第4話 広がりを見せるネットアニメ環境 | デザインってオモシロイ -MdN Design Interactive-
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みなさん、ネットアニメ観てますか? ちょっと前まではアンダーグラウンドな動向に思われていた世界ですが、現在大ヒットを飛ばしている『やわらか戦車』を筆頭に一般レベルに浸透してきた新メディア。今回は、その最前線「livedoor ネットアニメ」のプロデューサー・高山晃氏、同サイトで刑事ドラマのパロディ作『マジデカ。』などを公開している作家・みやかけお氏に、ネットアニメの現在と今後について語っていただきます。


第4話 広がりを見せるネットアニメ環境


いかにパワーアップさせるか?


??たとえば『マジデカ。』のDVD化などのお考えは?

高山●そのままソフト化するのではなく、みやさんの場合はオリジナルライツということになるのかな……。本編が原作になって漫画化されるとか、ドラマ化されるとか、発展的に刑事ドラマができたら面白いとはうっすら思ってて。

みや●そのためには、まず、みなさんのご声援がないと(笑)。

??どんどん、長さをどんどん感じなくなっていますよね。

みや●やっぱり、音声があるのは大きいですよ。

高山●気がつくと「15分も見てたんだ、俺」という感覚。

みや●最初はフキダシを読むのがツライだろうと思っていたのですが、声優さんの声だとテンションでセリフ以外も伝えてもらえるからありがたい。

高山●テンポ感を意識してシナリオが練られていますからね。

みや●レベルを落とさないように、なるべくテンポは大事にしてますね。

??音楽も自分で?

みや●最初に話があったとき、刑事モノだからテーマ曲がないとダメだろうと思って、自分で作りました。完全に作曲ソフト任せでしたけれど。だから基本的に、声以外は一人でやってますね。


高山晃氏

個人制作の作家さんをいかに支援できるか……」(高山氏)
??livedoor ネットアニメでは、たとえば作田ハズムさんの『暗黒キャット』など、チームで作っている作品もありますよね。

高山●あれは中京テレビでシリーズ化するときに「制作期間をスピードアップしてほしい」という要望があったんですね。そこで背景のスタッフを一人つけたり、声優さんと音響監督を加えてパワーアップさせたんです。あと、SLEEP WALKERの吉澤はじめさんに音楽も提供していただいてます。大人数ではないですが、一人ずつのクオリティが高い実験的なチームを作ろう、と。

??今後、段々そうした作品が多くなっていきそうですか?

高山●結局、個人の作家支援をやっていくと「どこをお手伝いしましょうか?」ということになる。みやさんの場合は「声優入れてみますか?」ということだったし、作田さんの場合はスタイリッシュにみせたいということで音を強化して。あと、ハリウッド映画の吹き替え版みたいにしたいから、シュワルツネッガーの吹き替えをやっている声優さんを使おう……とか。それは企画の内容によって異なってきますね。

作家自身の「ブランド」作り


みや●そのような制作環境の規模の広がりは、livedoor ネットアニメが立ち上がった2005年後半以降から顕著になってきたと思います。いわば、商業につながる動きが加速してきた。

??それ以前は……

みや●感覚的に好きな人だけが集まる世界。作り手も見る側も同じ原っぱにいて、ひとつのスクリーンを見上げているような雰囲気でした。それが蛙男商会さんのブレイクで流れが変わり、ラレコさんがとんでもない頂に行って……ある意味、この人(高山さん)がいけないんですよ(笑)。

高山●別に原っぱを地上げしたわけではないですよ(笑)。でも、メディアやメーカーの人たちに声をかけて、こんなこともできますよ……という提案をすれば、結果的に盛り上がっていくのではないか、と。

みや●そこから、原っぱでできることとは明らかに違うことが入ってきたんですね。いま、そうして確立されたものがあるけれど、じゃあラレコさん、蛙男商会さんに続く人が出てくるかというと、それも未知ではありますよね。基本は個人制作だから、個人の資質が関わってくるじゃないですか。


みやかけお氏

「2005年がネットアニメの分岐点だった」(みや氏)
??いまのシーンがどのように続いていくのか、と。

高山●そこについては、僕も考え続けています。従来のアニメ業界だと、1作のヒットがあれば10年ヒットがなくても会社が存続するケースがあるんですね。でも、ネットの世界でそれが通用するとも思えない。いかに『やわらか戦車』のようなモデルを複数作っていけるか……。それこそお笑い産業のように、劇場、深夜の番組、ゴールデン枠、そして映画というように、できるだけ場を作っていけないのかな、と。

みや●これから、作る人間は増えますからね。それこそ、生まれた頃からネットアニメがある人が出てくる。僕らは他の世界を参考にするしかなかったけれど……。Flashアニメのイベントでも、10代の子がとんでもない作品を作ってきますから。

高山●でも、そういう10代の子たち、僕らと完全に視点が違いますよね。たとえば大友克洋さんの絵みたいだと思って、好きなのか訊ねたら「誰ですか?」って(笑)。

??すごい時代ですね。

高山●彼らが観ているものは、欧米のミュージック・ビデオなんです。それは大友さんをコピーしていたりするのですが、説明するのも面倒だから話が止まっちゃう。通常、プロデューサーとクリエイターは共通言語を探すことから関係が始まるのに、まったく話が噛み合ないまま一緒にモノが作れるのが面白いなって。

??プロデューサーも発想、考え方を変えなくてはならない時代に?

高山●もう“場”を用意して、売るための道筋を考える役目になってしまう。2ちゃんねるやYouTubeの出現で、プロデューサー不在で作りたい人が勝手に作ればいい……という文化になっていますからね。それでも、こういうビジネスの意味がどこにあるのかと考えると、予算を持ってくるとか、あとは音楽が欲しいというならば用意したり。僕はそれを作家主義と言っていて、うちはクリエイター絶対主義なんですよ。

??従来のプロダクション主義ではないわけですね。

高山●ええ。いままでのアニメ業界はもっと工場主義、プロダクションのブランドを打ち出す
主義でしたが、今後は作家自身のブランド作りが大事になってくると思っています。



次週、第5話は「ネットアニメの『未来』」を掲載します。

(取材・文:増渕俊之 写真:谷本 夏)



高山晃氏

[プロフィール]

たかやま・あきら●1964年生まれ。同志社大学商学部卒業後、広告代理店、映像制作プロダクション、アニメーション会社勤務を経て、2005年8月にインディーズアニメのプロデュース企業、株式会社ファンワークスを設立。livedoor ネットアニメの企画・運営、テレビ番組や携帯コンテンツの構成などを手がけている。

http://www.fanworks.co.jp/



みやかけお氏

みや・かけお●1971年生まれ。1999年より自身のWebサイトを開設。2003年「ザ・ガーベージ・コレクション」として新装、Flashによる映像作品などを公開。2005年、DVD『みつおの世界』を発表。現在、livedoor ネットアニメで「マジデカ。」を連載する他、アニクリで「坂井さん家の卓袱台ハッピートーク」を公開している。http://garbage.web.infoseek.co.jp/


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