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第6回 SEOに効く、良質なコンテンツのつくり方(後編)

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第6回 SEOに効く、良質なコンテンツのつくり方(後編)

2014年11月25日
TEXT:寺田祐也(ヴォラーレ株式会社)


ヴォラーレ株式会社 こんにちは。ヴォラーレ株式会社の寺田です。今回は先日の「SEOに効く、良いコンテンツのつくり方(前編)」に続く後編として、具体的なWebコンテンツの制作ノウハウについて考えていきたいと思います。

前回の記事で「良いコンテンツとはなにか?(なぜSEOに良いコンテンツが必要なのか?)」については理解いただけたと思います。では、そのコンテンツをどのように制作していけばいいのでしょうか? おもにテキストの側面から今回は考えていきましょう。


本記事で取り上げること

・Webコンテンツのライティングで大事なことは?
・ユーザー視点を考えた企画の立て方とは?
・コンテンツの企画を運用する際に注意したいこと

それでは、いってみましょう!


Webコンテンツで大事なことは?

最初に、ひと言で「Webコンテンツ」というと動画やゲーム、写真、イラストなどあらゆるコンテンツが含まれてしまいます。良いコンテンツについての総論的な考え方は表現の方法(クリエイティブ)がなんであれ共通する部分ではありますが、SEOに絡めて、または実際に制作するノウハウとなると私の専門領域である「文章」以外について語れることは多くありません。そのため、ここではWebコンテンツ=文章(ライティング)を前提として考えていきたいと思います。

さて、Webコンテンツで大事なことは? というお題に戻ると、答えはズバリ「企画」です。なぜ重要なのか、コンテンツ制作の流れを考えてみましょう。

コンテンツが世に出るためには、大きく ①調査 ②企画 ③制作 ④検収 という4つの作業工程があります。どれももちろん重要な工程ですが、①はそもそも②のためにある作業ですし、④は完成したコンテンツがまちがっていないかどうかのチェック(校正)なので重要といっても意味が少し異なります。

そして③制作(作稿)は、②企画がないとはじめることができません。誰のために、なんのためにといった視点のない文章は、作者の強い動機によってつくられた小説や物語など「作品」と同じものですし、ビジネスという目的からは大きくズレたものとなってしまいます。

Webサイトは誰のためにあるのか? 改めて説明するまでもありませんよね。「ユーザー視点」に立った企画について考えていきましょう。


ユーザー視点を考えた企画の立て方とは?

ユーザー視点に立った企画は、以下の4つのステップに沿って考えることが重要です。

①ターゲットユーザーのセグメント
②ユーザーニーズ(悩み)の抽出
③ユーザーに気づいてほしいことへの誘導
④上記を満たすコンテンツ企画

最初にあるのは①ターゲットユーザーのセグメントです。

セグメント(分類、属性分け)というと、性別・年代でわけたりペルソナなど細かくユーザーを定義したり、といったことを連想するかもしれませんが、ここでは簡単にニーズの深さ(必要性の度合い)によって4つに分類します。具体的には以下の通りです。

A)明確層…今すぐ商品を必要としている人
B)顕在層…商品が必要かどうか悩んでいる人
C)潜在層…問題解決のために何が必要か調査している人
D)無関心層…特に問題を感じていない人

もう少しわかりやすく、自動車(新車)を購入する場合を例に考えてみると

A)必要な車種や予算が決まっており、複数のメーカーを比べるなど検討段階にある
B)車を買うことは決めているが、自分に必要な車種や購入可能な金額などで悩んでいる
C)家族から余暇の過ごし方に不満を訴えられており、どうすべきか調査している
D)ふだんの生活において特になにも問題を感じていない

という感じでしょうか。

Aがもっとも商品の購入(CV)に近く、Dがもっとも遠い存在となります。このセグメントにおけるポイントは、D→C→B→Aと徐々にCVへ近づくユーザーの気持ちを理解することにあります。年齢や性別、職業、嗜好性などはいったん置いておいて、どのような経過(カスタマージャーニー)から商品を購入するに至るのかを考えてみるといいかもしれません。

