第4話 Webデザイナーからアートディレクターへ | デザインってオモシロイ -MdN Design Interactive-
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転職はゴールではない 3年目の壁、5年目の転機

“仕事の壁”は誰にでもやってきます。そんなとき、ほかのみんなは、どうしているのでしょうか? このコーナーでは、今まさに壁を乗り越えようとしている人、乗り越えて一歩先に進んだ人など、クリエイティブ業界でがんばる仲間たちが登場。これまでの失敗談・成功談や現在の課題、そして将来像を語ります。今の仕事に前向きに取り組み、階段を一段登るためのヒントが得られるはずです!


第5回 株式会社ワンパク 高橋篤史さんの場合


株式会社ワンパクのアートディレクター、高橋篤史さん。生まれも育ちも北海道、社会人のスタートも北海道という彼だが、あるときから「自分はWeb制作者としてどれくらいのレベルにいるのか」ということを考えるようになる。自分の力を試すため、転職先を東京に求め上京。ふたつの会社でWebデザイナーとして働いたのち、この春、株式会社ワンパクにアートディレクターとして入社を果たす。ひとつの目標としていたアートディレクターになったばかりの高橋さんに、今までの軌跡や現在の仕事についてお伺いしました。


第4話 Webデザイナーからアートディレクターへ

──上京して1年半勤めた制作会社を退社されて。次はどうされたのでしょうか。
高橋●一緒に働いていたことのある派遣のFlashエンジニアが、ちょうどその頃コスモ・インタラクティブで働いてまして……「コスモは楽しいよ」という話を聞いてたこともあり、会社をやめて間もなく、彼に連絡をとってみました。その後、当時コスモ・インタラクティブにいた阿部(淳也)さんと会う機会がありまして……「もしその気があるんだったら、応募してみたら?」と言ってくれて。それで、正式に応募しました。

──人の縁って大事ですね。入社されていかがでしたか。
高橋●契約社員として入ってすぐに、阿部さんのチームにWebデザイナーとして配属されたのですが……当時そのチームが担当していたのがかなり大型の案件で、ちょうど佳境の時期でした。

──なるほど。またしても、いきなり現場に投入されたのですね。
高橋●でも、コスモ・インタラクティブが今までいた制作会社と明確に違ったのは、仕事のやり方でした。 今まではどちらかというと、仕事の大きな流れはディレクターや営業がクライアントと要件をある程度揃えた段階で、「じゃあ、この範囲で作ってね」とオーダーされて制作を始めることが多かったんですが、コスモ・インタラクティブでは、まず最初にデザイナーやコーダー、Flashエンジニアなどの職種を問わずチームみんなが集まって、企画に対してさまざまなアイデアを持ち寄るのです。もちろん、そのアイデアに対して出しっぱなしというわけではなくて、実際にどう実現するか、どのようにプレゼンするか……そういう部分まで考えることができるようになりました。新鮮でしたね。

──ということは、最初の時点から企画にたずさわることができる会社の方が、高橋さんにとっては良かったわけですね。
高橋●完全にそうですね

──そして、その1年後にコスモ・インタラクティブから独立した阿部さんが作られた新しい会社「ワンパク」へ、アートディレクターとして入社されたわけですが……?
高橋●はい。阿部が立ち上げる会社について、どんな会社にするのかということを聞く機会がありまして……それを聞いているうちに、もうちょっと違ったアプローチで広告というものにたずさわれるのではないかという思いが自分の中で出てきたんです。具体的には「ワンパクはWeb制作だけでは終わらない」と。自分はWeb1本でやってきたのですが、Webだけがすべてとは思っていないので……そういったところに共鳴しましたね。

──なるほど。
高橋●僕は昔から、いろんなことをいろんな会社でやってきました。やらざるを得なかった状況もあるんですが、デザインをしたりコーディングをしながら、時には動画を作ったり、イラストを描いたり、外に講師補助に出かけたり……。そんなふうに職種問わずいろいろ経験してきた自分は、ひとつのことを突き詰めて考えてきた人たちに対してひとつの分野で絶対に適わないなという思いがありまして……。じゃあ「自分の強みって何だろう?」と考えたときに、それはいろんな分野の知識や技術を持っていることだと。ディレクションをするのには、それらが非常に大きな強みになるんじゃないかと思うようになったんです。

──そんな思いもあって、アートディレクターへと進まれたわけですね。
高橋●アートディレクターは自分の中ではひとつの目標ではあったんですが、ワンパクはまだまだ始まったばかりの会社ですし、とりあえず目の前の一歩がどこにあるかを考えながら進んでいこうと思っています。

──ところで、このインタビューを読んでいる方の中には、現在、転職をしようかどうか悩んでる方も多いようです。そういった方にアドバイスするとしたら……?
高橋●僕は日頃から、今やってることが、自分が目標とする場所に本当に近づいていることになるかどうかということを考えるようにしてきました。まずはアートディレクターという目標に近づくために、デザインはもちろん、人とのコミュニケーション、Web制作というものがどういうプロセスで作られてて、クライアントとどう関係を保ちながらプロジェクトを組んでいくか……といったようなことを、今自分がいる場所で学べているのかどうかと……。ですから、目標に自分が近づいている意識がまるで持てないような状況だったら、それは転職をしてでもその場所に通じる道、そう思えるところに行ったほうがいいんじゃないのかなと思います。でも、ただやみくもに転職を繰り返すよりも「この場所で自分は何ができたか」ということをつねに省みながら、動いていくことが大事だと思いますね。

──ありがとうございました。


(取材・文:草野恵子  撮影:栗栖誠紀)


株式会社ワンパク
http://1pac.jp/
2008年1月に誕生したばかりの株式会社ワンパク。エンドユーザーと企業がともに「win×win」の関係となれるよう、“コミュニケーション”をさまざまな手段で最適化し、コンサルティング、プロデュースから、あらゆる要素の制作までをワンストップで提供する制作会社である。RIAコンソーシアムでの活動や執筆活動、各種の受賞でもよく知られている阿部淳也氏が独立し、代表をつとめる。


キャッチコピーに「to make everyone's mind“HOT”」とある、株式会社ワンパク設立時の案内状


今回で高橋篤史さんの記事は終了です。次回をお楽しみに!
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