E Ink電子ペーパー採用でより使いやすく、ToDo機能も搭載した6型電子ノート~シャープ「WG-PN1」レビュー
TEXT:山口真弘(ITライター)
最近はビジネスの会議や打ち合わせの席でスマホやタブレットを使ってメモやノートを取るのも一般的になってきましたが、そうした席でスマホを取り出してポチポチやっていると、なにやら遊んでいるように誤解されるという、笑うに笑えない問題も一部にあります。
またそれ以前に、私物のツールをビジネスに持ち込むこと自体、許可されていない会社もあるでしょうし、仮にその点は問題なかったとしても、もっと紙のシステム手帳を使う感覚に似た、手書きでメモを取れる製品がほしい人もいるのではないでしょうか。
こうしたニーズにぴったりなのが、シャープの電子ノート「WG-PN1」です。11月14日に発売されるこの製品、今回はメーカーから発売前の試作機を借用しましたので、どんな製品なのか、従来モデルとどこが変わったのかをチェックします。
筆者自身、初代の頃から興味はあったのですが、まるで90年代のDSTN液晶を思わせる暗さがどうしてもネックで、実際に使ってみようという気になりませんでした。ところが今回の新製品は、液晶に変えてE Ink電子ペーパーを採用したことで、まるで別物のように画面が明るく、見やすくなりました。
電子ペーパーと言えば、一般的に液晶に比べるとレスポンスは決して早くはありませんが、本製品を使って手書きでメモを取るスピードは、タブレットを使った場合のそれと大差はありません。写真で見ると、従来モデルとの明るさの違いは一目瞭然です。
ところで本製品の特徴は、通信機能を搭載せず、単体ではネットワークに接続できないことです。これは不便と捉える人もいるでしょうが、私的デバイスの持ち込みを禁じている会社でも、この特徴をアピールすれば、許可が得られる可能性もあるので、必ずしもマイナスばかりとは言えません。ノートを画像としてPCに書き出す時も、USBでの有線接続となるため、ネットワーク経由の不正アクセスによる漏洩の心配もありません。
また画面ロックの設定や、暗証番号の入力に10回失敗すると翌日まで利用できない仕組みなど、盗難や紛失の対策もしっかり用意されています。万が一にでも他人に見られると困るノートやスケジュールは、スマホを使わずに本製品で管理するというのも、ひとつの手かもしれません。
ノートにはさまざまなテンプレートが用意されており、目的に応じて呼び出して使えます。リフィルが選び放題のシステム手帳と考えると、紙の手帳を愛用するユーザーの中には、魅力的に感じる人も多いのではないでしょうか。ペン先などの種類も豊富です。
例えば、再来月末まで2ヶ月におよぶプロジェクトがあれば、テンプレートを選んだあとに、期限を次月末までに設定することで、新しいスケジュール帳が作成されます。目的に合わせたシステム手帳向けのスケジュールシートを、必要な期間ごとに買い足していくイメージです。
紙で管理する場合との違いは、この完了済みタスクを、処理済みのページに行単位で移動できることです。見た目が紙のノートに近いにもかかわらず、デジタルならではの動きも可能という、紙とデジタルのいいとこ取りをしたような機能です。
スケジュールやノートへの移動も行えるので、それらの補完機能としても秀逸です。なにより使いやすいタスク管理ツールとして、むしろこの機能だけを単体でほしい人も多いのでは? と、今回使ってみて感じました。
また今回のモデルでは、画面最下段に「Schedule」「Notebook」「To Do」と書かれたメニューバーが新設され、これらをタップすることで各機能のトップに移動できるようになったのですが、画面の端ということもあってか、反応はイマイチです。タッチパネルが感圧式ゆえの弱点で、何度か繰り返し押さないと反応しないこともしばしばで、このあたりが(メニューバーの配置も含め)もう少し整理されれば、さらに使い勝手がよくなりそうです。
従来の画面が暗いモデルは個人的にはちょっとおすすめしづらかったのですが、今回のモデルは完成度も高く、十分におすすめできる出来です。店頭で見かけたらチェックしてみてください。
山口 真弘(やまぐち まさひろ)
ITライター。PC周辺機器メーカーやユーザビリティコンサルタントを経て現職。各種レビュー・ハウツー記事をWEBや雑誌に執筆。最近は専門であるPC周辺機器・アクセサリに加え電子書籍、スマートスピーカーが主な守備範囲。著書に『ScanSnap仕事便利帳』(ソフトバンククリエイティブ)『PDF+Acrobat ビジネス文書活用[ビジテク] 』(翔泳社)など。Twitter:@kizuki_jpn
2019.11.12 Tue