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ITライター・山口真弘の気になるグッズラボ

2019.04.09 Tue

かわいいだけじゃない実力派、USB PDでスマホを急速充電できるダンボーのモバイルバッテリー

ITライター・山口真弘の気になるグッズラボ 
かわいいだけじゃない実力派、USB PDでスマホを急速充電できるダンボーのモバイルバッテリー
~ティ・アール・エイ「cheero DANBOARD 10050mAh PD18W」レビュー

2019年04月09日
TEXT:山口真弘(ITライター)

漫画「よつばと!」に登場するキャラクター、ダンボーをモチーフにしたcheeroのモバイルバッテリーは、ネットで多くの人が目にしたことがあるはずです。ダンボーは数多くのコラボが行われているため、「よつばと!」は未読でもダンボーだけは知っている人もいるでしょうが、たびたび新製品を投入しているこのcheeroのモバイルバッテリーが、ダンボーの知名度向上に果たした役割は、非常に大きいものがあるように思います。

そんなダンボーの意匠を採用したモバイルバッテリーの最新モデルが、今回紹介する「cheero DANBOARD 10050mAh PD18W」です。

標準的なカラー(ミルクチョコ)以外に4色のカラーバリエーションが用意されます

標準的なカラー(ミルクチョコ)以外に4色のカラーバリエーションが用意されます

USB-CtoCケーブルとUSB-AtoCケーブルが付属します。左下は収納用ポーチ

USB-CtoCケーブルとUSB-AtoCケーブルが付属します。左下は収納用ポーチ

本製品の特徴はなんといってもダンボーの頭部を模した外観にありますが、そのキャラクター性だけではなく、モバイルバッテリーとしても実はかなりの実力派です。

まずひとつは容量です。最近のモバイルバッテリーは、スマホのバッテリーの大容量化に伴い、かつて主流だった数千mAhから、10,000mAh程度の容量が標準となりつつあります。本製品は10,050mAhということでこの基準をクリアしており、スマホを1回フル充電しても残量には余裕がありますので、日々の持ち歩きでも困ることはまずありません。

もうひとつは、USB Type-Aに加えてもうひとつ、USB Type-Cのコネクタを搭載しており、USB PD(USB Power Delivery)による急速充電が利用できることです。

急速充電の統一規格であるUSB PDは、Androidスマートフォンのほか、専用ケーブルを用いることで最新のiPhoneでも対応しますが、その多くは18W(9V×2A)での充電が最大値となります。本製品はその18Wでの充電に対応していますので、これらのスマホと接続することで、規格上もっとも速いスピードで充電が行えるというわけです。

USB PDであれば、通常に比べて2倍はおろか3倍近いスピードで充電できる場合もありますので、外出先で急いで充電したい場合に効果を発揮します。単純に容量だけで見るとUSB PD非対応のモデルに比べて割高ですが、今後はUSB PD対応が当たり前になっている可能性も高く、いま新しくモバイルバッテリーを購入するのであれば、本製品のようにUSB PDに対応したモデルが長期的な観点からもおすすめです。
スマホなど対応デバイスに最大18WでのUSB PDによる急速充電が行なえます

スマホなど対応デバイスに最大18WでのUSB PDによる急速充電が行なえます

Androidの場合、急速充電中であることがこのように画面に表示されます

Androidの場合、急速充電中であることがこのように画面に表示されます

ちなみに、USB PDに対応したデバイスとしては、スマホ以外にタブレットやノートPCもありますが、それらは30Wや45W、あるいは60Wに対応した製品がほとんどですので、そこに最大出力18Wの本製品をつなぐと、充電がまったく行えない場合もあれば、低速であっても給電が行える場合もあります。これらの挙動は、デバイス側の設計に依存しており、実際に試さなければわからないことがほとんどです。

最近は後者、緩やかであっても充電できるデバイスが増えてきているようですが、そもそも出力が不足しているため多くは期待できず、基本的にスマートフォンでのみ使用できると考えておいたほうがよいでしょう。これは本製品に限らず、最大18WのUSB PDに対応したモバイルバッテリーすべてに言えることで、製品の不具合ではありませんので、注意したいところです。

なお、USB PDでの高速充電が行えるのは、USB Type-Cポートを使った場合のみです。本製品は従来のUSB Type-Aポートと、USB Type-Cポートの計2基を搭載していますが、USB PDが使えるのは後者のみです。また最大18Wでの充電を行うためには、USB Type-Aポートに何も接続されていない必要があるとのことで、同時利用が多い場合は気をつけたいところです。