次に②ユーザーニーズ(悩み)の抽出です。

前述した自動車を購入するに至るA~Dのユーザーについて何を求めているか(ニーズ)、何が知りたいのか(悩み)を具体的に考えてみましょう。ここで注意したいことは、自社の商品やサービスへと着地させようと考えてはいけません。あくまでもフラットな視点で、彼らの悩みとなりそうなものを可能な限り広く抽出することが大切です。

A)必要な車種や予算が決まっており、複数のメーカーを比べるなど検討段階にある
・高価だけど性能が良い車と安くてまあまあ運転しやすい車とどっちがいいかな?
・ハイブリッド車とガソリン車はどっちを買うべきなのかな?
・メンテナンスや維持費のことも気にしたほうがいいのかな?

B)車を買うことは決めているが、自分に必要な車種や購入可能な金額などで悩んでいる
・将来のことを考えると、大きなサイズの車を買っておいたほうがいいのかな?
・ローンだとすぐ車を買えるけど、購入資金を貯めてから買ったほうがいいのかな?

C)家族から余暇の過ごし方に不満を訴えられており、どうすべきか調査している
・キャンプや旅行に子供を連れて行くのに、楽な方法あるかな?
・家族での思い出づくりには、どうするのがいいのかな?

D)ふだんの生活において特になにも問題を感じていない
・最近は車をもつことよりカーシェアリングのほうが人気あるのかな?
・未来の自動車ってどうなるのかな?

そして③ユーザーに気づいてほしいことへの誘導へとつながります。少し堅く表現すると「態度変容」ともいいます。

つまり②で抽出した悩みに対する答えや、ユーザーがなにを知ることができれば納得して、または喜んでもらえるだろうか、商品を買ってもらえるだろうかを考えていきます。

上述した悩みすべてについて考えると長くなってしまうので、②の悩みの中でもBの「車を買うことは決めている」ユーザーについて考えてみましょう。

B)車を買うことは決めているが、自分に必要な車種や購入可能な金額などで悩んでいる
・将来のことを考えると、大きなサイズの車を買っておいたほうがいいのかな?
→新車は数年したら売却して乗り換えるという視点も重要なんだ!
・ローンだとすぐ車を買えるけど、購入資金を貯めてから買ったほうがいいのかな?
→今は金利が低いから、ローンで買っても支払総額は大きく変わらないんだな!

ここで大事なことは、ユーザー視点を意識して可能な限り「ユーザーがいいそうな言葉」で気づいてほしいことを表現することです。「そうか!」「なるほど!」といった言葉に続くフレーズが浮かんでくれば問題ないでしょう。

最後は④上記を満たすコンテンツ企画となります。上述の続きとして考えてみましょう。「⇒」の先が具体的なコンテンツ企画案となります。

B)車を買うことは決めているが、自分に必要な車種や購入可能な金額などで悩んでいる
・将来のことを考えると、大きなサイズの車を買っておいた方がいいのかな?
→新車は数年したら売却して乗り換えるという視点も重要なんだ!
⇒「ライフステージに合わせた車の買い替えシミュレーション」
(企画概要)5年ごとに車を売却して新車を購入した場合と、最初から大きなサイズの車を購入して乗り続けた場合の金額やメリット・デメリットを比較。乗り替えを定期的に行ったほうがライフスタイルにあわせた最適なサイズで最新技術や燃費性能を備えた車に乗れるという利点があることを訴求します。

