第2話 出版系IT企業に転職 | デザインってオモシロイ -MdN Design Interactive-
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転職はゴールではない 3年目の壁、5年目の転機

“仕事の壁”は誰にでもやってきます。そんなとき、ほかのみんなは、どうしているのでしょうか? このコーナーでは、今まさに壁を乗り越えようとしている人、乗り越えて一歩先に進んだ人など、クリエイティブ業界でがんばる仲間たちが登場。これまでの失敗談・成功談や現在の課題、そして将来像を語ります。今の仕事に前向きに取り組み、階段を一段登るためのヒントが得られるはずです!


第8回 株式会社アジケ 梅本周作さんの場合


Web制作会社アジケの代表取締役である梅本周作さんは、現在29歳。昨年、28歳の若さでアジケを独りで立ち上げた。もともと前職を退職した時点では、起業ではなく転職という選択肢を考え、憧れていた会社を数社受験。しかし「自分が目標とする人たちはみんなゼロからスタートしている。それならば、土壌のできている会社に就職するのではなく、自分もゼロからもがいた方がいいかもしれない」と思い直し、途中ですべて辞退することに。現在ではスタッフ3名を抱える、Web制作会社を経営する立場となる。起業までに在籍した2社での経験、そして起業にまつわる、さまざまなお話をお伺いしました。



第2話 出版系IT企業に転職

──関西のベンチャー企業をやめて、次に入った会社はどんな会社だったのでしょうか。
梅本●もともと自分が愛読していた雑誌の版元で、IT事業も積極的に行っている東京の会社に入りました。雑誌を読んでいたら、ちょうど自分にできそうな職種で応募があったので……応募することに。新卒のときも第一志望の会社だったのですが、「新卒は採用していない」ということで断念したという経緯もあって……それで応募することにしたんです。

──慣れ親しんだ関西を離れて上京したわけですが、関東と関西の違いなど、感じた部分はありますか?
梅本●そんなに違いは感じなかったですね。でも、入社して最初の頃は、社長のアシスタントとして動いていたんですが、その当時、標準語がしゃべれなかったんですよ。なぜか僕は標準語をしゃべっているつもりだったんですけど……電話の受け答えも関西弁だったんで、社長に注意されましたね(笑)。今はすっかり標準語ですけど。

──新たに入った会社はいかがでしたか?
梅本●雰囲気は全く違いましたね。最初の大阪の会社は、チャイムが鳴ったらお昼休みという、ある意味ではお堅い会社だったんですけど、次の出版系IT企業は本当に自由でびっくりしましたね。

──その会社ではどんなことをされたのでしょうか。
梅本●部署名はいろいろと変わったのですが、基本的には新規事業開発部のWebプロデューサー職でした。広告代理店やクライアントと一緒にタイアップのコミュニケーション企画の立案を担当してました。ブログやSNSなどやりましたね。

──会社内での組織変更などは頻繁だったのでしょうか。
梅本●そうですね。やることはそんなに変わらないんですけど、部署の名前はよく変わってました。あとは、僕の位置づけがよく変わるんですよ(笑)。たとえば営業部に配属されたこともあるんですが、その営業部には誰もいなくて……先輩となる人がいたりいなかったり(笑)。今思えば、社長にいろんな部署でいろんなことをやってみろと動かされた感じだったのかもしれません。でも、自分としては器用貧乏になってしまっている気もしていて……。もう少し腰を据えて、現場でやりたいなと思っていました。

──結局、この出版系IT企業を2年弱でお辞めになるわけですが、その直接の理由とは何だったのでしょうか。
梅本●僕自身でクリエイティブ、制作の質をコントロールしたいと思ったからですね。一概には言えないんですけれど、みんな仕事が忙しくて、右から左に仕事をさばくことが多くなっているような気がして……社内の制作のモチベーションが下がっているなと思っていました。僕はもっとおもしろいものを作りたい、社会に貢献できるようなことをやりたいと思っていたんですが、その価値観をなかなか共有しづらくて。

──プロデューサーという立場からすると、獲得して来た仕事の制作について、まずはディレクターに一任する形だったのでしょうか。
梅本●そうですね。僕がディレクターに渡して、現場はそちらに任せる形だったんですが……本心では「自分が責任をもって作りたい」というジレンマが、正直言うとありましたね。本当は制作について、もっと口を出したかったんです。ただディレクターもいるので、あまりできず。でも、それは僕の問題だったのかもしれません。どう考えても良くないデザインがあがってきたときに「おかしくない?」と思うんですけれど、僕はデザイナーやアートディレクターじゃないので、論理的にデザインの説明ができなかったんですね。「もっといいものを作ってほしい」と、やんわりとしか言えなくて。


(取材・文:草野恵子  撮影:栗栖誠紀)


株式会社アジケ
http://www.ajike.co.jp/
インターネットコミュニケーションの企画・制作までを幅広く、かつ柔軟に手がけているアジケ。社名の“アジケ”という言葉は、池波正太郎の小説に出て来た「味気ない」という言葉を由来とし、「クライアントの課題とニーズに応えるだけでなく、そこにほんのり“味気”をつける」ということを表す。良質なサイト制作を、少数精鋭で着実に一歩一歩積み上げていくことで、社会に貢献していくことを目指している。


アジケ(自社サイト)

http://www.ajike.co.jp

ファンタスタープロモーション コーポレートサイト

http://www.fantastar.co.jp/

SIGGボトルデザインコンペティション2008 プロモーションサイト

http://www.sigg-jp.com/compe2008/index.html

次週は「第3話 転職から一転、起業へ」についてお届けします。



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