ドラフトの植原亮輔氏によるデザイン術を紹介してきた本連載。最終回となる第4話では、株式会社アイディーユープラスの企業パンフレットを紹介。工夫満載で好印象な販促ツールだ。
さりげない工夫が光る会社案内
「アイディーユー 企業パンフレット」
確固たる信念を持ったクライアント
アイディーユープラスは、親会社アイディーユーのグループ会社。不動産関連のビジネスを営む企業である。
「アイディーユーは、不動産取引における透明化を目指すオークション/仲介事業や、戦略投資コンサルティングを手がけています。マザーズオークションの運営会社といえばピンとくるのではないでしょうか。そのグループ会社であるアイディーユープラスは、アイデアやデザインの力で土地や不動産物件に付加価値を与える、いわばソフト部門のような会社です」
「アイディーユーは、不動産取引における透明化を目指すオークション/仲介事業や、戦略投資コンサルティングを手がけています。マザーズオークションの運営会社といえばピンとくるのではないでしょうか。そのグループ会社であるアイディーユープラスは、アイデアやデザインの力で土地や不動産物件に付加価値を与える、いわばソフト部門のような会社です」
アイディーユープラスは、文化的な価値と経済的な価値を両立し、社会へ貢献していくことをミッションと掲げる。植原さん曰く「社長はクリエイティブに対する考え方が僕たちに似ていて、積極的にアイデアを提案してくれた」とのことだ。人情味にも溢れた素敵な会社である。
さりげなく幸福なビジュアル
そんなアイディーユープラスのパンフレットのメインビジュアルには、たくさんの人々が何かを見つめながら、笑顔を浮かべる写真が採用されている。
「この会社案内には、make experienceというメッセージがたてられているのですが、ビジュアル面でもそれを意識しました。ただし、あまり押し付けがましくはしたくないとの依頼でしたので、さりげなく幸せそうな雰囲気を表現することにしました」
一方、裏面には植原さん自身が描いたビジュアルを採用。たくさんの花のモチーフからも、じんわりと幸福感が滲み出ている。
「持っていくときの気分に合わせて使い分けたいとの要望に応え、表面の写真は1パターンですが、裏面には2パターンのビジュアルを用意しました。これはクライアントにも大変気に入ってもらえました」
合理的な工夫で個性を生み出す
一般的に企業パンフレットというとコンサバティブなイメージが強い。特にデザインからは縁遠く思われがちな不動産業といえばなおさらだろう。だが今回の会社案内は、そんな紋切り型の印象は全く与えない。たとえば、前述のビジュアルを印刷した用紙の隅に、直接備え付けたポケットも独自性を後押しするアイデアだ。
「そこに事例や会社概要、コンセプトを記載した用紙を収納し、全体をコンパクトに折り畳めるつくりです。今後、中に含める事例がどんどん増えても、そのつど差し込みで対応できる仕様なのです」
個性を感じさせる工夫とはいいながら、安直に奇抜さを追求するのではなく利便性も考慮されている。とかく販促ツールは、受け取る側に軽視されるケースも珍しくないが、このような会社案内なら受け取った側にも喜びがあること請け合いだ。
(取材・文:佐々木剛士 人物写真:谷本夏)
「このアートディレクターに聞く」第24回植原亮輔さんのインタビューは今回で終了です。次回からは徳田祐司さんのお話を掲載します。
(取材・文:佐々木剛士 人物写真:谷本夏)
「このアートディレクターに聞く」第24回植原亮輔さんのインタビューは今回で終了です。次回からは徳田祐司さんのお話を掲載します。