第3話 購入者を意識したパッケージ | デザインってオモシロイ -MdN Design Interactive-
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第2話に引き続き、パンゲアの青木康子氏によってデザインされた作品を紹介。第3話では、健康補助食品の研究から製造、販売までを手がけているエクセレントパートナーズのリニューアル・デザインにフォーカスする。

第3話
購入者を意識したパッケージ
「エクセレントパートナーズ」


若い顧客を増やすためのリニューアル


今週紹介する仕事のクライアントはエクセレントパートナーズ。代表的な商品には、水素を特殊な技術で濃縮したサプリメント「excellent」シリーズがあり、会員制での販売を行っている。青木さんが依頼されたのは、その会社全体のイメージを一新する仕事だった。

「若い顧客を増やすために、商品パッケージだけでなく、日常業務に使用されるステーショナリーも含めすべてのリニューアルを求められました。会社のマークなども好きなように変えていいと言われました」

当初、青木さんは社名の変更も提案したが、新規に起ち上げる事業ではないため、さすがにそこまでは不可能だった。そこで、まずは会社の顔ともいえるロゴに着手。人間の横顔をイメージした形を作り上げた。

「このマークには社名のexcellent partnersの頭文字である“e”の意味も込められているのです。色は基本的に赤です。ただ、絶対にその色でなければいけないとはせず、商品パッケージなどでは、それぞれの色味に合わせて柔軟に変えることができるように設定しました」


アルファベットを効果的に活用する



各アイテムの配色を考える際にも、若年層にも受け入れられやすくするための配慮は忘れない。商品の特徴や販売方式を解説するパンフレットでは、表紙の全面にビビッドな赤や黄色を敷いたのもそのためだ。




「同じように商品パッケージなどでは若い世代を意識してアルファベットを多用しています。店頭販売されるものではありませんし、購入者は商品の特徴を理解している会員なので、説明的な日本語での文言は不要なのです」

アルファベットのみにすることで全体的にスッキリとした印象になるのはもちろん、余白の大きさも加わりとても清潔なイメージになった。それは青木さん曰く「口に入れるものだから必須の佇まい」である。

「健康補助食品なので、薬のようなイメージの方向に偏りすぎてもダメだし、かといってチャラチャラした薄っぺらな印象を与えてもいけません。目指したのは“薬とコスメ系の狭間”。パッケージに関しては、その考え方をすべてに踏襲しています」

さらに、アルファベット表記は購入者が日々の生活で商品を使うシーンも想定した工夫である。含有成分などが日本語で大きく記されていると、気恥ずかしさを感じるものだが、欧文で記されたパッケージならその心配も無用だ。

「持ち歩くものなのでカバンから出しても平気であってほしいですよね。また欧文表記であれば、一見しただけでは何のサプリメントかわからず、周りの人から“それ何?”と聞かれることもあるでしょう。そこからコミュニケーションが生まれ、口コミで商品が宣伝される機会も生み出せるのです」



(取材・文:佐々木剛士 人物写真:谷本夏)

次週、第4話は「相乗効果で成り立つ仕事」について伺います。こうご期待。


[プロフィール]
あおき・やすこ●アートディレクター。1988年からサイトウ・マコトデザイン室に在籍。1994年に設立。2001年有限会社パンゲア設立。美術展のグラフィックやアパ レルブランド「LOWRYS FARM」のクリエイティブディレクション、その他、広告、パッケージ、CM、ロゴなど分野を問わず幅広く活動。NY ADC国際展・銀賞、ブルーノ国際ビエンナーレ・入賞、東京タイポディレクターズクラブ・TDC賞入賞、日本パッケージデザイン大賞2005・入選など受 賞歴も多数。



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