
canariaの徳田祐司氏によるデザイン術を紹介してきた本連載。最終回となる第4話ではドリームデザインのプロデューサー石川淳哉氏とともに手がけているアートプロジェクト「peace design project『retired weapons』」をピックアップする。
第4話
自分なりのスタンス
「peace design project『retired weapons』」
広がり続けるプロジェクト

徳田氏のライフワークである「retired weapons」。銃口から花が咲くグラフィック「火器から花器へ」は発表当初から大きな注目を集めた。「みんながハッピーになってほしい」との思いを込めたプロジェクトの輪は、その後もジワジワと広がっている。
「広告やデザインの仕事で培った経験とノウハウを、自分たちが食べるためだけではなく何らかの形で、世の中や次世代へ還元できないかと考えてスタートしました。PEACEへの願いを育み、そのための対話のきっかけを作るプロジェクトです。新しいグラフィックを作成したり国内外のイベントに呼んでいただきながら、さまざまな発表を続けています」
2007年には外苑前の「sign」を借り切って期間限定カフェ「cafe retired weapons」を運営。イタリアの「Milano Salone」、ドイツの「DESIGN MAI Youngsters」、ロンドンの「TENT LONDON」と、ヨーロッパ各地での大きな展覧会にも参加してきた。
バラエティ豊かな見せ方
シンボリックなグラフィックと同様、それら展覧会でも心に残る表現を展開。たとえば「cafe retired weapons」では手榴弾型のチョコレート・ケーキを販売。いうなれば「おいしいPEACE」だ。
「武器を食べちゃえ、という発想です。10パターンくらいのラフを作成して、そこからひとつを選んで一流の菓子職人に作ってもらいました。とても好評で用意したケーキはすべて完売しました」

また、4月に招待された「Milano Salone」では、米軍などが実弾演習に使用する標的用の原寸模型「デコイ戦車」に花を飾った。全長10メートル、幅および高さ3.5メートル、バルーンでできた戦車はやわらかく、上に乗ることもできる。さらに、ミラノの街に合わせてステンドグラス調のグラフィックを展示したり、映像を流したりとボキャブラリーに富んだ発表を行ってきた。
自分なりのやり方
エキシビジョンのほかにも、タイの地雷除去に対する資金援助を目的とした販売用ステッカーへグラフィックを提供。慶応義塾大学の学生からの働きかけによりスタートしたものだ。若者にも関心を寄せられるプロジェクト。それは、独特のポジティブさに起因しているのではないだろうか。
「戦争の悲惨さや怖さを突き付ける表現も、戦争反対の1つの方法にはなるでしょう。ただ、僕はそれが自分らしい手法ではないと感じています。僕らしい方法とは、やはりポジティブなアプローチ。だからretired weaponsの作品を見たときの印象がカッコイイやカワイイというのはとても正しい。それが対話のきっかけや入り口になってくれれば充分です」
徳田氏にとってのそれはノンバーバルコミュニケーション、つまりビジュアルでメッセージを伝えること。だからこそ舞台は日本だけでなく世界だった。しかし、それがワールドスケールである必然性はない。誰もが感じる“楽しい ”や“かわいい”といった、ポジティブでデイリースケールなコミュニケーションであっても構わないはずだ。
「置かれている状況は人それぞれ。何かやろうと思っても自分に何ができるのか悩む人も多いと思います。そのような方に対して僕はいつもこう言っています。“あなたらしいやり方でやってみませんか”と」
(取材・文:佐々木剛士 人物写真:谷本夏)
「置かれている状況は人それぞれ。何かやろうと思っても自分に何ができるのか悩む人も多いと思います。そのような方に対して僕はいつもこう言っています。“あなたらしいやり方でやってみませんか”と」
(取材・文:佐々木剛士 人物写真:谷本夏)
「このアートディレクターに聞く」第25回徳田祐司さんのインタビューは今回で終了です。次回からはE.さんのお話を掲載します。
![]() |




