Webサイトの観覧・制作におけるキースペック「GPU」 - WEBデザイン×ITフォーカスノート 第3回 | デザインってオモシロイ -MdN Design Interactive-

Webサイトの観覧・制作におけるキースペック「GPU」 - WEBデザイン×ITフォーカスノート 第3回

2019.3.23 SAT

WEBデザイン×ITフォーカスノート

第3回 Webサイトの観覧・制作におけるキースペック「GPU」


PCを購入する際に気になるスペックとして、CPU、メモリー(RAM)、ハードディスク容量(HDD)がまず目につく。特にCPUとメモリーはPCの動作にかかわるので、どのブランドでどれくらいの数値なのか気にしている方も少なくないだろう。これらとは別に最近はGPUにも注目が集まっている。

(文=長谷川恭久)


存在感を増すGPU


CPUはPCの心臓部であり、すべてのタスクはCPUで行われていると言っても過言ではない。これに対し、Graphics Processing Unit(以下、GPU)は、PCの画像処理をおもに担当する、特化されたプロセッサーと考えてもよいだろう。もちろんCPUでも画像処理は行われているが、特定の演算はGPUのほうが優れている。3Dグラフィックの表示機能が優れていることから、従来GPUは、ゲームをするユーザーがおもに注目していたが、それ以外の目的でPCを利用する人にとってもGPUは重要なスペックだ。

まず第一にGPUが3Dグラフィック以外にも利用されている点だ。たとえば、Windows VistaのGUIであるAeroやMac OSXに実装されている画像処理コンポーネント「Core Image」はGPUの力に頼っている。画像だけでなく、動画の観覧でもGUIは影響をもたらす。高画質映像やBlu-Rayをパソコンで観覧する際には、CPUではなくGPUを使ってデコードが行われるように設計されている場合がある。GPUの画像処理能力を利用することによってCPUの負荷を軽減し、さまざまなタスクをスピーディーに行えるようなソフトウエアの開発も進められている。

GPUに頼る開発が進められていると同時に、利用者に負荷がかかる場合もある。Windows Vistaが発売された当初、一部のPCでパフォーマンスが落ちるという理由からAeroの設定をオフにする利用者がいたが、これはおもにGPUのスペックが低かったためである。ソフトウエアだけでなく、WebサイトでもGPUのスペックが低いことで発生する不便は少なくない。動画サイトだけでなく、プロモーション用のWebサイトでも最近は高画質の動画や3Dグラフィックを駆使している場合があるが、GPUのスペックが低い場合、動画がスムーズに表示されない場合も考えられる。

Adobe製品とGPUの関係


最近、日本語版が発売された Adobe Creative Suite 4(以下、CS4)はGPUを活用した最初のCSシリーズになる。Photoshop CS4とPremiere Pro CS4を使った画像や動画のフィルタは、GPUを利用した演算処理が行われていることから高速化を実現している。512MB以上のビデオメモリーを実装した OpenGL 2.0のビデオカードを実装しているPCであれば、今までより速くなっていることを実感できるだろう。

Flash Player 10がGPUを活用している点も見逃せない。理論上は、Flash Player 10を利用することにより、高画質の動画や複雑な3D アニメーションをスムーズに表示させることが可能になるわけだが、一概にそうとはいえない。現存のFlashコンテンツもすべて自動的にGPUで処理をするわけではなく、GPU向けにコンテンツを最適化する必要がある。また、Vistaの例と同様、GPUを活用したFlashサイトにすることで、従来より遅く表示されてしまう可能性があるので、現状は慎重な採用が必要だ。バージョン 10がGPUを活用した最初のFlash Playerなので、今後改善がなされるだろう。Media Player としてだけでなく、3Dや高画質動画を利用したゲームをAirで開発できるのも遠い未来の話ではない。

ブラウザだけでなくPCにも注目


Webサイトを構築する際、インターフェイスを担当している人が気になるのは、ブラウザでいかに表示されるかという点だ。可能な限り同じ見た目を複数のブラウザで再現することに時間も費やしているだろう。高画質動画や3Dグラフィックを使わない限り、GPUは見た目とは直接関係のない技術だ。Webサイト制作においてGPUは、視覚ではなく感覚のほうに大きな影響を及ぼす。Webサイトを早く表示させるために、ファイルサイズを小さくして最適化を行う過程がある。ブロードバンドが普及しているとはいえ、0.1秒でも早く表示されることができるのは利用者にとってもサーバにとってもやさしい。早く快適に見られるのは利用者にとって気分の良い体験にもつながる。動画や複雑なアニメーションの最適化の気配りは、ちょうど先述したファイルサイズを最小化するのと通じるものがある。

GPUはまだ大きく注目されることのないPCのスペックだが、今後のWeb体験において大きな影響を及ぼす。Webサイトを制作する際、ブラウザというソフトウエアのレイヤーのみに注目してしまいがちだが、ソフトウエアを動かしているPCがWebサイトを含めてすべての体験をつくり出しているもとだ。制作者サイドではスペックの高い最新のPCを利用している場合があるが、利用者はそうとは限らない。また、ブラウザだけでなくさまざまなソフトウエアを立ち上げている可能性もある。新しいPCのもつマシンパワーを使わないと快適に見られないのでは利用者はトップページが完全に表示される前にあきらめて離脱してしまうだろう。今回紹介したGPUをはじめ、PCのスペックにもあらためて注目しWebサイトを制作していきたい。


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Photoshop Elementの対抗馬として注目されているPixelmatorは、
GPUを活用することでリアルタイムのフィルタ処理を実現している)
www.pixelmator.com/


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Adobe ソフトウエアがどのようにGPUを活用しているのか
説明されている記事
kb2.adobe.com/jp/cps/234/234358.html


it3-3
ゲームに弱いといわれていたMacも最近は高性能のGPUを実装しアピールしている。
同時に3Dエフェクトを駆使したソフトウエアも増えている


Profile 長谷川恭久
デザインやコンサルティングを通じてWeb関連の仕事に携わる活動家。ブログやポッドキャスト、雑誌などを通じて情報配信中。
URL: www.yasuhisa.com/


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本記事は『web creators』2009年5月号(vol.89)からの転載です。
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