「ソニーvsアップル 2社の対抗軸について考える──前編」



「ソニーvsアップル 2社の対抗軸について考える──前編」

2010年3月23日

TEXT:小川 浩
(株式会社モディファイ CEO 兼クリエイティブディレクター)

アップルの後塵を拝するソニー

ソニーが名古屋に直営店をおいたことが話題になっている(編集部注:ソニーストア 名古屋)。アップルの直営店の目と鼻の先にあるため、ソニーがアップルへの対抗意識をいよいよ隠さなくなったとみる向きが多くなっているからだ。



「ソニーストア 名古屋」のWebページ
http://www.jp.sonystyle.com/Store/Nagoya/


アップルとソニーは、ブランドの在り方や印象自体がよく似ているメーカーだ。ともに強烈な個性を持つ二人の創業者(ソニーは井深大と盛田昭夫、アップルはスティーブ・ウォズニアックとスティーブ・ジョブズ)によって創業され、しかもそれら二人の組み合わせが天才技術者と天才マーケターという組み合わせであることもよく似ている。また、常に市場をリードするような新しい製品および製品カテゴリーを作ってきたことでも知られ、音楽や映像への強いこだわりを持つことも共通している。

しかし、その類似性は昨今薄まる一方だ。

業界カテゴリーという意味では重なる領域にいることが多い両者だが、常に最先端を走るアップルに対して、ソニーは常に後塵を拝するようになっている。コンピュータ、携帯電話、携帯音楽プレーヤー、家庭用映像セットトップ、液晶モニター、ゲーム機器。アップルが作っている(OS以外の)ほぼすべての製品ジャンルにソニーは対抗商品を置いている。すべてのアップルの商品に、相当する商品をソニーは持っているのである。

しかし、いまやほとんどの商品レイヤーにおいてソニーはアップルブランドに対して劣勢に追いやられている。

その理由はなにか?

ソニーとアップルの対抗軸を考えることは、マーケティングの在り方や、日本の産業全体の問題点に迫ることになるだろう。

(次回に続く)


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[筆者プロフィール]
おがわ・ひろし●株式会社モディファイ CEO兼クリエイティブディレクター。著書に『ビジネスブログブック』シリーズ(毎日コミュニケーションズ)、『Web2.0BOOK』(インプレス)、『仕事で使える!「Twitter」超入門』(青春出版社)、『ソーシャルメディアマーケティング』(ソフトバンククリエイティブ/共著)などがある。
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