「顧客を導く新・マーケティングファネル──後編」



「顧客を導く新・マーケティングファネル──後編」

2010年2月15日

TEXT:小川 浩
(株式会社モディファイ CEO 兼クリエイティブディレクター)

ソーシャルメディアによって可視化されたファネルの中身

消費者を顧客へと導くプロセスを「マーケティングファネル」と呼び、たくさんの消費者を見込み顧客として集めても実際に顧客化するまでの歩留まりの悪さを示している、と前回書いた。

「ソーシャルメディア」とは、インターネットを介して世界中に広がる“社会的な会話”の場だ。

Twitterは140文字でいま自分が何をどう思っているかをつぶやくためのツールだし、ブログやmixiなどのSNSの日記は日々の自分の行動や思索の履歴をまとめておくためのものだ。YouTubeやUstreamは動画を、Flickrは写真を、はてなブックマークはお気に入りのWebコンテンツを記録するためのものである。それらのソーシャルテクノロジーによってアップされ、共有されたコンテンツを総じてソーシャルメディアと呼ぶ。

ソーシャルメディアにはユーザー同士のつながりを促進するためのさまざまなしかけが用意されており、互いの関係を視覚的に把握できるのが特徴となる。いわゆるCGM(コンシューマー・ジェネレーテッド・メディア)と同義語といっていい。

消費者を顧客へと導くプロセスであるマーケティングファネルの中で起きていた化学反応は、これまではその過程を見ることがかなわなかったが、ソーシャルメディアは結果としてこのファネルの中の動きをWeb上に再現している。言い換えれば、消費者はソーシャルメディアを通じて、自分たちの心の中の動きをWeb上のテキストとして書き出し始めているのである。




これまでうかがい知ることのできなかったファネルの中身がソーシャルメディアによって見えるようになれば、消費者から顧客になる人を増やすことも可能になる


特に、Twitterが爆発的に普及し始めてからは、ソーシャルメディア上のコンテンツやコンテクスト(文脈)を時系列によく研究しさえすれば、マーケティングファネルの動きが、ある程度リアルに解読できるようになってきている。言ってみればソーシャルメディアはマーケティングファネルの中を明るく照らすサーチライトだ。

消費者から顧客に変わるまでのマーケティングファネルの中の動きを知る必要があるのであれば、ソーシャルメディアという新しいメディアを理解し、そしてうまく活用していかねばならない。これがソーシャルメディアマーケティングを行う意義と言っていい。


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[筆者プロフィール]
おがわ・ひろし●株式会社モディファイ CEO兼クリエイティブディレクター。著書に『ビジネスブログブック』シリーズ(毎日コミュニケーションズ)、『Web2.0BOOK』(インプレス)、『仕事で使える!「Twitter」超入門』(青春出版社)、『ソーシャルメディアマーケティング』(ソフトバンククリエイティブ/共著)などがある。
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