第2話 既存のメディアとの違い | デザインってオモシロイ -MdN Design Interactive-
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みなさん、ネットアニメ観てますか? ちょっと前まではアンダーグラウンドな動向に思われていた世界ですが、現在大ヒットを飛ばしている『やわらか戦車』を筆頭に一般レベルに浸透してきた新メディア。今回は、その最前線「livedoor ネットアニメ」のプロデューサー・高山晃氏、同サイトで刑事ドラマのパロディ作『マジデカ。』などを公開している作家・みやかけお氏に、ネットアニメの現在と今後について語っていただきます。


第2話 既存のメディアとの違い


常識にとらわれない発想


??現在のネットアニメ状況を振り返ると、やはり蛙男商会、あるいは『やわらか戦車』のラレコさんが突破口になったと思いますが、その理由は何だったと思いますか?

高山●livedoor ネットアニメの開始から連載が始まったラレコに関しては、作画、シナリオ、音楽、歌などすべてに天才的な才能があった。以前、ある取材で「ヘタウマ特集に登場を……」という依頼があったのですが、それは断ったんです。ラレコは絵がうまいんですよ。それを崩して、わざとキャラっぽく書いている。Flashでアニメーションを作るようになって初めて曲も作るようになり、誰に教わったというわけではないのですが、いまや『やわらか戦車』の着うたなどはJ-POPの有名曲をおさえてチャート1位になったりしています。これから、いろんなクリエイターと付き合うと思うのですが、ああいうタイプの天才はなかなか出てこないかなぁ……と思っています。

??謎に包まれた存在のようですね。

高山●いまや破竹の勢いですが、それまでいろんな人生経験の末に現在がある。いきなりパッと出てきて“退却するやわらかい戦車”という設定はなかなか出せないと思います。みやさんもそうですが、台頭するフォロワーは簡単には出てこないでしょう。


高山晃氏(左)と、みやかけお氏(右)

作家の創造性を最重視する高山さん(左)と、異彩を放つみやさん(右)
??ネットアニメというシーンだからこそ才能が開花した?

高山●いや、偶然ネットアニメというメディアに繋がったわけで、たとえば僕らの会社が既存の映像プロダクションだったら、違ったことを考えたかもしれません。お笑い好きのみやさんを放送作家として売り出したかもしれないし(笑)。

みや●やれないですよ。人生万事、やる気がないもので(笑)。

高山●やろうと思ったらできますよ。たまたま僕らはこういう会社でこういう仕事をしているけど、お笑い番組のプロデューサーと仲良しだったらネジ込んでいたかもしれない。でも、新しいメディアだからこそ、常識にとらわれない発想が生まれたわけで。

??みやさんもlivedoor ネットアニメの開始直後から参加していますが、当初はどう感じていました?

みや●ダマされているんじゃないかって(笑)。どうせ2回ぐらいやって、おしまいだろうなと思っていました。

高山●まだ作家陣が5人ぐらいの頃でしたね。

??現在は20人以上の連載陣に増えてますね。

高山●そうですね。投稿やクリエイターの紹介、イベントでスカウトしたり、出会いはいろいろですが。

みや●だから段々、僕の扱いが悪くなっていくんだけど(笑)。

高山●いやいや『マジデカ。』の一番のファンは私だと思っています。

『マジデカ。』誕生秘話


??2006年5月から連載の『マジデカ。』は、どのような経緯で作ろうと?

みや●その年の春、当時ライブドアの副社長だった伊地知さんに呼び出されて、いきなり「刑事ドラマやりませんか?」と言われたんです。livedoor ネットアニメでは、まだ作品2本ぐらいしか発表していない頃だったので、心の中では「またダマされているのかな?」と思ったのですが(笑)。

高山●ちょうど、いろいろあった頃でしたね(笑)。

みや●そうそう。だから六本木ヒルズに行って「ああ、この正面のエスカレーター、ニュースで見た」って(笑)。

??なぜ、突然「刑事ドラマを……」なんて話が?

