第1話 「シブヤ経済新聞」ってなに? | デザインってオモシロイ -MdN Design Interactive-
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2000年4月にスタートした「シブヤ経済新聞」(シブ経)は、ネット上の広域渋谷圏におけるビジネス&カルチャーニュース新聞として注目され、そのページビューは現在では約100万ビューまでになっている。最初たった一人ではじまった「シブヤ経済新聞」は、現在はそのネットワークが広がり「みんなの経済 新聞ネットワーク」(みん経)として18都市で展開されている。今回は「シブヤ経済新聞」の編集長であり、ネットワークのディレクションを担当している 西樹氏に話をうかがった。


第1話 「シブヤ経済新聞」ってなに?




●西:「シブヤ経済新聞」は2004年4月にスタートしたのですが、きっかけとしては単純に自分が渋谷という街が好きだったからですね。僕は大学が青山学院大学で、最初に働いていた会社も外苑前にあったので、大学時代からずっと渋谷近辺をうろうろとすることが多くて。渋谷って常に変化がある街で大好きな街なんです。でも、学生時代はショッピングやおいしいものを食べるお客としてリアルターゲットだったのが、30代後半になってくるとそういったことよりも、誰がやっているんだろう?とか、誰がこの店を開いたんだろうか?何が新しくできるんだろう?といったことに興味が向かっていって。

渋谷の情報誌や情報サイトなどもありますが、おいしいお店情報とかはあるけど、いったい誰がやっているのかとか、年商はどのくらいを目指しているのかとか、坪数はどのくらいなんだろうといったことは情報として紹介していなくて。もう少し仕掛ける側、プロデュースする側から見た「渋谷」という街を知りたくて。それで経済新聞というスタイルで「渋谷」という限定されたエリアの経済新聞があったらいいなって考えていたんです。

最初は誰に向けてとか、ビジネスモデルとかそういったことはまったく考えていなかったですね。自分が欲しい情報メディア、自分のためにつくったというのが原点ですね。大人が見て渋谷という街の仕掛けがわかるメディア。それが「シブヤ経済新聞」です。当時はそういうメディアがなかったので、自分のためのメディアというのが最初です。

最初は会社の片隅で、社長業をやりながら、取材から原稿をかいたりなどすべてをたった一人でやっていました。他の街にも興味ありましたが、コストもかけられないし、一人なので、自分の好きな街、渋谷だけだったらなんとかなるかなとも思って、それで渋谷駅から一駅あるいは二駅の範囲、原宿、表参道、恵比寿、代官山あたりを「広域渋谷圏」という言葉を設定してそれをカタカナで「シブヤ」として、「シブヤ経済新聞」を立ち上げました。

ーーなぜ渋谷ではなく「シブヤ」とカタカナにしたのですか?

シブヤ経済新聞のトップページ









●西:「渋谷」と漢字にしてしまうと渋谷駅周辺の印象が強くなりすぎてしまうかなと思ったからです。それで広域渋谷圏として「シブヤ」とカタカナで表記するようにしました。渋谷だけではなくて、渋谷周辺というエリアがとても面白くて。渋谷周辺は街が連動しているんですね。新宿とか池袋という街は駅近辺がとても巨大なんですが、そのまわりの街は、特色がフェイドアウトしていくんです。でも渋谷はすぐ隣の代官山や恵比寿とかと、連動して動いていると思うんですね。僕はこの連動性のある渋谷周辺エリアが大好きなんです。こういった街って日本でも珍しいと思うんです。

ーー渋谷周辺の魅力とはなんですか?

●西:不思議なことに渋谷駅から少し離れたところにはきれいな街が多いんです。代官山か表参道とか。パチンコ店とかも渋谷駅中心に集まっているだけで、周辺の街ではほとんど見かけないですよね。渋谷は原宿、恵比寿、表参道、代官山と街のカラーは違うんだけど、どこかゆるやかにつながっているのが面白いんです。僕らが学生の頃は電車にのって1駅移動したりしましたけど、今は歩かないと街の面白さが伝わってこない。原宿渋谷間を歩いている人は多くて、街好きな人にとって渋谷周辺はとても面白いところだと思うんですね。

ーー現在運営スタッフは何人ですか?

●西:現在「シブヤ経済新聞」のスタッフは僕も含めて3人です。日中から夜中にかけて、毎日3本から4本の情報を掲載するようにしています。平日最低一本はニュースをあげていかないとブログと一緒になってしまうんです。ただ。街ネタを探したり、話を聞いたり、写真を撮りにいったりする部分は本当にアナログで面倒な作業が多いのも事実です。そうした意味では、間違いがないように緊張感も必要ですね。普段ブログを書いている方は、何もネタがない場合はその日のニュースをネタに書く人も少なくないようです。そういう時に、殺人ニュースとか政治ニュースなどの「大ネタ」より、でも、「シブ経」でとりあげているようなニュースだと、扱いやすいようで。「アキバ経済新聞」が配信したミクシィの「エヴァンゲリオン絡み」のニュースには700件くらいのトラックバックがついたこともありました。

ーーはじめてから7年間でなにか状況に変化は出てきましたか?

●西:2000年にスタートしてから基本的には何も変わっていないですね。マラソンのようにコツコツと僕らができることをやっています。こつこつと続けてきたおかげで、地域の人と「縁」ができてきました。最初の頃は「シブヤ経済新聞」といっても、なんだか怪しいイメージがあったようで、基本的に有料広告で誌面を埋めている街のフリーペーパーと混同されがちだったのですが、僕たちはお金をとったりはしないので「お金とらないでどうやって食っているんだ、なんのメリットがあるんだ」みたいなことを言われたし(笑)。

7年続けてきて少しずつ理解してもらえるようになってきましたね。最近では自分の会社でなにかニュースがあると率先して情報を提供してくれたり、渋谷で面白いことがあったら「シブ経に連絡したら」みたいになってきているのが嬉しいです。時には読者から「これってシブ経向きの情報じゃないですか」ってメールで連絡をいただいたりすることもあります。「シブ経」のカラーみたいなものを理解してくださる方がいるのは、とても嬉しいですね。

ーー情報収集はどのようにしているのですか?

●西:もちろんプレスリリースなどをたくさんいただきますが、その情報だけだと面白くなりません。やはり、自分たちで街を歩いて情報を収集するのが基本です。街を歩いていて改装中のところがあると、次は何ができるのかと問いあわせしたり、人づてにニュースを聞いたり、いろいろな人に協力してもらって、情報を集めています。街を歩くときにはデジカメは欠かせないですね。やはり、街の基本は「人」だと思います。いろいろな方とコミュニケーションがうまくとれるようになってくれば、結果としてWeb2.0的な要素も高まってくるのではと思います。トラックバックも良質なものが多いので、いいユーザーさんにめぐまれているのかもしれないですね。





(取材:蜂賀 亨 写真:谷本 夏)


西  樹(にし・たてき)

(プロフィール)
1960年生まれ、兵庫県出身。青山学院大学経済学部卒業。卒業後、大手PR会社を経て、1988年(昭和63年)花形商品研究所を設立。2000年(平成12年)4月、広域渋谷圏の動向を伝えるニューサイト「シブヤ経済新聞」を開設。パートナー企業と共に「ヨコハマ経済新聞」「六本木経済新聞」「天神経済新聞」などを各地で運営。デパ地下の情報サイト「デパチカドットコム」も同社の運営。
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