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生成AI「Adobe Firefly」が正式リリース。生成クレジットの導入でβ版と違いや使い勝手を試してみた

2023.09.26 Tue

Adobeは9月13日にこれまでベータ版として公開していた生成AI「Adobe Firefly」を正式にリリースしました。Creative Cloudの一部としてサブスクリプションプランが公開され、商用利用も可能になります。ここでは、ベータ版と異なる点や実際に使ってみた感想を紹介していきます。

Adobe Fireflyの概要

Fireflyは生成AIを導入した新しい技術です。プロンプトというテキストを入力することで、具体的なイメージを作り出すことができます。フォトリアルなポートレートや空想上の生き物、テキスト効果や鮮やかなカラーパレットの制作などが可能です。ベータ版では商用利用が禁止されていましたが、今回の正式リリースにあわせて商用利用も許可されています。

Fireflyは100を超える言語に対応しているので、多くの利用者が母国語を使って画像を生成できます。また、生成した画像を整える機能も搭載していて、ブラシを使ってオブジェクトの削除や新しいオブジェクトの描画ができます。これまでにはない自由かつ直感的にクリエイティブなコンテンツを作成できます。

また、Firefly生成AI搭載のツールも提供を開始しました。Photoshopの「生成塗りつぶし」と「生成拡張」、Illustratorの生成再配色など、一部のAdobe製品には生成AIが組み込まれています。

Adobe Fireflyのプランと価格

Fireflyは、無料プランとプレミアムプランを提供しています。無料プランでは、毎月25個の生成クレジットを利用でき、クレジットカードなど決済方法の登録は必要ありません。一方、プレミアムプランでは、毎月100個の生成クレジットとAdobe Fontsの利用が可能です。

プレミアムプランの価格は、680円/月で、月ごとに課金され、いつでもキャンセル可能です。無料で使うことができるので利用するまでのハードルが低く、まずは自身のニーズや予算に合わせて最適なプランを選ぶことができます。

契約を迷う場合はまずは無料プランで試しみて、クリエイティブな制作に役立ちそうだと判断できれば有料プランを導入するのがいいかもしれませんね。

無料でも利用できる

Adobe Fireflyで実際に生成してみた

ここからは実際にFireflyを使って画像を生成していきましょう。Fireflyのページにアクセスするとプロンプトを入力するボックスがあるので、文字を書いてから「生成」をクリックします。

Fireflyのトップページ
トップページからプロンプトを入力して生成できる

今回はプロンプトを「森の中で青紫の翼を広げる火を吹く空想の生物、月明かり、幻想的、輝く目、デジタル描画」とファンタジーな設定にしてみました。すると以下の4つの画像が生成されました。

生成した画像をさらに編集することもできます。「生成塗りつぶし」や「似た画像を生成」、「参照画像に設定」など、生成した画像を完成形に近い形に整えていきます。今回は「生成塗りつぶし」で、生成された画像を編集してみます。

生成した画像を編集できる

生成された画像の中央に配置された月が印象的なので、この部分を変更していこうと思います。ブラシで変更したい部分を塗りつぶし、プロンプトを入力することで、新しい画像が生成されるようです。ここでは試しに月の色が緑色になるようにプロンプトを入力し、「生成」を行いました。

修正したい部分をブラシで削り、「緑色の月が輝いている」と入力して「生成」

ブラシの操作がうまくいかず、きれいに「生成塗りつぶし」が実行できるか心配でしたが、上手く生成できました。修正したい部分のブラシはおおよそで問題なく動作するようです。生成された画像を確認すると、黄色だった月がしっかりと緑色に変化しています。

今回のように部分的にモチーフを置き換えたり、色を変えたりといったことがブラウザ上で行えます。手書きで修正するとそれなりに時間がかかってしまう変更ですが、生成の場合は1分にも満たない間に完成しました。人間では再現できないスピードと言えそうです。

緑色の月が生成された

イメージの生成が手軽で、修正も簡単にできることから、クリエイティブな制作にもすぐ役立ちそうなレベルだと感じます。ライセンス面でも安心して商用利用できることから、今後はFireflyで作られた画像を目にすることが多くなるのではないでしょうか。

Adobe Fireflyの生成クレジットについて

Fireflyの正式リリースに合わせて「生成クレジット」が登場しました。Fireflyはテキストから多様なクリエイティブコンテンツを生成するとても便利なツールですが、AIモデルでのコンテンツ生成には大量の計算リソースが必要とされます。そのため、Adobeは「生成クレジット」というシステムを導入し、ある程度の制限をユーザーにお願いすることでリソースを管理しています。

生成クレジットは、ユーザーがAdobe Fireflyの機能を利用する際に消費され、毎月リセットされます。消費されるクレジットの数は、生成された出力の計算コストと使用されるAI生成機能によって異なります。例えば、テキスト効果や生成塗りつぶしの利用時には1クレジットが消費されます。

2023年11月1日までは、Adobeの有料プラン契約者は生成クレジットの制限の対象外ですが、それ以降はクレジット制限が適用されます。さらに今後のAI機能としてより多くの生成クレジットが消費される可能性があるとも言及されています。具体的には、解像度の高い画像やアニメーション、ビデオ、3Dの生成AI機能が提供される予定としています。

Adobe Fireflyで新時代のクリエイターを目指そう

Adobe Fireflyの登場で具体的なコンテンツを描いたり撮影したりすることが難しいクリエイターであっても、画像やデザイン素材を手に入れることができるようになりました。Fireflyは無料プランとプレミアムプランの選択肢があり、クリエイターの挑戦したい程度に合わせた頻度で使うことができます。

また生成クレジットの説明によるとFireflyの正式リリースは、Adobeの生成AI活用サービスの一部でしかないようです。今後、高画質画像やアニメーション、3Dなど多様な領域に生成AIが導入されることが予定されています。

これまでとは異なる制作フローを活用することで、新時代のクリエイターとして活躍するチャンスと出会えるかもしれません。まだ利用したことがない人は、ぜひ一度Fireflyを利用してみることをオススメします。

関連ページ:https://firefly.adobe.com/

Adobe
URL:http://adobe.com
2023/09/26

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