WEBに通じる小さな窓「ウィジェット」 - WEBデザイン×ITフォーカスノート 第14回 | デザインってオモシロイ -MdN Design Interactive-

WEBに通じる小さな窓「ウィジェット」 - WEBデザイン×ITフォーカスノート 第14回

2019.1.19 SAT

WEBデザイン×ITフォーカスノート

第14回 WEBに通じる小さな窓「ウィジェット」

ウィジェット(Widget)とは、HTMLやCSSといったWebサイト構築でなじみ深い技術を利用してデスクトップに特定の情報を表示させるミニアプリケーションの総称だ。ウィジェットはデスクトップだけでなく、サイトとサイトのパイプラインの役割を果たしたり、モバイルアプリケーションの基盤として利用されている。必要な情報のみを表示できるこの技術は、今再び注目を浴びている。
(文=長谷川恭久)

Webアプリケーションの先駆者「ウィジェット」

ウィジェット(Widget)そのものは新しい技術ではなく、2003年にまでさかのぼる。「Ko nfabulator(カンファビュレイター)」と呼ばれるMac OSX専用のソフトウエアが最初のデスクトップ向けウィジェットとして開発されたことで知られている。JavaScriptで動作する独自APIを利用して、Webサイトを構築するのと同じような感覚でソフトウエアの開発と、ソフトウエアの目的に合ったユーザーインターフェイスデザインを可能にしている。2004年にWindows版がリリースされたあと、翌年の2005年には米Yahoo!社に買収され、現在「Yahoo! ウィジェット」(widgets.yahoo.co.jp/)という名で無料配布されている。基本的な構造は開発当初から変わりないが、現在はAppleScriptなどOSに特化したスクリプト言語の使用、SQLiteを活用したデータベースアプリケーション開発、そしてAdobe Flashを利用したRIA開発が可能になっている。

KonfabulatorのようにCSSやJavaScriptといったWeb技術を利用して、デスクトップアプリケーションを開発するというコンセプトは現在ほかでも見られる。Adobe AirやLinux専用のウィジェットエンジン「gDesklets」(www.gdesklets.de/)のように独自で開発されているものもあるが、Mac OS Xや WindowsのようにOSネイティブのウィジェットもある(Windowsではガジェットと呼ばれている)。OS ネイティブではほかのウィジェットエンジンのようにクロスプラットフォームでの開発ができなくなるが、システムレベルのデータへのアクセスやランタイムエンジンを別途インストールする手間がないというメリットがある。

さまざまな場で採用されているウィジェット

新しい言語や開発環境を整えることなく、Web技術のみでアプリケーション開発ができるというウィジェットの概念は、デスクトップにとどまらずWebでも多数見られる。たとえば、「iGoogle」(www.google.co.jp/ig)や「Netvibes」(www.netvibes.com/)といったポータルサイトにて、複数のデータを集約する役割をウィジェットが果たしている。お気に入りのブログの最新記事だけでなく、天気、株価、ビデオなど自分が気になるサイトの中にある特定のコンテンツを表示可能だ。ウィザード形式でアプリケーションを開発できるツールも用意されており、Webサイト向けのウィジェット開発の敷居は低い。

米Palm社が開発したスマートフォン「Palm Pre」(www.palm.com/us/products/phones/pre/)もOS上で動作するアプリケーションも、ほかのウィジェットのようにWeb技術のみで開発できる。アプリケーションの構造はAdobe AirやMac OS Xをはじめとしたデスクトップ向けのウィジェットに似ており、それらを開発したことがある方ならすぐに始めることができるだろう。

家電での利用も視野に入り始めている。米Yahoo!社が2009年1月にTV上でWebコンテンツが利用できる「TV Widgets」というサービスを発表した。現在、「Yahoo! ウィジェット」で公開されているすべてのウィジェットをテレビ画面から利用できるようになる。2009年10月には日本向けのサービス展開も発表されており、2010年からアメリカだけでなく日本のTVからも「Yahoo! ウィジェト」を観覧する機会が出てくるだろう。

必要性が高まる情報の軽量化

7年前からある技術がここ数年でやっと花開き始めたウィジェット。近年、利用者の行動はページを訪れることから、ページの中にある特定の情報を取得する行動へ変化した。また、スマートフォンのようにモバイルとWebとの親和性が高いデバイスが登場したことで、より早く自分が欲しい情報を手に入れたいという欲求が高まったと考えられる。こうした利用者の情報取得方法の変化に応じて、情報はより軽量化され持ち運びがしやすい形へと最適化する必要が出てきた。RSSの配布やAPIを利用したデータ操作もその中で生まれた技術だが、ウィジェットはそれをインターフェイスのレベルに落とし込んだ技術といえるだろう。

現存のWeb技術を利用しているとはいえ、それぞれが独自仕様なのでどのエンジンでも動作しないのが難点だが現在、勧告候補になっているW3Cの「Widget 1.0」(www.w3.org/TR/2006/WD-widgets-20061109/)が正式に勧告されることで、徐々にウィジェットの標準化が進むと考えられる。デスクトップ向けのWebサイトをデザインする際も、ページ全体の情報構成を考えるだけでなく、利用者が欲しいと思う情報のみを取り出せるような仕組みをつくる配慮が必要になるだろう。

IT14-1
利用には ウィジェットエンジンのインストールが必要だが、
国内でもすでにTVを視野に入れたウィジェットが公開されている
widgets.yahoo.co.jp/

IT14-2
OpenIDを自社サービスに導入するための公式の仕様書は英語のみ。
しかし、検索すればWeb上で日本語での導入方法を見つけられる
openid.net/developers/specs/

IT14-3
Netvibesでは、複数のウィジェットエンジンで動作する「UWA」というAPIを公開している
dev.netvibes.com/

Profile 長谷川恭久

デザインやコンサルティングを通じてWeb関連の仕事に携わる活動家。ブログやポッドキャスト、雑誌などを通じて情報配信中。
URL: www.yasuhisa.com/

本記事は『web creators』2010年4月号(vol.100)からの転載です。

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