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ITライター・山口真弘の気になるグッズラボ

2018.08.28 Tue

長時間の撮影もラクラク、折りたたみチェアと一体化した三脚

~ベルボン「チェアーポッド H.Y.127」レビュー

 

今回紹介するのはカメラ用の三脚です。もちろんただの三脚というわけではなく、折りたたみ式のチェアと合体したユニークな三脚です。正確には、折りたたみチェアの3本脚のうち1本が上方に伸ばせる構造になっており、その先端にカメラが取り付けられる、と表現したほうがよいでしょうか。

本製品がその真価を発揮するのは、長時間かけての撮影です。立ったままだと時間がかかって疲れきってしまう撮影であっても、これがあれば座った状態でシャッターチャンスを狙うことができ、かつ座ることによって三脚自体も安定するという、一石二鳥の効果があります。チェアと一体化していることが、三脚としての機能を向上させているという、2WAY製品としては理想的な設計です。

三脚にチェアが付属したユニークな構造。座面の高さは47cmと高く座りやすいのが特徴

三脚にチェアが付属したユニークな構造。座面の高さは47cmと高く座りやすいのが特徴

先端には雲台がついています。スペアシューは一眼レフ向けのQB-62規格とやや大きめ

先端には雲台がついています。スペアシューは一眼レフ向けのQB-62規格とやや大きめ

カメラを取り付けた状態。支柱を伸ばさない状態なら人が座らなくても自立していられます

カメラを取り付けた状態。支柱を伸ばさない状態なら人が座らなくても自立していられます

反対側から見た状態。座ったままで伸縮させられます。角度や向きの調整もラクラク!

反対側から見た状態。座ったままで伸縮させられます。角度や向きの調整もラクラク!

支柱部分はチェアに座ったままの状態で伸ばしたり縮めたり、カメラの向きを変えることもでき、その都度立ったり座ったりする必要もありません。チェアの座面は自転車のサドル程度の面積しかなくやや小ぶりですが、折りたたんで持ち運ぶ時に邪魔になりにくいことを考慮すれば、このくらいのサイズが妥当でしょう。

ちなみに重量は1,460gとそこそこあり、構造もかなりがっしりとしています。軽さを優先した三脚とは一線を画する頑丈さで、このあたりはさすが国内メーカーの製品といった印象です。チェアの耐荷重は80kgで、成人男性であれば上回ってしまう可能性もありそうですが、実際に使った限りではひ弱さはまったくなく、かなり余裕を持たせた数値であるように感じました。

座面にCD-ROMを載せたところ。だいたいのサイズ感がお分かりいただけるでしょうか

座面にCD-ROMを載せたところ。だいたいのサイズ感がお分かりいただけるでしょうか

本体を折りたたんだ際も、座面が細長い形状ゆえ、幅を取らずに済む利点があります

本体を折りたたんだ際も、座面が細長い形状ゆえ、幅を取らずに済む利点があります

ただし実際に使ってみると、一般的な三脚では可能であるにもかかわらず本製品にはできないこともいくつかあり、「そうか、確かにそうならざるを得ないよな」と感じさせられることもしばしばです。

ひとつは、三脚の支柱の角度が斜め方向で固定されているために、斜め上方向にしか伸ばせないことです。折りたたみチェアの脚と一体化しているためにこのような構造になっているわけですが、垂直方向に“だけ”伸ばすことができないため、被写体に合わせて高さだけを調整したい場合には、使いづらさを感じるかもしれません。

ちなみに本製品には支柱に追加できる約110mmの延長棒が付属しますが、これも角度が変えられるわけではありません。

横から見た状態。支柱を伸ばさずもっともコンパクトにした時はかなりの安定感があります

横から見た状態。支柱を伸ばさずもっともコンパクトにした時はかなりの安定感があります

最大まで伸ばした状態。ナナメ方向にしか伸びないため、高さだけを調整するのは苦手です

最大まで伸ばした状態。ナナメ方向にしか伸びないため、高さだけを調整するのは苦手です

もうひとつは、カメラを取り付けた状態では、人がつねに座っていなくては倒れてしまうことです。前述の通り、本製品は支柱が斜め方向に伸びるため、カメラを取り付けた状態は重心がかなり先端に寄った状態になります。カメラなしであれば支柱を伸ばした状態でもギリギリ自立できますが、カメラを取り付けているとそうはいかず、人が座っていなければ容易に転倒してしまいます。

つまり撮影中にチェアから立って離れる場合は、カメラを取り外してやらなくてはいけません。チェアにまたがっている場合は、両足で三脚を挟んだ格好のまま軽く腰を浮かせた段階で気がついて「おっとっと」となるので事故は防げそうですが、軽く横から腰掛けているような場合は、立ち上がった瞬間に転倒している危険があります。

カメラはクイックシューごと外せばよいので、取り外す手間自体はそれほどかかりませんが、一般的な三脚にはない特性だけに、習慣付けはしておきたいところです。

カメラを取り付けたまま支柱を伸ばした状態では、座っていないとバランスを崩して転倒してしまいます。このあたりは三脚というよりもむしろ一脚の特性に近い印象です

カメラを取り付けたまま支柱を伸ばした状態では、座っていないとバランスを崩して転倒してしまいます。このあたりは三脚というよりもむしろ一脚の特性に近い印象です

このほか、一般の三脚とは異なり、脚の間隔を広げることができないのも、本製品ならではの特徴です。もともと本製品の接地点は正三角形ではなく、やや細長い二等辺三角形であるため、横方向に倒れやすいのも、気をつけたほうがよいポイントのひとつです。

むしろこうして考えると、特性自体は三脚よりもむしろ一脚のそれに近く(実際にチェア部分を折りたたんで一脚のように使うこともできます)、一脚にチェア機能を追加することで自立“も”可能にしたもの、と考えたほうが、適した用途が見えてくるような気もします。

以上のように、癖は少なからずある製品ですので、ものすごく便利だと絶賛する人と、自分のニーズにはいまいち合わないという人、両極端に評価が分かれそうな製品です。とはいえ、あくまでも用途による向き不向きの問題であって、製品の品質など根本的なところでの不安はありません。購入にあたっては、今回紹介したようなメリットとデメリットの両方を頭に入れた上で、頭の中で用途をシミュレーションしつつ(これが重要)、可否を検討してみてはいかがでしょうか。

製品名:チェアーポッド H.Y.127
実売価格:19,850円
発売元:ベルボン
Amazon:https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B0799LDXHN/mdndi-22/

[筆者プロフィール]
山口 真弘(やまぐち まさひろ)
ITライター。PC周辺機器メーカーやユーザビリティコンサルタントを経て現職。各種レビュー・ハウツー記事をWEBや雑誌に執筆。最近は専門であるPC周辺機器・アクセサリに加え電子書籍、スマートスピーカーが主な守備範囲。著書に『ScanSnap仕事便利帳』(ソフトバンククリエイティブ)『PDF+Acrobat ビジネス文書活用[ビジテク] 』(翔泳社)など。Twitter:@kizuki_jpn

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