第2話 “好き”だからこそわかる感覚 | デザインってオモシロイ -MdN Design Interactive-
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第2話 “好き”だからこそわかる感覚


セレクトショップとしてはWEBショップとリアルショップは同じ


――2004年「ZOZOTOWN」がスタートしたとき、これまでとは全く違うスタイルのショッピングモールが出てきたと感じました。「ZOZOTOWN」ならではの個性/魅力はなんだと思いますか?

前原● 現在「ZOZOTOWN」の中には大きく6つのゾーンがあって、「CENTRAL ZONE」にはユナイテッドアローズさんやビームスさんといったショップが入っているのですが、「SELECT ZONE」という別のゾーン各ショップには社内にバイヤーや店長がいて、彼等が実際にセレクトやバイイングをしています。

「洋服が好きなスタッフだからこそ、売れる商品、売れない商品がリアルにわかる」という前原氏

「洋服が好きなスタッフだからこそ、売れる商品、売れない商品がリアルにわかる」という前原氏

 ですから、あまり誤ったセレクトはしないですし、そのブランドやショップが喜ぶようなお店作り、商品構成も可能になってきます。そこが私たちの強みだと思っています。本当に洋服が好きな人でないと、こういうサイトを作ろうと思っても多分どこかでズレが出てくるに違いありません。

――最初はどうでした?

前原●やはり最初は大変でした。レコードの通販サイトはやっていたので、ある程度のノウハウはありましたが、洋服は初めてですから。先方に商品の仕入れの話をしても、5年くらい前当時は現在ほどインフラが整っていなかったので、まず最初はインターネットの説明からですよね(笑)。インターネットってこういうもので、モノも買ったり売ったりできるんですよと説明して。最初は本当に売れるのかどうかもわからないということで、苦労しました。

 でも、サイト運営には自信やノウハウもありましたし、ブランドや洋服のイメージは大切にしていましたので、商品が売れるようになってくると、ブランドさんも他のサイトとは違うということで、少しづつ理解してもらえるようになってきました。あと市場もネットで洋服が売れるという時代にもなってきて、状況も変わってきましたね。コツコツまじめにやってきただけなのですけど(笑)。

 どうやったら、ブランドのイメージを壊さないで洋服を見てもらえるか、お客さんに満足してもらえるかと毎日のように試行錯誤してました。いまのように撮影スタジオもないですし、色についてもアップしたものと現物が違うとか。サイズなどは全部寸法をスタッフが計ったり。日々改善改善でやっと現在のシステムをつくることができました。

バーコード管理された商品が、倉庫から品出しされて梱包される最終的にはラベルが貼られた後、ベルトコンベアーから発送されていく







バーコード管理された商品が、倉庫から品出しされて梱包される。最終的にはラベルが貼られた後、ベルトコンベアーから発送されていく

――ロジスティックスについてはどうですか?

前原●最初の頃は、代表も私も、自分で宛名を書き、梱包から発送業務まですべてをやっていました。できればすべてを自分の手でやりたいというこだわりがあるものですから。スタッフが増えて組織が大きくなってきたので、自分たちがやってきた現場でのノウハウや、実績がとても役に立っています。

――多量な商品在庫を自分たちで持つというのも、他ではなかなかできないことですよね。

前原●「ZOZOTOWN」になる前は、ほぼ90%以上買い取りでやっていました。どこのリアルショップも同じような条件でやっているのですから、うちは売る場所がWEB上なだけで同じセレクトショップのひとつとして同じ条件でやらさせてくださいとお伝えしました。そこが違うと多分取引は難しくなってきますよね。最初は倉庫が必要なほどのボリュームにはならなかったですけど。

 いまではやはり倉庫や撮影スタジオなどがすべてまとまって一カ所にあるからこそ、様々なことに対して迅速に対処することができます。そこが逆に強みになっているとも思います。倉庫で商品が品出しされて、ラベルが貼られてベルトコンベアーで発送されていくのをみると少し感慨深くなりますね。また、よく代表が『商品は生鮮食品と同じだ』と言ってるんですけど、ほんとに新しいものを仕入れてそれを売り切って、また新しいものを入れていくというところにかなり注意を払っているという感じですね。

――洋服というアイテムを選んだのはなぜ?

前原●それはやはり、自分たちが洋服が好きだからですね。好きなものだと売っても楽しいし、仕事も楽しいですから。でも、正直いって最初はパンツが売れるのか不安でしたけど。

「インターネットや携帯で洋服を買うことに対して、抵抗を持つ人は減ってきている」と、渡邊氏

「インターネットや携帯で洋服を買うことに対して、抵抗を持つ人は減ってきている」と、渡邊氏


渡邊●でも、一回でも買うとお客様もどんどん慣れてくるみたいです。サイズ表記をしているのですが、一度届いて、商品のサイズが大丈夫だとわかると、もう安心して何回も購入してくれるんです。洋服を買うことに対して抵抗を持ってる人ってどんどん減ってきていると思います。夜の10時とかが一番売れる時間帯なんです。インターネットが普及してからライフスタイルも変わってきていますよね。仕事や学校から家に帰って、寝る前にコンピュータや携帯で洋服買うという人がすごく増えてきているようです。


次週、第3話は「ネットの中だけに成立する『街』」についてうかがいます。

(取材/文:服部全宏(GO PUBLIC) 写真:谷本 夏)


[プロフィール]
前原正宏(まえはら・まさひろ)
●株式会社スタートトゥデイ
マーケティング本部 ディレクター

渡邊 順(わたなべ・じゅん)
●株式会社スタートトゥデイ
創造開発本部 デザイン部 ディレクター
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