様々なジャンルで活躍するデザイナーの来歴をたどるシリーズ。今回はfinch-talkの小林信広さんを取材し、アートディレクターとして活躍する今日までの足跡をたどります。
第4話 自分から楽しいほうに向かうこと
渋谷区代々木のオフィスにて、小林信広さん
──独立してから、営業みたいなことはしました?
小林●やっぱりムラがあって、忙しいときと仕事が少なめな時がある。そんなとき、ちょっとはしてみましたね。基本的には仕事をしながら、その人脈から広がっていった感じですが。営業から増えていった仕事というのは……いまのところ少ないですね。
──いまエディトリアルが中心ですか?
小林●基本的にそうです。雑誌だったり単行本だったり。あと写真集やCDですね。
──ざっと振り返りましたが、いまの自分のデザインを育てた一番大きかったものは?
小林●まだまだ育った感じがしないのですが(笑)。現時点まで……やっぱり好きだからやれてこれたのかな。仕事は大変なことも多くて、もうヘコむことも多いのですが、自分のものができて残せるというのがやりがいあって。
──いま一人で?
小林●事務所はイラストレーターの妻と2人ですが、基本的に1人でやっています。たまに一緒にやりますが、仕事は別々。一時期アシスタントもいましたが、バラつきもあるので忙しいときにお願いする感じです。
──自分のデザインの特徴は何だと思いますか?
小林●基本的に「変わったことをやりたい」ですね。他のデザイナーが見たとき「オッ」というようなことをやりたいなと、いつも考えています。もちろん、できるときとできないときがあって。いまだ勉強中です。あと最近、作品づくりもしているんです。賞レースにも参加していこうかなと、ふと思い始めまして。自分には全然関係ないと思っていて、広告デザインの方々のお祭りだと。でも、やっぱり人のために作るデザインばかりでなく、自分の表現という意味でやってみようかと。もう36歳なんで、ここにきて重たい腰を上げた感じです。だからいま、ヒマがあると、そういうことを考えています。
──ひとつのモチベーションとして。
小林●そうですね。気持ちの部分で楽になるというか。仕事で辛いことがあっても。
──これからの人に向けてアドバイスを。
小林●やっぱり面白がるのが大事だと、最近思うようになりました。デザインに対して、やらされているっていう感じではなく、自分から楽しんでデザインするほうが自分も楽しいし、できてくるものも違ってくる。楽しみながらやるといいと思いますね。
──世の中的に厳しいときじゃないですか。楽しんでやることと経済的に、うまく両立させるのが難しいと思うのですが。
小林●確かにそう思いますね。やりたくないから断っていたら仕事にならないので、辛いところもありつつ……それもあってなんですかね。作品づくりに向いたというのは。
──じゃあ、自分で写真を撮ったりとかも?
小林●そうなんです。だからいま、カメラも興味あって。作品づくりに必要な物撮りとか、それも楽しいですね。
──基本的には自分から動かないと何も始まらない、と。
小林●ええ。結局、何も変わらなくなっちゃうんですね。仕事だけしていると。自分から楽しいほうに向かうことを考えたほうがいいなと。
──今後のビジョンは?
小林●最近、環境とか平和に興味があって、その中で自分ができることは何か……よく考えています。社会的にコミットしていきたいという思いだけでなく、いろいろ調べると問題だらけなんですよね。世の中。ちょっとでも改善のお手伝いをしていきたいなと。
──大学で公園づくり、造園を学んだというのは、考え方としては近いような感じも?
小林●ああ、そうですね。環境整備っていう意味では、無駄ではなかったのかな。もちろん大学で勉強したなかではスケッチや製図というのがあったから、まったく無関係ではなかったかもしれませんね。なにもない土地を与えられて、そこに庭を作れと。
──バンドロゴの切り抜きでもないけど、一応の積み重ねがあったと。
小林●そうですね。徐々にデザイナーに向かっていたのだと思います。曲がりながらも(笑)。
小林●やっぱりムラがあって、忙しいときと仕事が少なめな時がある。そんなとき、ちょっとはしてみましたね。基本的には仕事をしながら、その人脈から広がっていった感じですが。営業から増えていった仕事というのは……いまのところ少ないですね。
──いまエディトリアルが中心ですか?
