
柿木原政広氏によるデザイン術を紹介してきた本連載。最終回となる第4話では、富士中央幼稚園の送迎バスをピックアップ。子ども向けのデザインを行う際に大切にしていることについても語っていただいた。
第4話
子どものためのデザイン
「富士中央幼稚園 送迎バス」
ドットの集合で表現した動物たち

柿木原氏が手がけてきた仕事では、富士中央幼稚園のロゴマークに感銘を受けた方も多いことだろう。クマの輪郭をもとに、さまざまな動物に見立てた表現を試み、卒園証書やTシャツなどのツール展開もされてきたマークだ。
「富士中央幼稚園の仕事にはじめて携わった頃から約8年が経っているんです。毎年、卒園式を訪れているのですが、最初に卒園証書を配った世代は、すでに中学生になっています。とても感慨深いですね」
その一貫としてラッピングした送迎バスがリニューアルの機会を迎え、イラストレーターの大塚いちお氏とともに、再び柿木原氏がデザインを担当することとなった。
「大塚さんのアイデアで、ドットを用いたイラストを採用しました。ここでは、ドットを子どもに見立て、その集合によって1つの世界が作られていることを象徴したのです。ドットの中には、部分的にクマのロゴマークも盛り込んでいます。モチーフとして描いたのは、キリン、クジラ、ウサギなど、クラス名となっている動物たちです」
「大塚さんのアイデアで、ドットを用いたイラストを採用しました。ここでは、ドットを子どもに見立て、その集合によって1つの世界が作られていることを象徴したのです。ドットの中には、部分的にクマのロゴマークも盛り込んでいます。モチーフとして描いたのは、キリン、クジラ、ウサギなど、クラス名となっている動物たちです」
“主役”が乗って完成するデザイン
バスを彩る際には、カッティングシートが活用された。指定原画をもとに、アート工房の職人さんが1枚ずつ切り貼りを行ったという。
「彼の作業は非常に丁寧で、1つずつの玉が忠実にカットされているんです。何ひとつ狂いはないほど、きっちりとした仕事ぶりです。おかげでイメージ通りに、ドットのラインがキレイ過ぎず、人肌を感じさせる優しい味わいを出すことができました」
使用されたカッティングシートは、その透明度にも工夫があった。窓にまたがる部分には、半透明の素材を利用して視界を確保。ただしキリンの首のような、透けてしまうと見栄えが悪い箇所については透明度の低いものが採用された。
「視線を集めるためにも動物を窓に被せる必要はありました。そこは主役が座っている位置ですからね。子どもたちがいて、はじめて完成するデザインなのです。乗車する子どもたちにとっても、自分の目線と同じ高さに動物がいることは、すごくワクワクすることではないでしょうか」
子どものためのデザインに大切なこと
この仕事は以前に高い評価を得た成果物のリニューアルだ。それだけに新規の仕事とは異なる緊張感がともなう。
「過去に完成された世界観が存在するので、それを踏襲しながら新しさを生み出すことは1つのチャレンジでした。“前のほうがいい”なんて言われてしまったらショックですからね(笑)」
「過去に完成された世界観が存在するので、それを踏襲しながら新しさを生み出すことは1つのチャレンジでした。“前のほうがいい”なんて言われてしまったらショックですからね(笑)」
そんなプレッシャーを乗り越え、完成した新たな送迎バス。初のお披露目の場では、喜ぶ子どもたちの興奮を抑えるのが大変なほど好評だったようだ。
「子どものためのデザインにおいて、僕が大切にしているのは“幸せ”なことです。小さい頃の体験はすごく重要ですから、それに対してマイナスに作用するデザインはしたくありません。自分も二児の親ですし、そういったことに無責任であってはならないと思うんですよね」
(取材・文:佐々木剛士 人物写真:谷本夏)
「このアートディレクターに聞く」第22回柿木原政広さんのインタビューは今回で終了です。次回からはDonny. Grafiksの山本和久さんのお話を掲載します。
「子どものためのデザインにおいて、僕が大切にしているのは“幸せ”なことです。小さい頃の体験はすごく重要ですから、それに対してマイナスに作用するデザインはしたくありません。自分も二児の親ですし、そういったことに無責任であってはならないと思うんですよね」
(取材・文:佐々木剛士 人物写真:谷本夏)
「このアートディレクターに聞く」第22回柿木原政広さんのインタビューは今回で終了です。次回からはDonny. Grafiksの山本和久さんのお話を掲載します。
![]() |
●柿木原政広(かきのきはら・まさひろ) |




