第3話 キャラクター作りから映像の世界へ | デザインってオモシロイ -MdN Design Interactive-
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様々なジャンルで活躍するデザイナーの来歴をたどるシリーズ。今回はペッパーショップの古賀学さんを取材し、アートディレクターとして活躍する今日までの足跡をたどりま


第3話 キャラクター作りから映像の世界へ



横浜市日吉のオフィスにて、古賀学さん

横浜市日吉のオフィスにて、古賀学さん



──その後、いまキャラクターデザインなども手がけられて。

古賀●切り替わりましたね。最初は『PEPPER SHOP』のように、自分が影響を受けたコンテンツをみんなでトリビュートするというスタイルを『機動戦士ガンダム』でできないかという話になって。そこで20周年ムックみたいな企画を立てて『G2O』という雑誌を創刊しました。Macが出たことによりデザイン界に若いスターがバンバン出た時代が97〜8年ぐらいにあって、それと似たような感覚で『ガンダム』を触ろうとしたら、漫画やアニメの世界はもう環境整備が整っている。椅子とりゲームが終焉にあったところに、クリエイター・ブームのノリで入っていったのですが、椅子とりゲームに自分の椅子を持って参加するような世界で……原理主義者みたいな人には海賊行為に見えるわけです。

──ふざけるな、と。

古賀●衝突もありました。でも、たかだか20年しかない歴史の20年目に介入してきて、そのあとガンダム占いやなんやら5年続けていると、20年の歴史の1日めは「部外者」ですけど、25年の歴史の5年間は「中の人」になっちゃう。で、なんとなく仕事が回っているうち、最初はアニメや模型のコンテンツの中ではアウェイ扱いだったのが、いつの間にかホーム扱いになってきたという感じですね。ただガンダム占いがおもちゃになって出た時点で、自分の中の少年時代からの思いは終わりを迎えて……自分が描いたガンダムがおもちゃになったら、やりたいことはもうそんなにないなと。

──やり遂げてしまった?

古賀●そういう感がありますね。ガンプラ・コンテストを荒らしていた頃の自分に自慢したら、感激して死ねるなと(笑)。みんなでトリビュートするという触り方ではなく、情報誌的な触り方でもなく、実際のキャラクターを触ってもいい。結果的に自分のキャラクターが商品化されるという意味だと、外周から始めてどんどんコアに向かっていった。コアに近づいて、もっとやろうと思うと、その映像を作ったりしないとならない。それだったら二次創作じゃなくて、自分のものを作ったほうが楽しいと思って。

──ガンダムである必要はないのでは、と?

古賀●ええ。

──そこで現在『&a water/アンダーウォーター』のような「水の中の女の子」をテーマしたアートプロジェクトが?

古賀●女の子の映像は普通に好きなんですけど、結果的に研ぎすましているうちに自分にしか撮れないものになったという感じです。その路線はその路線で延ばしていこうと。ただデザインと違ってプロジェクトとして、クライアントがあって要求に応えるというのとは大分違うじゃないですか。

──自分の世界を形作るという点では違いますね。

古賀●いまも漫画の装幀やアニメのパッケージもやりますが、それはその作品世界をデザイナーとしてどう伝えるか、場合によっては作品世界の中ではこういうグラフィックがあると紹介するわけです。でも、それは僕の世界ではなく作品の作り手さんたちの世界。それをデザイナーとして触るわけですが『&a water/アンダーウォーター』に関しては作品世界ごと自分が作っています。


&a water/アンダーウォーター&a water/アンダーウォーター


古賀さんの仕事より『&a water/アンダーウォーター

プロデュースユニット「NORISHIROCKS」とのコラボレーションによる「水の中の女の子」をテーマにしたアートプロジェクト
動画は下記よりお楽しみください
http://andawater.jp/?page_id=80


──現在、デザイナーとクリエイターの切り分けは半々ぐらいですか?

古賀●具体的にどう分けていくか考えていくと……ペッパーショップの「オタク向け」なパブリック・イメージがあまりにも強くなりすぎちゃったので、それがいまになって「ファッション映像をクラブで流す」となると食い違いがあるじゃないですか。だとしたら、ブランド力でペッパーショップは使えないけど「古賀学」という個人の名前を独立させて、ペッパーショップと分割してしまおうという考えですね。

──デザイナーだけでなくアーティスティックな仕事もされていて、肩書きはなんだと?

古賀●一応、古賀学のときはアーティストということにしています。で、ペッパーショップのときはデザイナーとしての屋号。ペッパーショップとしてアートを作ることはないでしょう。もともとインタビューのフリーペーパーのタイトルなので、コンテンツ自体は僕ではなく、アーティストだったりロボット・アニメだったりするので編集感覚。でも映像は反転して、中身ごと作りますので。


次回、第3話は「もう一度『焼け野原』の時代にて」を掲載します。

(取材・文:増渕俊之 写真:FuGee)

古賀学さん

[プロフィール]

こが・まなぶ●1972年長崎県生まれ。タウン誌の発行会社勤務を経て、創形美術学校に入学。在籍中の93年からフリーペーパー『PEPPER SHOP』を制作、中退後にフリーランスのデザイナーとして活動。村上隆氏の作品・宣伝デザインワークの他、雑誌など各種デザインを勤める。現在、アートプロジェクト「&a water/アンダーウォーター」を展開中。

http://peppergear.com/




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