Type-AとType-C、2基のUSBポートを搭載。合計18Wの出力に対応します

Type-AとType-C、2基のUSBポートを搭載。合計18Wの出力に対応します

本体に印字されたUSB PDの出力値。スマホでは主に「9V-2A」が使われます

本体に印字されたUSB PDの出力値。スマホでは主に「9V-2A」が使われます

ところで、ものづくりの観点から注目したいのが、本製品に描かれているダンボーの顔(目や口)は塗装ではなく、モールド加工によって実現していることです。

一般的に、こうした製品にモールド加工を行うためには、専用の金型を作らなくてはならず、生産数によってはコストを償却できない可能性もあることから、コストのかからない塗装で済ませるという判断になりがちです。その結果、ちょっとした衝撃ですぐ塗装が剥がれがちな、質の低い製品ができあがってしまうというのが、多くのキャラクターグッズに見られるパターンです。

その点、本製品はわざわざモールドを入れるというコストのかかる手法を取り入れています。すでに実績のある製品であり、ある程度の生産数が読めるという事情ももちろんあるでしょうが、いずれにせよメーカーのこだわりが感じられます。クラフト調のパッケージも含め、デザイナーの方であれば興味深く感じられるポイントではないでしょうか。

ダンボーの顔は塗装ではなくモールド加工。右上にあるのは残量表示のLED

ダンボーの顔は塗装ではなくモールド加工。右上にあるのは残量表示のLED

クラフト調のパッケージ。バッテリー本体のデザインと統一感があります

クラフト調のパッケージ。バッテリー本体のデザインと統一感があります

ところで使い勝手の部分で気をつけておきたいのが、本製品は本体バッテリーの充電を行いながら、外部デバイスの充電が行えないことです。

本製品のUSB Type-Cポートは入出力兼用ですので、本体バッテリーの充電中はUSB Type-Cポートが塞がってしまいます。物理的にケーブルが挿せない以上、本体を充電しながらUSB Type-Cポートを使ってデバイスの充電が行えないのは当然なのですが、もうひとつのポート、つまりUSB Type-Aポートを使ってのデバイスの充電についても、本体を充電しながらでは行えません。

実験してみたところ、本体の充電中にUSB Type-Aポートにデバイスをつないだ場合はまったくの無反応で、本体を充電しているケーブルを取り外してボタンを押すと、デバイスへの充電が開始されました。つまり完全な排他利用になっているわけです。

こうした「コンセントからモバイルバッテリーへの充電」「モバイルバッテリーからデバイスへの充電」を同時に行える機能は、一般的にパススルー充電機能と呼ばれます。モバイルバッテリーによってこのあたりの対応はまちまちなのですが、本製品はこの機能には「非対応」ということになります。使い方によってはネックになる可能性もありますので、予め知っておいたほうがよさそうです。

この点さえ問題でないということであれば、スマホに適した最大18WのUSB PDに対応しつつ、2本のケーブルやポーチなど付属品も充実し、またカラーバリエーションも豊富に用意されている本製品は、1台目のモバイルバッテリーとしても、また容量の小さいモバイルバッテリーからの買い替えにも、お勧めできる製品です。
本製品は厚みはややありますが、そのぶんスマホと比べてもフットプリントははるかに小さく、また軽量ゆえ持ち歩きに負担になりにくいのも、メリットと言えそうです

本製品は厚みはややありますが、そのぶんスマホと比べてもフットプリントははるかに小さく、また軽量ゆえ持ち歩きに負担になりにくいのも、メリットと言えそうです

製品名:cheero DANBOARD 10050mAh PD18W(CHE-096)
実売価格:5,980円
発売元:ティ・アール・エイ
Amazon:https://www.amazon.co.jp/dp/B07K3Z28QQ/
[筆者プロフィール]
山口 真弘(やまぐち まさひろ)
ITライター。PC周辺機器メーカーやユーザビリティコンサルタントを経て現職。各種レビュー・ハウツー記事をWEBや雑誌に執筆。最近は専門であるPC周辺機器・アクセサリに加え電子書籍、スマートスピーカーが主な守備範囲。著書に『ScanSnap仕事便利帳』(ソフトバンククリエイティブ)『PDF+Acrobat ビジネス文書活用[ビジテク] 』(翔泳社)など。Twitter:@kizuki_jpn

著者プロフィール

山口真弘
ITライター
PC周辺機器メーカーやユーザビリティコンサルタントを経て現職。各種レビュー・ハウツー記事をWEBや雑誌に執筆。最近は専門であるPC周辺機器・アクセサリに加え電子書籍、スマートスピーカーが主な守備範囲。著書に『ScanSnap仕事便利帳』(ソフトバンククリエイティブ)『PDF+Acrobat ビジネス文書活用[ビジテク] 』(翔泳社)など
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