第4話 経験は力なり、継続は力なり | デザインってオモシロイ -MdN Design Interactive-
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転職はゴールではない 3年目の壁、5年目の転機

“仕事の壁”は誰にでもやってきます。そんなとき、ほかのみんなは、どうしているのでしょうか? このコーナーでは、今まさに壁を乗り越えようとしている人、乗り越えて一歩先に進んだ人など、クリエイティブ業界でがんばる仲間たちが登場。これまでの失敗談・成功談や現在の課題、そして将来像を語ります。今の仕事に前向きに取り組み、階段を一段登るためのヒントが得られるはずです!


第4回 株式会社デジタルブティック 相馬哲也さんの場合


株式会社デジタルブティックのデザイン&クリエイティヴチームのマネージャー、相馬哲也さんが、コンピュータの魅力にみせられて情報処理の勉強を始めたのは10代の頃。当時はインターネットが登場する遥か以前。その後のコンピュータの進化とインターネットの登場とともに、パソコンがオフィスにどんどん導入されていく一連の経緯を、実際に経験して来た世代である。そんな彼はプログラマーとしてキャリアをスタート。そして、30歳を過ぎてからWeb制作・デザインの道を模索することに。それはちょうどWeb制作の黎明期でもあった。複数の会社でWeb制作に従事しながら、少しずつ自分の居場所を見つけていった相馬さんに、今までの軌跡や現在の仕事についてお伺いしました。


第4話 経験は力なり、継続は力なり

──現在の会社・デジタルブティックに入社された経緯を教えてください。
相馬●前のWeb制作会社の契約が終了して、少しフリーランスになった期間がありました。とは言っても2ヵ月間だけですが……。

──ということは、そのままフリーランスになるという選択肢もあったわけですね。
相馬●そうですね。「自分の自由な時間に仕事ができる」というのがフリーランスのメリットだと思いますし、どちらかというと、フリーランスの方が性格的には向いていると思うのですが、やはり仕事の安定性を考えると……会社に勤めている方がいいなと感じまして。それで、また会社を探しました。今回はいい会社があったら、久しぶりに正社員として働くのも良いかなと思いまして、紹介予定派遣で探しました。

──なるほど。それで、昨年4月にデジタルブティックに入社されたわけですね。
相馬●はい。紹介予定派遣で4月に入社し、7月には正社員になっていました。最初はシステム担当ということで入ったのですが、秋にはなぜかデザインチームのマネージャーになってました(笑)。

──それは、まさに相馬さんの目指すポジションだったのではないでしょうか。
相馬●まあ、マネージメントは別の領域の仕事も加わるので、それなりに大変な部分はありますけど(苦笑)、私が目指すところの「もっと有機的にプログラムとデザインの両方ををやりたい」という意図を、社長である安西がよく理解してくれたというのはありますね。

──いろんな会社を経験されて来た相馬さんですが、デジタルブティックはいかがですか。
相馬●良い意味でも悪い意味でも、まだまだ小さい会社ですので、まず自分がしっかりしなきゃと思います(笑)。社長の安西がプログラマー出身なので、システムの話はしやすいですし、とりあえず自分なりのやり方で提案してみると、容認されることも多いです。即断即決というか、そういうスピーディな判断ができるところは小さい会社の強みだと思いますね。

──入社して初めて手がけたお仕事はどんなものだったのでしょうか。
相馬●株式会社NHKエデュケーショナルさんの「ゴガクル」ですね。このサイトはNHKの語学番組を活用する方々が、さらに深く楽しく学習するための、ネットならではの特性を生かした学習支援サイトです。かなり盛りだくさんのコンテンツを見ることができるコミュニティサイトで、さらに携帯サイト「ゴガクルモバイル」の企画・運営協力も弊社で担当しています。

──コミュニティサイトは、デジタルブティックさんの創業当時からの核となるテーマですよね。
相馬●そうですね。前の会社でもコミュティサイト運営を担当していたこともあって、自分なりにこの会社に貢献できるだろうという気持ちで入社したのですが、実は10年続いているサイトに関わったのは初めてだということに気がつきました。

──御社で運営されているWebサイト「ベビカム」が、ちょうど今年10周年を迎えられたんですよね。
相馬●そうなんです。この移り変わりの激しいインターネット業界で10年続けることができたというのは、それだけでかなり大変だったと思うのですが、サイトの作りもやっぱり特殊な感じで……自分の想像の範囲を超える部分がけっこうありました。やっぱり長い間に蓄積していたノウハウがあって、それを簡単には変更できないですし。

──なるほど。時代の変化にあわせてサイトを修正して行かなければいけない部分もあると思いますが、蓄積が多ければ多いほど、身動き取れない部分もあるかもしれないですね。

相馬●それで、「ベビカム」という既に膨大な情報量を持ったWebサイトの携帯版を作ろうということで、「ベビカムケータイ」というサイトを構築することになったのですが……最初はどこから手をつけてよいのかわからない状態でした。いろいろ考えた末、PCのページに入っているいろんな要素を削ぎ落として、本文を抽出するプログラムを新たに書いたのです。そうすることによって、PC側が内容を変更すれば自動的に携帯側も変わるように、かなりコストを抑えてサイトを構築することができました。これはプログラミングをうまく使った例ではないかと思います。

──まさに相馬さん自身がこれまで培ってきたいろいろな経験が、シナジー的な効果を発揮したわけですね。
相馬●先月オープンしたばかりなのですが、外出先でも気軽に読める、良いコンテンツができたのではないかと自負しています。

──さて、最後に、今このインタビューを読んでいらっしゃる、転職しようかどうか迷っている読者の方にアドバイスをお願いしたいのですが……。
相馬●そうですね……。経験は力なり。そして、継続は力なり、ということでしょうか。この両方のバランスをよく考えるということですかね。両方大事ですよね。確かにひとつの場所で長く同じことに取り組んでいくとその道でどんどん高いところに行けるわけですし、一方でいろんな仕事の経験値というのも必要ですし……自分でどっちもバランスつけるのは難しいところだとは思います。でも、どうしても「これを経験しておかなくては!」と思うことがあれば、迷わず飛び込んでやってみることがいいんじゃないでしょうか。

──なるほど、とても説得力のあるアドバイスですね。本日はありがとうございました。

(取材・文:草野恵子  撮影:栗栖誠紀)

株式会社デジタルブティック
http://www.digitalboutique.jp/index.html
コミュニティに関する総合的なソリューションを丸ごと提供する、株式会社デジタルブティック。1996年の会社設立時から一貫して「コミュニティ」をキーワードに、さまざまなサイト制作、企画・運営、マネジメント、コンサルティングを行っている。同社が最初に手掛けたコミュニティサイトは、日本中のサーファー達がネットを使ってコミュニケーションする「SurfLink」(1995年)。今で言うCGMであり、サウンドやグラフィックを多用した使いやすいインターフェースは、当時としてはかなり画期的なものであった。1998年には、妊娠・子育てをサポートするコミュニティ「ベビカム」をオープンし、サイトは今年10周年を迎えた。その後も自社運営だけでなく、企業とのビジネスアライアンスを含め、PC、携帯を問わず、さまざまなコミュニティサイトを立ち上げている。


ベビカム(デジタルブティック)

http://www.babycome.ne.jp/

ゴガクル(NHKエデュケーショナル)

http://gogakuru.com/

YOUR BEST DOCTOR(メディファクト)

http://yourbestdoctor.jp/

今回で相馬哲也さんの記事は終了です。次回をお楽しみに!
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