・ローンだとすぐ車を買えるけど、購入資金を貯めてから買ったほうがいいのかな?
→今は金利が低いから、ローンで買っても支払総額は大きく変わらないんだな!
⇒「マイカー買うなら現金一括? 優遇ローン? どっちがお得か徹底比較」
(企画概要)近年はゼロ金利政策の影響もあって、銀行系であれば2%前後という低金利が当たり前となっている自動車ローン。購入資金を貯めるまでレンタカーを使うようであれば、支払総額を検討してローンで購入してしまうほうが支払総額ではお得という可能性を解説します。

といったように企画概要までまとめられれば十分です。上記はあくまで一部ですが、A~Dの各階層にセグメントしたユーザーを念頭に置きながら①~④の流れにしたがってコンテンツ企画案を列挙していきます。Webサイトの規模やコンテンツの目的にもよりますが、30~50案くらいは書き出せるかと思います。

コンテンツ企画に落としこむ際に気をつけたいポイントとしては、現実的に制作できるかどうかという視点はいったん頭の中から外して考えるということ。またタイトルにキャッチ感があるかどうか(読みたくなるかどうか)も、ひとまず置いておくといいでしょう。

大事なことは「ユーザー視点に立つこと」なので、こんなコンテンツがあればよろこんでくれるユーザーもいるかも、という広い視野で考えることを優先します。これによって、現状でサイトに必要なコンテンツの候補となぜ必要なのかという理由が網羅された「コンテンツマップ」ができあがります。


コンテンツの企画を運用する際に注意したいこと

さて、「コンテンツマップ」ができたことで必要な記事や企画のイメージがだいたい網羅できたと思います。あとはこれを制作し、Webサイトに実装していく運用段階に入るわけですが、その前に注意しておきたいことが3つあります。

まずひとつは、コンテンツに優先順位をつけて制作していきましょう。現在のWebサイトが抱える課題の中で、A~Dに分類したどのターゲットユーザーに対する施策を強化していけば目標を達成できるのかを精査することが大切です。CVRに課題があるならAでしょうし、そもそもの流入に課題があるならCまたはDへの対策を優先した方がいいかもしれません。

ふたつめは、ユーザーがコンテンツへ到達する「経路」について考えておくことです。検索エンジンから自然流入させるのか、FacebookなどSNS経由で発見されるのか、またはサイト内の特集バナーやリンクなどから遷移するのか、広告を展開していくのか――おもなものとしてはこのような到達経路が考えられますが、ここを考えておくことでコンテンツの文体や温度感が変わってきます。

そして3つめがわりと大切なのですが、「誰が書くのか?」という点です。この点については話すと長くなってしまうので、次回の記事でご紹介できればと思っています。

思いつくまま気の向くままに制作していては、Webサイトに成果を期待できる良いコンテンツをつくることは困難です。ユーザー視点を考えた企画の立て方を理解したうえで、コンテンツマップにもとづいた戦略的なコンテンツ展開が、これからのコンテンツマーケティングを重視したWebサイト運用には欠かせない要素となることでしょう。


最後に

ヴォラーレ開催のセミナーのご案内です。12月10日(水)にSEOを学ぶセミナーを開催します。

ゼロからのSEO担当者育成講座 ~これからSEOの話をしよう~
http://ml.seohacks.net/_2014semim

弊社コンサルタントが数カ月かけて学ぶSEOの内容を6時間に集約して、「SEOをゼロから学べる」形でお届けするという内容です。どうぞよろしくお願いします。



ヴォラーレ株式会社

【著者プロフィール】
ヴォラーレ株式会社
ヴォラーレでは、旧来型の「リンクを使ったSEO」ではなく、技術/マーケティングの両側面からWebサイトを改善していくための本質的なSEOコンサルティングを中心としたWebコンサルティング事業を行っています。

Webコンサルティング、そのなかでもSEOを遂行すべく、WebディレクションやWebデザインに携わる方々に、最新のSEOに関する基本的な考え方・取り組み方をセミナーやメディア寄稿を通して伝える啓蒙活動も行っております。

●ヴォラーレ株式会社:http://www.seohacks.net/

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