高山●その頃は『やわらか戦車』もヒットの兆しが見えていたし、ここで視聴機会を増やしたいという考えもあったので、もう一本シリーズ作品が欲しいと思っていたんです。伊地知さんもお笑いが好きな人なので、みやさんの持っている笑いのセンスをどうやって見せたらいいか考えていたんですね。それまで、みやさんは『みつおの世界』など瞬発的な笑いに人気があったように思いますが、いわば三谷幸喜的なコメディで笑いを深く追求できるものを作っていただきたいと考えると、じわじわとおかしさが生まれる刑事シリーズを……という話になった。


高山晃氏(左)と、みやかけお氏(右)

みやさんの野球帽、お問い合わせがありましたが完売です(残念)
??お笑い以外に刑事ドラマも好きだったんですか?

みや●世代的に『太陽にほえろ!』や『西部警察』を当たり前に見ていましたから。そのぐらいのノリでやりましょう……という話だったので、だったらいいかって。基本的にオッチョコチョイな性格なので、そのときは気軽に「なんとかなるだろう。ダメなら向こうであきらめるだろう」と。

??しかし1話目から11分。いきなり10分超えるものって普通は……

高山●冒険でしたよ(笑)。

みや●伊地知さんも「ネットで3分半以上は見ない」と言っていたのですが……できちゃったものは仕方がない(笑)。

高山●みやさんは当初から「一発芸みたいなものが多いから、30分くらいの作品を作りたい」と言っていたので、まあ予想はついたのですが……僕もかなりアバウトなので「公開しちゃいましょう」って。

??反響は?

高山●やっぱりシリーズ物ということで、続けていくうちにファンがついてくる感じでしたね。

みや●最初は「うわー、空振りだ!」と思ったんです。でも、打ち切りとは言ってこないから、次も作らなくちゃって……。

高山●あと1話目は文字がフキダシでしたが、2話目から大阪アニメーション専門学校の講師、川妻みぽさん率いる「TEAM_Radio☆Actress」に依頼して、フルボイス化したんですね。やはり『マジデカ。』は台詞のかけあいの面白さがあるから、声を入れたことで断然良くなった。

??およそ10分作るのに、どれぐらいの時間がかかるのですか?

みや●2ヶ月弱ですね。……高山さんには申し訳ないと思っていますが。

高山●いやいや、いつまでも待ってますよ(笑)。

みや●まあ、他の作家もいるからいいだろう……という気構えで。

??それでも2ヶ月に1本のペースで、だんだん時間も長くなって。

みや●ええ。第2話ではいきなり前編・後編に分けていますからね(笑)。以降、休みなく続けて、大体1本作り終わる頃に「次どうしよう?」と。

??昨年末に公開の第4話では、ついに15分。すごいですね。

みや●すごい……ですよね。すごいな、俺(笑)。



次週、第3話は「ネットアニメにおける“お笑い”とは?」を掲載します。

(取材・文:増渕俊之 写真:谷本 夏)



高山晃氏

[プロフィール]

たかやま・あきら●1964年生まれ。同志社大学商学部卒業後、広告代理店、映像制作プロダクション、アニメーション会社勤務を経て、2005年8月にインディーズアニメのプロデュース企業、株式会社ファンワークスを設立。livedoor ネットアニメの企画・運営、テレビ番組や携帯コンテンツの構成などを手がけている。

http://www.fanworks.co.jp/



みやかけお氏

みや・かけお●1971年生まれ。1999年より自身のWebサイトを開設。2003年「ザ・ガーベージ・コレクション」として新装、Flashによる映像作品などを公開。2005年、DVD『みつおの世界』を発表。現在、livedoor ネットアニメで「マジデカ。」を連載する他、アニクリで「坂井さん家の卓袱台ハッピートーク」を公開している。http://garbage.web.infoseek.co.jp/


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