第1話 777interactiveの成り立ちとメンバー | デザインってオモシロイ -MdN Design Interactive-
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携帯電話をかけ、その声に反応して表参道のイルミネーションが変化する「akarium Call Project」、ネットユーザーが遠隔操作し、銀座のソニービルを自分の好きな色に変えることができるソニー BRAVIA(ブラビア)「Color Tokyo!〜Live Color Wall Project」など、新しいスタイルのインタラクティブ広告として国内外で数々の賞を受賞し、高い評価を受ける作品を作り続けているのが777interactive(トリプルセブン インタラクティブ)である。今回は「アジア太平洋国際広告祭2008」から戻ったばかりの777interactiveプランナー 益田準也氏に、777interactiveの活動についてや、インタラクティブ広告の現状、国際的な広告祭を通じて感じた日本と海外の違いなどについて聞かせていただいた

第1話 777interactiveの成り立ちとメンバー



プランニングとディレクションの専門家



——最初に777interactiveという会社について教えていただけますか? 

益田●777interactiveは博報堂でCMプランナーだった福田敏也が独立して2003年に設立した会社です。現在は、代表の福田、アートディレクターの鈴木、プランナーとして僕と吉岡、あとは経理担当の女性といった少数精鋭によるメンバーで、基本的にプロダクション機能はなく、プランニングとディレクションを中心としています。

現在はWebの仕事が中心ですが、ここ数年で状況は大きく変化してきて、Web以外にもアウトドア広告をつくることもありますし、時にはパッケージングデザインなどもやったりします。僕たちはインタラクティブに関したプランニングとディレクションの専門家が集まった組織として、インタラクティブな関係になるメディアであれば必ずしもWebにはこだわってはいません。

——少数精鋭だからこその利点というのはあるのでしょうか?

益田●社内にデザイナーなどを抱えていないので、常に外部の優秀なクリエイティブな人たちといっしょに仕事ができますし、また、人数が少ないので、大きなオフィスを構えなくてもいいということもあります。単純に売り上げだけを考えたら制作まですべてを請け負ったほうがいいのかもしれないですが、僕たちはもっといろいろな作品をつくりたいし、たくさんのパートナーと組んで仕事がしたいので。プロジェクトによってはメディアの人と組むこともありますし、クリエイティブチームもプロジェクトに合わせて適材適所がいいと思っています。もちろん自由さもある反面、自分たちでその責任も背負わないといけないのですけど。


——777interactiveのなかで益田さんの役割は?

益田●僕たちはクリエイティブディレクター、アートディレクタ−、プランナーといった肩書きはありますけど、基本的にみんな同じことをしています。僕はメインとしてプランニングも考えますけど、ときにはデザインをおこしたり、コピーを書いたりもします。あと、うちにはプロデューサーがいないので、お金の計算や管理までもやります。それぞれのプロジェクトに担当者がいて、ひとりですべてのことをやっています。メンバーそれぞれの役割というのは明確ではないのです。4人のメンバーのなかでも福田、僕、吉岡は、プランニングが得意なので、プランニングからの仕事が多いですが、アートディレクターの鈴木は、デザイン的な視点からの企画の練り方とか、見せ方を考えていくことが多いです。





アイデアは日常のなかにある



——仕事において益田さんらしさというのは?

益田●777interactiveのなかで、福田は企業サイトのブランディングや、企業ブランドのリニューアルといった大きな規模のプロジェクトが多いのですが、僕はプロモーション広告が多いですね。僕個人としては、わかりやすいものが好きで、あまり複雑なことはしないですね。「akarium」やソニーの「Color Tokyo!」がわかりやすい事例です。ネットユーザー、消費者にとってはわかりやすいものが受け入れられると思うんです。そして、驚き方がわかりやすいほど、消費者も感動してくれるでしょうし。僕もそうですが、ユーザーは面倒くさいことが嫌いだと思うんですね。何かを登録しないと始まらないとか、ゴールまでの段取りが長過ぎるとか、素直に企業やブランドに従わなくてはならないとか、そこまでしてやりたいとはなかなか思わない。ですから、インターネットでインタラクティブを考えたときに、僕は、こちらの都合でユーザーを束縛してしまうことや仕組みが複雑だとか、アウトプットとしてなるだけ簡単なもので、難しいことはできるだけやらないようにしています。

——アイデアはどんなところから出てくるのでしょうか?

益田●アイデアのほとんどは日常に転がっていると思います。Webではないところにおもしろいアイデアのヒントはたくさんあって。企画やアイデアって考えてもすぐに浮かんでくるものではないですよね。ふとした日常の行動や出来事が企画やアイデアになっていくと思うんです。僕たちの仕事って、対象物と人々との出会い方や関係をいかに印象深く演出し、その対象物に関心をもってもらえるのかを考えることだと思います。だからこそ、消費者の日常の世界からあまりにもズレることをしても、また想像のできる当たり前のことをしても誰も関心をもってくれません。ちょっとだけ想像できないことを考える。人々のイマジネーションをかき立てることを考える。具体的には、日常生活からヒントを得て、プロダクトやブランドを掛け合わせ、さらに、ネットになるとユーザーのアクションも掛け合わせ、その科学反応を楽しむ。ですから、アイデアのネタは、日常にたくさん転がっていると思います。僕は普段から日常生活の中でいろいろなアンテナをはっています。

——ほかのサイトも参考にしたりするのでしょうか?

益田●ほかのプロモーションサイトを参考にするよりも、ネット上でいま流行っているモノやアンダーグラウンドなコトを、メジャーな企業のプロモーションサイトで展開したほうがおもしろいですよね。でも、そういったアイデアは単なる手法に過ぎないので、ビッグアイデアにするためには、やはり筋の通ったコンセプトが必要になってきますね。それはCM、新聞広告、グラフィック、インターネットなど、どの広告メディアであっても同じだと思いますけど。



(インタビュー/蜂賀亨 撮影/谷本夏)






[プロフィール]
777interactive プランナー
益田準也 (ますだ・じゅんや)

2001年博報堂アイ・スタジオ入社後、プランナーとして、ネット広告企画、オンラインアド企画、サイト企画など、幅広い領域でプランニング&プロデュースを行う。また、2003年カンヌ国際広告祭の入賞を皮切りに、国内・海外の広告賞を数多く受賞。2005年に博報堂アイ・スタジオを退社し、777interactiveに参加。若手の注目株として、ネットクリエイティブ系の雑誌等にも多々登場している。



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