容量不足での録画ミスを未然に防止! 残り容量を本体のLEDで把握できる外付ハードディスク~バッファロー「HDV-SAMU3-A」
TEXT:山口真弘(ITライター)
テレビ番組をハードディスクに録画していると、知らず知らずのうちに、容量がいっぱいになりがちです。これまで過去の番組を消しながらハードディスクの容量をうまくやりくりしていたのに、ちょっと目を離した隙に満タンになっていて、予約していた番組が録画できていなかった……そうしたトラブルの経験は多くの人にあることでしょう。
こうした人にお勧めできるのが、バッファローが発売している、残量表示がついた外付ハードディスク「HDV-SAMU3-A」シリーズです。これを使えば、わざわざレコーダーやSTBの設定画面を開かなくとも、本体のLEDでおおよその残り容量を把握できますので、容量不足で録画できなかったというミスを、未然に防ぐのに役立ちます。
置き方は横向きに固定されており、縦に置くことはできません。レコーダーやSTBに並べて縦置きしたい場合もあるかもしれませんが、無理に縦向きに置くのは配線に無理が生じるほか、放熱構造にも悪影響を与える可能性が高いため、避けたほうがよいでしょう。この記憶デバイスで、メーカーが推奨しない置き方をするのは、製品寿命からもご法度です。
特徴的な構造としては、ケーブルカバーの存在が挙げられます。本製品は向かって右側面にケーブルを接続するのですが、それをケーブルカバーで覆うことにより、ケーブルの差込口を隠しつつ、ケーブルを背面側に引き出すことができます。結果として、正面から見ると、ケーブルがないスッキリとした見た目を実現できるほか、うっかりケーブルを引っ掛けて抜く事故も防げるというわけです。
2段目までのLEDは緑色で、残り20時間を切った時に点灯する3段目のLEDは赤色なので、ひとまず「赤いLEDが点灯していなければ概ね翌日までは問題ない」と見なすことができます。LEDがいくつ点灯しているかを遠くから見分けるのは困難ですが、緑か赤かははっきりと視認できますので、視力が低い人でもわかりやすいでしょう。
ちなみに「残り20時間」「残り2時間」という基準は固定されており、変更することはできませんが、わざわざ変更する必然性はあまり感じません。というのも、残り20時間分の録画が可能であれば、それはつまり翌日のほぼ同時間帯までは(同時に複数チャンネルの録画さえしなければ)容量を持たせられるという、非常に分かりやすい基準だからです。
もし、この基準を任意に変更できてしまうと、「残り約1日」というわかりやすい基準が崩れ、直感的に把握するのが難しくなりますし、そうした設定を変更するためには、別途ソフトウェアも必要になることでしょう。本製品はソフトウェアのインストールなしでこの残量表示を実現していることがひとつの売りですので、やたらと複雑にせず、わかりやすい基準値で固定しているというのは、正しい判断と言えそうです。
ちなみに残量表示の3つのLEDの上には、電源のLEDがあるのですが、このLEDはドライブが壊れる予兆がある場合にバックアップを促す「みまもり合図 for AV」の通知機能を兼ねています。ここがオレンジに点灯もしくは点滅していれば、データをすみやかに移行する必要あり、というわけです。これだけの機能がソフトウェアなしに提供され、つなげるだけで使えるのは、画期的と言っていいでしょう。
ただし、これら機能は録画機能を持つあらゆるテレビやレコーダー、STBで使えるわけではなく、メーカーによっても違いがあるほか、ピンポイントで対応していない製品もあります。手持ちの機器で確認した限り、そこそこ対応がシビアな印象なので、購入前には必ずメーカーサイトで型番を調べ、確認を取ることをオススメします。
まず、ハードディスクとしての読み書き自体は、PCでもまったく問題なく利用できます。一般的なUSB接続の外付ハードディスクですので、これは当然でしょう。ちなみに購入時点ではWindows向けのNTFS形式でフォーマットされていますが、exFAT形式でフォーマットすれば、WindowsとMacで共用することもできてしまいます。
ただし残量表示機能は、PCでの利用には、残念ながら公式には対応していません。実際には残り容量に応じてLEDの点灯状態が変化することもあるようですが、試した限りでは実際の残り容量に対するLEDの表示段階が正確ではありませんでした。
そもそも、1日で録画可能な容量の上限がほぼ決まっているテレビと違い、PCは1日に何GB保存するか分かりませんので、テレビ録画のように「赤いLEDが点灯したら最速で明日には容量が一杯になる」という見分け方ができず、いまいち利用方法に即していません。あくまでも通常の外付ハードディスクとしてのみ、使うほうがよいでしょう。
本製品は、あまり細かな設定はできないものの、テレビ録画に絞って、シンプルに残量を表示してくれるという意味で、これから外付ハードディスクを買う場合には、よい選択肢といえます。当初からPCで使う場合でも、本製品を購入しておき、テレビ用途でも使えるようにしておくというのも、賢い方法と言えます。メーカーのバッファローでは、HDDに録画した番組の引越サービスなども今後提供していくとのことなので、そのあたりのサービスの拡充も期待したいところです。
山口 真弘(やまぐち まさひろ)
ITライター。PC周辺機器メーカーやユーザビリティコンサルタントを経て現職。各種レビュー・ハウツー記事をWEBや雑誌に執筆。最近は専門であるPC周辺機器・アクセサリに加え電子書籍、スマートスピーカーが主な守備範囲。著書に『ScanSnap仕事便利帳』(ソフトバンククリエイティブ)『PDF+Acrobat ビジネス文書活用[ビジテク] 』(翔泳社)など。Twitter:@kizuki_jpn
2018.12.18 Tue