第3話 北海道から東京へ | デザインってオモシロイ -MdN Design Interactive-
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転職はゴールではない 3年目の壁、5年目の転機

“仕事の壁”は誰にでもやってきます。そんなとき、ほかのみんなは、どうしているのでしょうか? このコーナーでは、今まさに壁を乗り越えようとしている人、乗り越えて一歩先に進んだ人など、クリエイティブ業界でがんばる仲間たちが登場。これまでの失敗談・成功談や現在の課題、そして将来像を語ります。今の仕事に前向きに取り組み、階段を一段登るためのヒントが得られるはずです!


第5回 株式会社ワンパク 高橋篤史さんの場合


株式会社ワンパクのアートディレクター、高橋篤史さん。生まれも育ちも北海道、社会人のスタートも北海道という彼だが、あるときから「自分はWeb制作者としてどれくらいのレベルにいるのか」ということを考えるようになる。自分の力を試すため、転職先を東京に求め上京。ふたつの会社でWebデザイナーとして働いたのち、この春、株式会社ワンパクにアートディレクターとして入社を果たす。ひとつの目標としていたアートディレクターになったばかりの高橋さんに、今までの軌跡や現在の仕事についてお伺いしました。


第3話 北海道から東京へ

──上京を決心されて、まずは転職活動を始めたわけですね。
高橋●そうですね。理解のある会社だったので、あらかじめ「●月には上京します」と退社の意思を伝えて、在籍しながら転職活動を行いました。北海道にいるので情報がどうしても少ないので、いくつかの就職サイトに登録をして……。良い悪いはさておき、たとえ自分が望んでいるような会社じゃなくても、まずは東京に出て、東京のWeb制作の事情を知るための足がかりとして、どこかの会社に入ろうと決めていました。

──そうは言っても、いろいろな会社があるわけで……会社を選ぶ基準はどこにあったのでしょうか。
高橋
●制作実績ですね。当時制作してたものが、どちらかというと広告的に人の目に触れにくい、マイナーな部類に入ってしまうものが多かったので、メジャーなお仕事がしてみたいというのがありました。ある程度大きな案件を持っているところ、かつシステム方面に寄りすぎることなく、Webデザイナーも職種として確立していそうな、そういう会社を探しました。そんな中で、最初に内定をいただいた会社に行くことに決めたんです。


──東京で暮らすのは初めてだったんですよね。
高橋●そうですね。東京に遊びに行くこともそんなになかったので、本当にもう「東京メトロって何?」みたいな状態で、右も左もわからないような感じでした


──入社した制作会社では、大手クライアント案件をいきなり担当できたのでしょうか。
高橋●はい。その会社は即戦力という感じで、どんどん案件をスタッフに割り当てて経験を積ませるタイプでしたので ……一番最初に制作を担当したのが、大手飲料系のお仕事でした。

──即戦力で投入されたということは、先輩のデザイナーにアシスタントとしてついたりするわけでもなく、いきなり単独で担当した形でしょうか。
高橋●もちろん、他のデザイナーさんもプロジェクトに参加していましたが、完全にアシスタントという形ではありませんでした。いきなり最初から始まってしまって、あたふたしましたね。入って次の週には徹夜作業をしてた記憶があるので……。その会社は「まずは君が頑張ってなんとかしなさい」っていう感じの会社でした。

───もともと大手のお仕事がしたいという希望があったわけですから、そういう意味では希望が叶ったわけですね。
高橋●そうですね。この会社に在籍したのは1年半という短い期間だったんですけど、逆にその短い間にたくさんの仕事をこなして、当時にしてみれば精神的にも肉体的にも辛い部分はあったんですけど、今となってはすごく良い経験だったなと思います。他の制作会社の3年分の仕事と技術を、短い期間で自分の実績としても蓄えられましたし、いろんなことを学べました。

───北海道と東京とでは、やはりお仕事環境は違ったのでしょうか。
高橋●はい。北海道にいるときは同世代のスタッフがいなかったというのもありまして、 競争はほぼ皆無だったんですよね。でも東京で最初に入った制作会社は上もたくさんいるし、同じ世代の人もいるし、僕より下は数えるほどしかいなかったですけど、そういう中にポンと放り出されたときには、やっぱり自然と競争というものが生まれてくると思うんですよ。 そういうところで、周り人からの影響や刺激を受けて、自然とやりながら終わってみれば身についていた という経験がすごくありました。新しい情報……たとえば今こういうものが流行ってるとか、 こういう技術がこれから必要になってくるとか……そういった情報が何気なく入ってくるのは、 制作に関わってる人が多いというメリットかなと。

───会社の規模が違いますもんね。

高橋●そうですね。それと、Flash ひとつとっても、北海道時代からお仕事として担当していたのは、 どちらかというとアニメーションと簡単なActionScriptがメインだったんです。 でも、東京ではDBやサーバーサイドと連携するようなActionScript中心だったので、 そういう意味ではガラッと変わったなと感じました。 同じFlashでもより高度な仕事だと実感しましたね。

───ただし、この会社は1年半という短い期間だったんですが……。

高橋●そうですね。1年くらい勤めたときに、僕の先輩にあたる、すごく優秀な方々が次々と辞めてしまって……。その人たちが辞めていった理由というのが、会社とのクリエイティブに対しての考え方の違いでした。利益を求めるのは企業だから当然なんですけど、もう少しクリエイティブの部分をを大切にしたいなと……。そこに自分も違和感を感じていて、この会社で働き続けるという選択肢は難しいかなと思ったわけです。

(取材・文:草野恵子  撮影:栗栖誠紀)


株式会社ワンパク
http://1pac.jp/
2008年1月に誕生したばかりの株式会社ワンパク。エンドユーザーと企業がともに「win×win」の関係となれるよう、“コミュニケーション”をさまざまな手段で最適化し、コンサルティング、プロデュースから、あらゆる要素の制作までをワンストップで提供する制作会社である。RIAコンソーシアムでの活動や執筆活動、各種の受賞でもよく知られている阿部淳也氏が独立し、代表をつとめる。


キャッチコピーに「to make everyone's mind“HOT”」とある、株式会社ワンパク設立時の案内状


次週は「第4話 Webデザイナーからアートディレクターへ」についてお届けします。
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