第3話 ストーリーからの派生するもの | デザインってオモシロイ -MdN Design Interactive-
【サイトリニューアル!】新サイトはこちらMdNについて









第2話に引き続き、canariaの徳田祐司氏によってデザインされた作品を紹介し、その制作過程における思考のプロセスに迫る。第3話では、2年連続で「treasured trash project」の企画展に出品された「see you again」について話を聞く。



第3話
ストーリーからの派生するもの
「see you again」




印象的なキーワード



 テーマとして「サスティナブルな地球のためにデザインができること」を掲げて発足した「treasured trash project」。さまざまなクリエイターが参加し、環境問題に一石を投じる作品が発表されてきたこのプロジェクトは、2006年からイベント「Design Tide」で企画展を実施。徳田氏も2年続けて作品を提供してきた。

「もともとゴミや資源の問題に対する強い関心があったわけではありません。もちろん、ある程度の意識は持っていましたが……。だから、これらの作品は、僕が環境問題に向き合うのであれば、このような答え方ができるかもしれない、といったアイデアの一例です」

 1年目には、無料配布のステッカーやタブロイド版の冊子、吹き出し型の会場用プレートなどを作成。2年目となった昨年は、ペットボトルをリサイクルした素材で、ドリンクコースターを発表した。そのすべてにおいて共通しているのが印象的なキーワード「see you again」だ。


ゴミと人との新しい関係


「はじめに“see you again”というセリフがひらめいたのです。そこをスタートラインにして、さまざまなものを作っていきました」
ステッカーやコースターに後から「see you again」と添えたのではなく、その言葉がキーワードとなり、ステッカーやコースターといったものが生まれてきたわけだ。このキーワードが生まれたプロセスを、徳田氏は次のように語る。

「資源を守るためのテーマとしては、リサイクル、リユース、リデュースの“3R”が設定されていて、どれかを選んで表現することもできました。ただ、僕はもう一歩踏み込んで、ゴミと人との新しい関係を提案したかった。どう頑張ってもゴミは出てしまいますが、そのときに“このゴミが再び新しい命を育んで、またどこかで出会うかもしれない”との気持ちを持てれば、“もう少していねいに分別しよう”と思える。捨てるという概念を変えればゴミに対する意識が変わると思ったのです」


「成果物」を超えた創造



 すると、これら作品は「言葉から派生した」とも考えられそうだが、その決めつけも正しくない。さらに、その前段階にはストーリーがあると徳田氏は語る。

「どのような仕事でも同じですが、僕はストーリーを自分の中で熟成させ、それを伝えるために最適なビジュアルや言葉、色などを決めます。たとえば今回の場合には“ゴミが循環するところを想像する=イマジネーションを作り出し、ゴミと人間との新たな関係をつくる”というストーリーが何より重要でした。単なる成果物を超えて、より効率的、よりスマート、そしてよりポジティブなコミュニケーションを提案したいと考えています」

 新たな価値観やコミュニケーションの産出。それは、徳田さんの設立したcanariaが、単なるデザイン会社ではなく、コミュニケーション・デザイン・カンパニーと銘打っている所以でもある。
(取材・文:佐々木剛士 人物写真:谷本夏)


次週、第4話は「自分なりのスタンス」について伺います。こうご期待。







●徳田祐司(とくだ・ゆうじ)
クリエーティブディレクター/アートディレクター。90年武蔵野美術大学視覚伝達デザイン学科卒業後、電通入社。01年から1年半、オランダの KesselsKramerに勤務。03年電通コミュニケーションデザインセンターに戻る。大塚製薬ポカリスエット、キリンビールキリンザゴールドなどの 広告キャンペーンのほかに、adidas『ブルーカードプロジェクト』、JFA「Dream宣言」、MTFG(現MUFG)銀行サインデザインなど、広告 にとらわれない独自のプロジェクトを企画制作する。07年5月電通を退社し、同6月コミュニケーションデザインカンパニー、カナリアを設立。

http://www.canaria-world.com/

twitter facebook このエントリーをはてなブックマークに追加 RSS
【サイトリニューアル!】新サイトはこちらMdNについて

この連載のすべての記事

アクセスランキング

8.30-9.5

MdN BOOKS|デザインの本

Pick upコンテンツ

現在