小林●基本的にそうです。雑誌だったり単行本だったり。あと写真集やCDですね。
──ざっと振り返りましたが、いまの自分のデザインを育てた一番大きかったものは?
小林●まだまだ育った感じがしないのですが(笑)。現時点まで……やっぱり好きだからやれてこれたのかな。仕事は大変なことも多くて、もうヘコむことも多いのですが、自分のものができて残せるというのがやりがいあって。
──いま一人で?
小林●事務所はイラストレーターの妻と2人ですが、基本的に1人でやっています。たまに一緒にやりますが、仕事は別々。一時期アシスタントもいましたが、バラつきもあるので忙しいときにお願いする感じです。
──自分のデザインの特徴は何だと思いますか?
小林●基本的に「変わったことをやりたい」ですね。他のデザイナーが見たとき「オッ」というようなことをやりたいなと、いつも考えています。もちろん、できるときとできないときがあって。いまだ勉強中です。あと最近、作品づくりもしているんです。賞レースにも参加していこうかなと、ふと思い始めまして。自分には全然関係ないと思っていて、広告デザインの方々のお祭りだと。でも、やっぱり人のために作るデザインばかりでなく、自分の表現という意味でやってみようかと。もう36歳なんで、ここにきて重たい腰を上げた感じです。だからいま、ヒマがあると、そういうことを考えています。
──ひとつのモチベーションとして。
小林●そうですね。気持ちの部分で楽になるというか。仕事で辛いことがあっても。
──これからの人に向けてアドバイスを。
小林●やっぱり面白がるのが大事だと、最近思うようになりました。デザインに対して、やらされているっていう感じではなく、自分から楽しんでデザインするほうが自分も楽しいし、できてくるものも違ってくる。楽しみながらやるといいと思いますね。
──世の中的に厳しいときじゃないですか。楽しんでやることと経済的に、うまく両立させるのが難しいと思うのですが。
小林●確かにそう思いますね。やりたくないから断っていたら仕事にならないので、辛いところもありつつ……それもあってなんですかね。作品づくりに向いたというのは。
──じゃあ、自分で写真を撮ったりとかも?
小林●そうなんです。だからいま、カメラも興味あって。作品づくりに必要な物撮りとか、それも楽しいですね。
──基本的には自分から動かないと何も始まらない、と。
小林●ええ。結局、何も変わらなくなっちゃうんですね。仕事だけしていると。自分から楽しいほうに向かうことを考えたほうがいいなと。
──今後のビジョンは?
小林●最近、環境とか平和に興味があって、その中で自分ができることは何か……よく考えています。社会的にコミットしていきたいという思いだけでなく、いろいろ調べると問題だらけなんですよね。世の中。ちょっとでも改善のお手伝いをしていきたいなと。
──大学で公園づくり、造園を学んだというのは、考え方としては近いような感じも?
小林●ああ、そうですね。環境整備っていう意味では、無駄ではなかったのかな。もちろん大学で勉強したなかではスケッチや製図というのがあったから、まったく無関係ではなかったかもしれませんね。なにもない土地を与えられて、そこに庭を作れと。
──バンドロゴの切り抜きでもないけど、一応の積み重ねがあったと。
小林●そうですね。徐々にデザイナーに向かっていたのだと思います。曲がりながらも(笑)。
小林さんの仕事より
左:大森洋平「グライダー/おやすみ」(2005年/SME Records)
右:大森洋平「キセキ」(2004年/SME Records)
左:大森洋平「déjà vu」(2004年/SME Records)
左:大森洋平「グライダー/おやすみ」(2005年/SME Records)
右:大森洋平「キセキ」(2004年/SME Records)
左:大森洋平「déjà vu」(2004年/SME Records)
今回で「これがデザイナーへの道」第31回・小林信広さんのインタビューは終了です。
(取材・文:増渕俊之 写真:FuGee)
(取材・文:増渕俊之 写真:FuGee)
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[プロフィール] こばやし・のぶひろ●1973年埼玉県生まれ。東京農業大学、武蔵野デザイナー学院卒業。GREGE、Store inc.を経て、2002年独立。日本グラフィックデザイナー協会(JAGDA)会員。 |