)、そういう動機だけで仕事の効率化をはかりたいと思っています。これは別に会社から言われたことではなく、もともと主体的に効率にはこだわってますし、今後もこだわっていきたいポイントですね。

──「効率重視」というとスクエアな印象ですが、「楽して儲けたい」というのはよくわかります(笑)。
田口●単位時間あたりの仕事の量と質にこだわってるんですよね。品質を上げながら、仕事量を増やしたい。「仕事の速さは品質だ」と思っているので……メールのレスポンスや資料を作る速さについては誰にも負けたくないし、普段からそのために自分用のテンプレートを作っておいたりして、ネタをストックしています。Web制作の仕事って、自分だけでやっているわけではなく、複数の人が関わっていますよね。その中で、たとえば自分の作業が半日遅れたとすると、どんどん他の人の作業が遅れてしまいます。人に迷惑をかけないように、できるだけ自分の時間をぎゅっとおさえて、すべて用意して「後はよろしく」と完全な形で渡してしまえば、次の作業に取りかかることができるわけです。

──なるほど。目の前の仕事に追われてしまうと、そこまで考えが及ばない場合が多いかもしれません。
田口●よく制作現場では大騒ぎになることがありますよね。たとえば「ここまで作りこんだのに、急にお客さんから根本から覆すようなオーダーが来た」とか「明日公開なのにまだできていない!」とか……そういうときにその現場にたずさわっている人たちって、ある意味では「やってる感」がある感じになっていると思います。やりがいがあるというか……。でも、それって本当は“失敗プロジェクト”なんですよね。本当に成功するプロジェクトというのは「何も起こらない」プロジェクトのことだと思うんですよ。「あ、もう終わった」みたいな(笑)。そういう風に、何事もなく結果を出すということを目標にしたいと思っています。自分のたずさわる全部のプロジェクトをそういう風にしたいし、それが出来る人を育てたいですね。……実は今度、僕が講師となって社内で講座をやるんですけれど、それは「ディレクターのためのプロジェクトマネジメント講座」というものになります。

──その講座の内容を、少しここで教えていただけませんか。
田口●まず最初に言おうと思っているのは「プロジェクトマネジメント」とか言うと、何かしら立派な体系があって“選ばれた人しかできない特別な能力”みたいなイメージがあるかもしれないんですが……実はプロジェクトマネジメントって“スキル”なんですね。スキルというのは、訓練すれば誰でもできるということ。練習すればいいんです。要はそれを「知っているか・いないか」、「やるか・やらないか」だけのことなんですよ。

──講座を受けたくなってきました(笑)。
田口●しかも、Webのプロジェクトって全然複雑じゃないですよ。「マンションを建設する」とか「自動車を作る」とか「カメラを作る」とか……そんなプロジェクトに比べたら関わる人も全然少ないし、工程も少ないし……正直言って、特別なスキルはいらないんです。たぶん、いちばんキモになるのはスケジューリングだけ。必要な工程をもれなく見積もってそれに必要な期間を正確に見積もって、そこに必要な人をアサインできるかどうか、あとは進行をうまく管理できるかどうか……だと思います。プロジェクトマネジメントの中でも、段取りの能力を高めていけば、基本的には大概のプロジェクトに対応できるはずです。そうやって、一人ひとりができる仕事の量を、残業をせずに増やしていって、それを社内の全員で実践することができれば、コストを上げずに売上と利益を増やすことができると思うんですよね。

──確かに。どんな仕事にも共通する話ですね。
田口●プロジェクトマネジメントで悩む時間があったら、クオリティを上げることにどんどん集中していくべきだと思います。そうすると得られる結果も大きいし、お客さんの満足度も上がってくるはずです。それは結果、対価の大きさにもつながってくると思いますし……。そうしていくうちに、自分が携わるプロジェクトもどんどん大きくなっていくと思うんですよね。

──なるほど、勉強になりました。ありがとうございました。

(取材・文:草野恵子  撮影:栗栖誠紀)

株式会社ミツエーリンクス
http://www.mitsue.co.jp/
1990年に創業、Webの黎明期から制作会社として数多くの実績を残してきたミツエーリンクス。現在は、顧客企業の経営戦略に基づくコンサルティングからマーケティング、プランニング、制作、分析までを包括的に提供し、多くのクライアントから支持を得ている。また、業界でもいち早くWeb標準準拠に取り組み、日本でのWeb標準牽引役として注目を浴びる存在でもある。



今回で田口公章さんの記事は終了です。次回をお楽しみに!


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