Windows 7→10への移行にも最適、古いノートPCを爆速化するSSD換装キット~エレコム「ESD-IBシリーズ」レビュー
TEXT:山口真弘(ITライター)
PCを高速化する方法は、メモリの増設やCPUのアップグレード、OSの再インストールなどさまざまですが、一昔前のWindowsノートを使っているのであれば、ハードディスクをSSDに交換するのが効果的です。コストパフォーマンスの高さ、および効果の大きさを考えれば、メモリの増設などよりも前に真っ先に検討すべき方法と言えます。
ハードディスクからSSDに交換するには、SSDを買ってきてノートPCを分解し、ハードディスクと取り替えることになりますが、クリーンインストールをせずに現在のWindows環境をそのまま移行するには、環境コピーソフトが必要になります。また両者を接続するためのケーブルなども必要で、無計画に始めてしまうと途中で足りないモノが出てきて、頓挫することになりがちです。
こうした「ハードディスク→SSD」への換装に必要なハード・ソフトをセットにした製品が、サードパーティーメーカー各社から発売されています。今回はその一つ、エレコムの「ESD-IBシリーズ」について、メーカーから借用した機材を用い、実際に換装を行ってみました。
インストールが終わったら、同梱のSSDを付属ケースに入れてノートPCとUSBで接続し、「HD革命 Copy Drive Lite」を起動。コピー元とコピー先のドライブを尋ねられますので、前者はノートPC内蔵のハードディスク、後者はSSDを指定して、コピーを実行します。容量や、ハードディスクの性能にもよりますが、長くても30分ほどあれば、データのコピーが完了します。
ちなみにこの場合、コピー元のハードディスクよりも、コピー先のSSDの容量のほうが大きくなくてはいけない……と言いたいところなのですが、仮にコピー元のハードディスクが500GB、コピー先のSSDが240GBだったとして、コピー元ハードディスクの中に入っているデータがSSDからあふれなければ、そのままコピーできます。必ずしもドライブの容量が上回っている必要はありません。
交換を終えてノートPCを起動すれば、これまでとまったく同じ環境が、SSDから起動します。この時点で、起動のスピードが従来に比べて大幅に高速化していることに気づくでしょう。今回の場合、ストレージ用ベンチマークソフト「CrystalDiskMark」で計測したところ、読み書きの速度がおよそ4~5倍にスピードアップしていました。
なお、新しいハードウェアに置き換えることで、何らかのエラーが起きる場合もあります。今回の場合、SSDに換装して起動するところまでは問題なく行えたものの「DPC Watchdog Violation」というWindows 10でSSDを使った場合に頻出するブルースクリーンが多発しました。ネットで対処方法を検索し、手動でドライバを置き換えることで解決しましたが、こうした問題が皆無でないことは、知っておきたいところです。
なお今回紹介しているのはシリーズの中で最小容量の240GBですが、Windows 10のアップデートを今後快適に行うためには、容量に余裕がある340GBや500GBなど上位モデルを買い求めるのがお勧めです。前述のように、外付けハードディスクに移行できるデータがあまりない場合は、最初から大容量のモデルを選んでおくのが、賢いやり方と言えそうです。
山口 真弘(やまぐち まさひろ)
ITライター。PC周辺機器メーカーやユーザビリティコンサルタントを経て現職。各種レビュー・ハウツー記事をWEBや雑誌に執筆。最近は専門であるPC周辺機器・アクセサリに加え電子書籍、スマートスピーカーが主な守備範囲。著書に『ScanSnap仕事便利帳』(ソフトバンククリエイティブ)『PDF+Acrobat ビジネス文書活用[ビジテク] 』(翔泳社)など。Twitter:@kizuki_jpn
2020.01.08 Wed