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第1回 WPFで3Dアプリケーションをつくってみよう


誕生してからその進化を止めることなく、ますます成長するWebの世界。最新WEBテクノロジー研究室では、まさに最新の技術を使ったさまざまなテクニックを紹介する。この技術を身につけ、あなたのWebサイトをより進化させよう。

(制作・文:松岡 清一 NRIネットワークコミュニケーションズ株式会社)

著者近影:松岡清一 [プロフィール]
まつおか・せいいち
証券会社システム、自治体情報化コンサルティングを担当したのち、インターネット事業へシフト。以来、インターネットの黎明期からさまざまなビジネスへの活用、応用を試み、つねに最新技術を取り入れたWebサイトをプロデュースし続けている。現状分析から企画立案、要件定義、情報デザイン、システム構築、そして運用までをトータルにプロデュースすることで、Webサイトの効果と可能性の最大化を実現している。


Windows XPの発売以来、Web上の“エクスペリエンス(体験)”は確実に進化した。それから5年の歳月を経て登場した「Microsoft Windows Vista(以下、Vista)」。これは、「混乱を解消し、あふれる情報を整理し、未来を垣間見せる」というもの。

Webの表現が加速しコミュニケーションが深化する一方で、ウイルス感染、情報漏えいなど、混乱させられることも多くあった。そんな混乱を解消し、ユーザーに未来を垣間見せるためにクリエイターは何をすべきか。

ムーアの法則のとおり、マイクロプロセッサの性能が18カ月で2倍になるとすると、われわれは5年で8倍の性能のマイクロプロセッサを手にしたことになるが、ゲームの世界で果たしたような輝かしい進化はWebの世界になかった。

ところが、Vistaの新しいUI(ユーザー・インターフェイス)である「Windows Aero(ウィンドウズ エアロ)」は3D空間を前提としており、高機能なプレゼンテーションレイヤーのコミュニケーションを開発するコンポーネントとして「Windows Presentation Foundation (以下、 WPF)」が提供された。

これにより、ゲーム開発者が苦労して実装していたAPIをクリエイターが制御できる環境が整ったが、新しい技術を正しく理解して制作を行わないと、ユーザーを混乱に陥れることになってしまう。Webサイト制作にWPFをどのように活用するのか。まずは、その世界を体験するところから始めてみよう。

1.まずはWPFコンテンツを見てみよう


すでにVistaがセットアップされているマシンであればそのままWPFコンテンツを閲覧できる。また、Windows XPマシンでも「.NET Framework 3.0」をインストールすれば閲覧可能だ。それには、「Microsoft .NET Framework 3.0 再頒布可能パッケージ」のインストールページから「.NET Frame work 3.0」 用に開発されたコンテンツの実行に必要なランタイムと関連ファイルをインストールする【1】。


【1】「Microsoft .NET Framework 3.0 再頒布可能パッケージ」のインストールページ
多くのWPFコンテンツはサーバサイドでコンテンツの振り分け処理を実装しているので、ブラウザのアドレスバーに「javascript:document. write (navigator.appVersion)」と入力し、「.NET CLR 3」以上の表記が追加されていれば、閲覧準備は完了だ【2】。


【2】「.NET CLR 3」以上の表記が追加されている
それでは実際に、どのようなWPFコンテンツがあるのか見てみよう。マイクロソフト(株)のサイトにあるショーケースには、ブラウザベースで体感できる国内のWPFコンテンツが紹介されている【3】。


【3】「Windows Vista Web Showcase」国内のさまざまなWPFコンテンツを見ることができる
また、「Microsoft.NET Fra mework Application samples」には、EX E形式で起動するデスクトップアプリケーションのサンプルも紹介されており役立つものばかりなので大いに活用しよう【4】、【5】、【6】。


【4】「Microsoft .NET Framework Application samples
EXE形式で起動するデスクトップアプリケーションのサンプルも紹介されている

【5】「WOODGROVE Finance Application」の画面イメージ

【6】「Healthcare Prototype」の画面イメージ

2.Webコンテンツの3D化によるユーザーへの影響


WPFコンテンツを制作するには、おもに「Microsoft Expression Blend」を利用する。これはタイムライン上のキーフレームにアクションを設定しながらアニメーションコンテンツを作成するもので、いわゆるAdobe Flashと同様の開発環境を提供している。

このアプリケーション最大の特徴は、XMLベースのマークアップ言語である「XAML」(Extensib leApplication Markup Language)を介してDirectXを制御できることだ。これは、Vistaに標準装備されたDirect3Dの機能を、WPFを経由してWebアプリケーションから利用できるようになったということである。

これにより、Webコンテンツがこれまで以上にパワフルなマルチメディア表現(グラフィックス・サウンド・3Dアニメーション)でつくられることが予想されるが、それはユーザーにどんな影響を与えるのだろうか。

すでにパワフルなマルチメディア表現を有するサイトとして、米国発の3D仮想世界「Second Life」を見てみよう【7】。


【7】「情報」と「情報を取得するためのUI」をシームレスにデザインすることが重要
ここでは“情報”が3Dでつくられた景色の中にあり、ユーザーは情報を“読む”というよりは“見る”に近い認知をしている。もし情報を“見る”つもりでクリックしたのに、突然HTMLベースの“読む”コンテンツへ誘導されてしまったら、脳が“読む”準備をできていないため“読む”コンテンツの情報を理解しづらくなってしまう。

これは、「2Dだから」、「3Dだから」というだけの単純な話ではなく、「情報」と「情報を取得するためのUI」がシームレスにデザインされていないと、伝えたいことが伝わらないということを意味している。

Vistaの登場によりOSレベルで直感的なUIが提供されるということは、そのOS上で展開されるWebコンテンツも、より直感的なUIを求められるようになる。そのため、必要な情報をその必要性に応じて設計した無駄のない美しいサイトは、ユーザーにさらなる体験を提供し、設計が不十分なサイトはユーザーに見てもらえなくなってしまう。

これまでも、無駄にパワフルなマルチメディア表現が情報を伝える妨げになった事例はいくらでもあるが、今後はよりいっそうの淘汰が進むはずだ。
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