第1話に引き続き、タイクーングラフィックスの宮師雄一氏と鈴木直之氏によってデザインされた作品を紹介し、その制作過程における思考のプロセスに迫る。第2話では、創業100周年を迎えた太陽石油の新ブランド「SOLATO」にまつわるビジュアルに注目。
第2話
人間と社会との潤滑油「SOLATO」
BI開発にいたるまでの道のり
後先を考えない20世紀型の消費生活に疑問が投じられ、環境への配慮が急務となっている昨今。以前と比べ、企業側からの働きかけも増えてきてはいるが、いまだに徹底されている状況とはいえない。そんななか、総合エネルギー企業として歩むべき道を示すべく、太陽石油が自社ブランドを「SOLATO」と刷新した。
「表面的に名前を変えるだけではなく、長い時間をかけて社内の意識改革から着手したプロジェクトです。チームを起ち上げて、ワークショップなども開かれました。そこから最後のアウトプットとしてBIの依頼があったのはちょうどネーミングが決まりそうな時期でした」(鈴木)
「これからの100年を見据えて、エネルギーカンパニーとして有るべき姿を、社内の共通認識として浸透させていたようです。おぼろげな形が見えてきて、実際にビジュアル化を行うプロセスから僕らは参加したのですが、それまでにも膨大な時間をかけた取り組みがあったはずです」(宮師)
名称「SOLATO」は「solar」と「tomorrow」を掛け合わせた造語だ。スローガン「この星と人のチカラに。」には、人間と地球との共存を目指す同社の想いが込められた。
「これは優れたネーミングです。最後の“TO”の響きが音読みの“人”を思い起こさせるし、空“と”人のように繋がりを示す言葉のようにも響く。ロゴを開発するに当たって色んなイメージが膨らむ名前でした」(宮師)
「ロゴの形には“繋がり”の意味を込めてあります。2つの円は、それぞれ太陽と地球、人間同士などのイメージ。中央の“A”は未来への道を思わせるイメージです」(鈴木)
より良い未来へ向かう手伝い
この名前には、かなり惚れ込んでいる様子の両氏。だが一般的には、あらかじめ言葉が決められていると、字面などの関係で形を整えづらくなるとの意見もある。そのことを伝えると彼らは即座に否定した。
「字面の関係でロゴを作れないことはありません。難しい文字の並びであっても、何とかするのが僕らの仕事です。たしかに、同じ文字がいくつも連なっている場合などには悩むかもしれません。しかし考え方を変えればそれを特徴として活かすことだってできるはずです」(鈴木)
今回の仕事でも、文字の並び云々ではなく、何より大事だったのはネーミングに込められている想いを形にすることだった。
「僕たちはデザインの仕事を、社会が良い未来へ向かうことの手伝いだと考えています。自分たちの作ったものが上手く作用することが理想です。人と社会の潤滑油の役割を果たすデザインを目指しているのです」(宮師)
(取材・文:佐々木剛士 人物写真:谷本夏)
次週、第3話は「音楽CDのバリエーション」について伺います。こうご期待。
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