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第2話 情報をストレートに伝えるためのデザインと技術

2026.4.26 SUN

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第2話 情報をストレートに伝えるためのデザインと技術




──デザインとコンテンツのバランスは?

田上●基本的には鈴木さんがいろんな情報を入手して、記事にしてくれて、それをどう見せるかを二人で相談しながら決めています。時には状況に応じて、これは早く公開したいからパパッとあげましょうというときもありますしね(笑)。そのあたりは決めごとがあるというわけではなくて、わりと流動的ですね。


田上氏は「テクノロジーに踊らされるのではなく、きちんと吟味して、ちゃんと消化したうえで今ベストだと思うコンテンツを出していきたい」と語る
田上氏は「テクノロジーに踊らされるのではなく、きちんと吟味して、ちゃんと消化したうえで今ベストだと思うコンテンツを出していきたい」と語る



鈴木●たぶん雑誌もそういう傾向にあると思うんですけど、Webの中ではデザインをどう捉えるかというのがけっこう難しいと思うんです。何をもっていいデザインとするか。Webの場合、デザインだけじゃなくてシステム的なことも含みますよね。たとえば、動画が入っていればリッチなコンテンツと言えるのかっていうと、必ずしもそうではないっていう気はするし。

結局、僕とかもこれまで雑誌をやってきて、次はインターネットやりますっていうと、みんなは「インターネットっていいですよね、映像や音楽も流せるから、きっといろいろな面白いことができそうですね」って言うんだけど、可能性はあるけれど、やみくもにいろんな機能を追いかけても、かえって、うまく伝わらくなってしまうんじゃないのかなってあるんですよね。それは多分デザインにも言えると思っていて。


「Webはフラットであるがゆえに、引き立つ個性を持ってるものでなければ面白いWebサイトはできない」と語る鈴木氏
「Webはフラットであるがゆえに、引き立つ個性を持ってるものでなければ面白いWebサイトはできない」と語る鈴木氏



田上●やみくもにトンガッったものを作るというのは、デザイナーのエゴみたいになってしまってつらいかなと。見る人にとっては、もっと早くコンテンツが出てくれたほうがいいのに。「ああ、たるいな」みたいな時ってあるじゃないですか(笑)、そういうのは、なるべく排除したいというのはありますね。コンテンツがストレートに伝わるようなデザインのほうが今は良いと思っています。あまり凝ったことをし過ぎるのは、現在のハニカムのポリシーではないのではと。

鈴木●ハニカムにおいてはコンテンツとなるコアな情報が一番重要で、それを表現するためにデザインが機能するべきだということは、やっていく中で自然と見つかってきたことだと思います。漠然とした完成形というのはあったんですけど、やっぱりやってみないと実際にはわからなくて。

そういったデザインとコンテンツとの関係性はWebに携わってる人は、みんな結構意識しているんじゃないでしょうか。ストリーミング的なものとかポッドキャスティング的なものもそうだと思うんですけど。Webではなんでもできるし、テクノロジーの部分だけがとても発達しているんだけど、いざ、そこに入れる中身となるとなかなかいいものが見つからない。


ハニカムで公開されるさまざまなコンテンツ。いたずらにテクノロジーを多用することなく、内容をうまく伝えるためという主眼のもと、デザインや技術がうまくバランスを取りながら取り入れられている
ハニカムで公開されるさまざまなコンテンツ。いたずらにテクノロジーを多用することなく、内容をうまく伝えるためという主眼のもと、デザインや技術がうまくバランスを取りながら取り入れられている


























田上●テクノロジーを使うために何かをやるって発想は幼稚だと思うんですね。テクノロジーに使われちゃってるというか。テクノロジーを使うんだったらそれをちゃんと吟味して使いこなしたい。最低限のテクノロジーで済むのであればそのほうがいいし。「俺の表現見てくれ!」みたいな(笑)そういうのは僕は全然興味ないので、ちゃんと消化したうえでこれが今ベストだというものしか出したくない。

──それは、やっていくなかで、今のハニカムのあり方が、当初描いていたものよりも引き算されていったということですか?

田上●引き算もされてるし、足し算もされてるし。

鈴木●僕の中では優先順位が固まったなという気がしましたね。音も映像も、写真も触ると360度回りますとかギミック的なこととか、そういうインターネットらしさみたいなものがフラットに並んでるわけじゃないですか。その中で何をチョイスしていったらいいのかがわかってきた。

トピックによっては公開のスピードを重視したほうがいいときもあるだろうし。ハニカムにおいては、ビジュアルと記事のバランスが重要だということもあるし。編集方針も『BRUTUS』や『PEN』といった雑誌もあれば、もちろん『MEN’S NON-NO』や『SMART』といった雑誌もありますよね。その辺の内容をツギハギしながらそのままインターネット上でやるというだけでも、まぁ面白いんじゃないかなという感じだったんですけど、でもそれをWebでやっても実はあまり面白くない気がして。

僕らのEXCLUSIVEな情報、僕たちから発信できる情報はかなり特化した情報なので、そこを狙ってやっていったほうが面白いし、インターネットに合うなという気がしてるんですね。パーソナルな雰囲気というかある種のコミュニティみたいな雰囲気。それを強く出してるというのはありますね。

田上●どこでも見ることができるような情報をうちで出しても、誰も喜ばないんじゃないかな。それだったらもっと充実したサイトが他にあるのでそっちを見たほうがいいし。




鈴木●逆にいうと、とりあえずそこに情報を詰め込めばいいという発想のWebサイトもなくはないじゃないですか。そういうものは多分これからはつらいだろうなと思うんですよね。雑誌とか他のメディアよりも、アイデンティティだったりコアにあるものがハッキリしてないと。ネットはとてもフラットな世界で、どのページも自分の同じパソコンで見るわけだから。

雑誌っていうのは判型であるとか紙質であるとか、それだけでも大きく違うわけじゃないですか。結局、そういうところでは差異化できないわけで。フラットな世界においては、フラットであるがゆえに引き立つ個性みたいなものを持ってるものじゃないと、Webサイトとしてはつまらないですよね。

田上●そういう「匂い」のあるサイトというかね、「匂い」的なものが固まっているサイトって少ないと思うんですよね。そういうのってあったとしても、好きな人が好きにやっているだけで、ビジネス的にうまくいかないとか、見ててイタイとか(笑)。価値のある情報とクオリティの高いクリエイティブがあれば、そういうちゃんとしたものができるのかなと。ちゃんとしたものを作りたいというのがありますよね。それがちゃんと価値として残っていくような。

その流れのなかだったらテクノロジーが嫌いというわけではないので新しいツールとか動画を入れたりというタイミングが来るのかもしれないし。いろんな状況に対しての準備はしていますね。でも、そのタイミング対して別に焦ってもいないし、今の状態でわりと満足してるというか。どちらかと言えば、もっと情報が面白くなればいいなと思います。結局は情報なんです。デザインやシステムは情報をささえるためのクリエイティブであるというスタンスですね。

(取材・文:服部全宏[GO PUBLIC] 写真:谷本 夏 編集;蜂賀 亨)


[プロフィール]

鈴木哲也(すずき・てつや)

●株式会社ハニカム

honeyee.com編集長


田上知之(たがみ・ともゆき)

●株式会社ハニカム

取締役・クリエイティブディレクター

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