第1話 面白法人カヤックとは | デザインってオモシロイ -MdN Design Interactive-
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鎌倉にオフィスを構える面白法人カヤックは、絵画の測り売りオンラインショップ「ART-Meter」(リアルショップも併設)。ブレインストーミング支援ツール「babooo」や名前から人間関係などを探る「WEB素行調査」、このほかにもブログパーツ、ブリッジメディアなど、さまざまなサービスをリリースし、いま注目を集めている組織である。今回は代表取締役である柳澤大輔氏に、カヤックという組織について、柳澤氏が考えるWebの未来について話を伺った。

第1話 面白法人カヤックとは


自分たちが働いていておもしろい会社


——最初に面白法人カヤックを設立した経緯を教えてください。

柳澤●僕個人としてはWebの仕事をするとは思っていなくて、たまたまなんです。大学を卒業後は、ソニー・ミュージックエンタテインメントに入社して、商品企画を担当していました。学生時代に友人2人といずれは起業をしようと約束していたのですが、そのひとりの貝畑が大学院に進みコンピュータを専門に勉強していたことがきっかけとなり、Webの会社を立ち上げることになりました。カヤックという名前は、貝畑、僕(柳澤)、久場という3人の頭文字をとってつけました。1998年に設立して今年で10周年を迎えるのですが、設立当時から現在まで立ち止まることなく考えながら走ってきたという感じですね。

——「面白法人」というのはどうしてつけたのですか?

柳澤●自分のことをおもしろいという人に限ってあまりおもしろくないということが多いと思うのですが、人をおもしろくさせるというよりは、自分達が働いて楽しい会社、おもしろい会社をつくりたいということで面白法人とつけました。

——現在は何人の社員が働いているのですか?

柳澤●オリジナルのWebサービスを展開するカヤックと、グループ会社でWebの受託制作をしている株式会社CUPPY(クーピー)を合わせて70人弱です。技術者、プログラマーが25人、フラッシャーが11人、デザイナーが15人、ディレクターが12〜3人、管理系が4人くらいですね。ひとつのチームに専属という人はいなくて、プロジェクトに合わせていろいろな業務を兼任しています。プロジェクト以外にも10周年イベント委員会や、セキュリティバックアップ委員会といった委員会もありますし、部もあります。



リアルショップをやってみてわかること


——昨年から飲食店業務もはじめたのですね?

柳澤●ええ、新事業として昨年12月12日からDONBURI CAFE・DINING「 bowls」をはじめました。オリジナルのどんぶりを購入したお客さまがどんぶりを持参するとどんぶりの料金がお得になる「MYどんぶり制度」や、どんぶりの底に「アタリ」が出ると、どんぶり料金の端数が切り捨てられる「どんぶり勘定」といった、カヤックならではの楽しんでいただけるオリジナルのシステムを導入しています。

これをはじめたきっかけは、たまたまオフィスとして借りたビルの1階が空いていたことと、一昨年の秋にカフェ・カンパニーの楠本さんとお会いしたことです。「この人とは何かを一緒にやりたい」と思っていたので最初カフェ・カンパニーさんに店を出しませんかと話をしました。そうしたところ、2階-3階がカヤックのオフィスだったらカヤックでやったほうがおもしろいのではないかという話になって、ちょうど社員の中にもカフェをやりたいというスタッフがいたので彼が4ヶ月間カフェ・カンパニーさんで研修を受けスタートすることにしました。

うちでやるからにはカヤックらしさ、ネットとの連動がないとおもしろくないので、ネット上で「どんぶりのデザインコンテスト」や「どんぶりレシピコンテスト」を開催したり、メルマガを出したりと、ネットを活用した展開に積極的に取り組んでいきたいと思います。飲食は僕たちにとってチャレンジであり、楽しみながらやっています。


1階がDONBURI CAFE・DINING「 bowls」、2階3階がカヤックのオフィスになっている


——カフェのようなリアルショップとインターネットでは違いはありますか?

柳澤●オリジナルサービスのカヤックと、受託業務をしているCUPPYというふたつの業務を展開しているのと同じように、リアルとネットという双方のノウハウを持っていることがうちの特徴だと思っています。昨年は「表参道akarium」や、ブラビアのキャンペーンサイトで銀座ソニービルの壁面色をWebで変えることができる「Live Color Project」などの仕事もやらせていただいたのですが、そういったリアルとネットの連動企画などには積極的に取り組むようにしています。

先ほど話したカフェ「bowls」も同じで、カフェのスタッフに対してはネットの知識の勉強会を開催したり、逆にいつもパソコンの前にいる人間にはカフェの情報を伝えることによって、何か刺激を与えるといったように、常にお互いの情報をフィードバックするようにしています。立地条件も同じビルの1階と2階-3階なので、クロスメディアとしてうまくコラボレーションができていると思いますね。

——自由が丘にも「ART-Meter」というリアルショップを運営していますよね。


「ART-Meter」のサイト http://www.art-meter.com/

柳澤●はい、絵画を測り売りするオンラインショップ「ART-Meter」のリアルショップとして展開しています。そこも1階がショップで、2階がCUPPYの事務所なので、うまく情報交換ができていますね。「ART-Meter」に関してはカフェとは少し違っていて、あくまでもネットがメインで、リアルショップがあったほうが作品のレベルも上がるだろうし、ショールームとしても必要だということでやっています。配送業務もショップでやっていますし。

「ART-Meter」をやってわかったことは、リアルで売れるモノと、ネットで売れるものは違っているということですね。絵のスケール感がネット上だと伝わりにくくて、葉書サイズも大きな絵も同じように見えるのですが、リアルショップだと大きなものはインパクトがあり、家に飾ることを目的として来店されている方も多いので、大きな絵のほうがよく売れます。リアルショップをやってみないとわからないこと、逆にネットだからできることもたくさんあって、その違いと知識がわかるためには、実際に自分達でいろいろな実験をしていくことが必要だと思っています。



(インタビュー/佐伯宗俊(black★bath) 撮影/谷本夏 )



[プロフィール]
面白法人カヤック 代表取締役  
柳澤大輔

1974年2月14日、香港生まれ。慶応義塾大学環境情報学部を卒業後。ソニー・ミュージックエンタテインメントに入社。
1998年、友人とともに合資会社カヤックを設立。2001年、WEBの受託制作を事業とするグループ会社(株)クーピーを設立。
現在(株)カヤックおよび(株)クーピーの代表取締役を兼任

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