みなさん、ネットアニメ観てますか? ちょっと前まではアンダーグラウンドな動向に思われていた世界ですが、現在大ヒットを飛ばしている『やわらか戦車』を筆頭に一般レベルに浸透してきた新メディア。今回は、その最前線「livedoor ネットアニメ」のプロデューサー・高山晃氏、同サイトで刑事ドラマのパロディ作『マジデカ。』などを公開している作家・みやかけお氏に、ネットアニメの現在と今後について語っていただきます。
第5話 ネットアニメの「未来」
自己表現としてのFlashアニメ
??ネットアニメ作家とは、職業として生計を立てていけるものですか?
みや●現状で専業は難しいでしょうね。ラレコさんの築いた頂はとてつもなく高いもので、後からついて行くだけでも大変な道のり。蛙男商会さんも、はなからテレビで通用する才能がたまたまネットから発信されたという気がします。もしネットアニメに特化して、それを生業にするということは、逆にいまの自由な感覚や“場”がなくなるという気がしますし。
??自由さがなくなると別物に変わってしまう?
みや●そうですね。そうなると気軽に入ってこれなくなるかもしれないし。
高山●ただ、いろんなオプションはありますよね。Webにせよ、携帯にせよ、Flashアニメのニーズは確実にある。だから、ラレコやみやさんのように明確なスタイルを持つ作家でなくとも、関連した仕事自体は増えていくだろうと予測しています。
高山●若い作り手の子たちと話をしていると、アニメ制作がリアリティのある表現になってきていることを感じるんですね。僕らの世代では、アニメ制作というものはもっと敷居が高かったじゃないですか。彼らの場合、もう日常的な趣味のひとつになっている。自己表現する人はどんどん出てきて、総合表現としてのアニメーションはどんどん増えていくだろうという気がしています。
みや●まあ、僕の場合も仕事としてというより、趣味の延長ですから。
高山●こういう“待ち”の態勢がとれる人が強いですよ。お笑いは作り続けるテンションが大変。その点、みやさんは安定感が抜群にいい。
みや●これで食べていこうという気持ちが、いまに至るまでない。まったく成り行きまかせで、いいことか悪いことかわかりませんが……もうちょっと慌てたほうがいいような気も(笑)。
??自然体ですね。
みや●いや、がんばって自然体に見せようと無駄な努力をしてまして(笑)。
みや●まあ、僕の場合も仕事としてというより、趣味の延長ですから。
高山●こういう“待ち”の態勢がとれる人が強いですよ。お笑いは作り続けるテンションが大変。その点、みやさんは安定感が抜群にいい。
みや●これで食べていこうという気持ちが、いまに至るまでない。まったく成り行きまかせで、いいことか悪いことかわかりませんが……もうちょっと慌てたほうがいいような気も(笑)。
??自然体ですね。
みや●いや、がんばって自然体に見せようと無駄な努力をしてまして(笑)。
センスと技術、どちらが大事か?
??これから目指す人にとって、何が一番重要だと思いますか?
高山●いろんなタイプの作家がいますから、一概には言えませんが……全部一人でやってしまいたい人はとても多いです。ラレコもそうで、現状、テレビや映画の依頼は全部断っている。結局、ラレコが作りたいプロジェクトだから、それをライセンスしたらラレコの作品ではなくなるわけです。そうした世界観を一人で確立できるかどうか、それがカギだとは思います。
みや●これから始める人は、センスよりも技術を身につけたほうがいいと思います。技術がなくてもセンスがあればいいって、それほど一番難しいことないですから。技術は学べるけれど、センスは教えられない。教わっても、その通りやって面白くなるわけではないから。技術がなくて苦労している私は、そう思うのですが……。
高山●いや、技術があっても最終的にセンスがない人は難しいのでは? うまいだけの人は不幸ですよ。だったら裏方になったほうがいいって場合もある。それは、どの世界でも同じではないかと思います。
ついに『マジデカ。』第5話がアップしました(みや氏)
??センスと技術……作り手とプロデュース側で意見が分かれましたね(笑)。
みや●技術がなくて実感するのは、決定的に量産ができないということなんですよ。真っ直ぐとカーブしか使える球がない、という感じで。
高山●なるほど。……でも、やりたいことがあるのだけれど、どうやって見せたらいいかわからないという場合がありますよね。そのきっかけとしてFlash、ネットアニメで提示する方法はアリだと思うんです。それこそ、みやさんのように“お笑い”を追求する手段としては非常に効率がいい。それが今後、ドラマ、演劇……と広がっていく可能性もあるし。現在、お笑いブームですが、かなり有名な漫才コンビにしても好き勝手にネタを放映できるテレビ番組がないのだから、それを考えるとネットの懐は広いと思いますよ。
??まだまだ可能性を感じていますか?
みや●高山さんが「続けていい」と言ってくれているまでは(笑)。
高山●それ以前にネトアニがなくならないか心配ですが、まぁしばらくは大丈夫だと思います(笑)。
みや●いまやっていることが完全だとは思っていないので、客としての自分を納得させるものができるまでは続けたいですね。
??自分に厳しいですね。
みや●厳しいというか、作り手よりも客で居た時間のほうが長いですから。とりあえず同業他者がいないのが、いまの僕の取り柄。もし真似してくる人が出てきたら、どう叩こうかと(笑)。
みや●技術がなくて実感するのは、決定的に量産ができないということなんですよ。真っ直ぐとカーブしか使える球がない、という感じで。
高山●なるほど。……でも、やりたいことがあるのだけれど、どうやって見せたらいいかわからないという場合がありますよね。そのきっかけとしてFlash、ネットアニメで提示する方法はアリだと思うんです。それこそ、みやさんのように“お笑い”を追求する手段としては非常に効率がいい。それが今後、ドラマ、演劇……と広がっていく可能性もあるし。現在、お笑いブームですが、かなり有名な漫才コンビにしても好き勝手にネタを放映できるテレビ番組がないのだから、それを考えるとネットの懐は広いと思いますよ。
??まだまだ可能性を感じていますか?
みや●高山さんが「続けていい」と言ってくれているまでは(笑)。
高山●それ以前にネトアニがなくならないか心配ですが、まぁしばらくは大丈夫だと思います(笑)。
みや●いまやっていることが完全だとは思っていないので、客としての自分を納得させるものができるまでは続けたいですね。
??自分に厳しいですね。
みや●厳しいというか、作り手よりも客で居た時間のほうが長いですから。とりあえず同業他者がいないのが、いまの僕の取り柄。もし真似してくる人が出てきたら、どう叩こうかと(笑)。
今回で「ネットアニメは進化する」は終了です。
次週からは、タイの作家プラープダー・ユンさん、アートディレクターの遠藤一成さんによる対談をお送りいたします。どうぞご期待ください。
(取材・文:増渕俊之 写真:谷本 夏)
[プロフィール] たかやま・あきら●1964年生まれ。同志社大学商学部卒業後、広告代理店、映像制作プロダクション、アニメーション会社勤務を経て、2005年8月にインディーズアニメのプロデュース企業、株式会社ファンワークスを設立。livedoor ネットアニメの企画・運営、テレビ番組や携帯コンテンツの構成などを手がけている。 |
みや・かけお●1971年生まれ。1999年より自身のWebサイトを開設。2003年「ザ・ガーベージ・コレクション」として新装、Flashによる映像作品などを公開。2005年、DVD『みつおの世界』を発表。現在、livedoor ネットアニメで「マジデカ。」を連載する他、アニクリで「坂井さん家の卓袱台ハッピートーク」を公開している。http://garbage.web.infoseek.co.jp/ |