第2回 Phase3 クレームをチャンスに変える技術 | デザインってオモシロイ -MdN Design Interactive-
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Phase 3 クレームをチャンスに変える技術

なぜクライアントの要望は
あとから増えるのか?

Web制作の進行は、よく“家を建てる”話にたとえられる。最初に、施主が家を建てようとするとき、まだイメージが形になっていないことが多い。「住みやすい家がいい」といった漠然とした要望からスタートし、ある程度プランがまとまってきて設計が見えてきた段階から、「ここに出窓をつけたい」、「暖炉をつけて落ち着いた部屋にしたい」と、どんどん具体的な要求が増えていく。そして、いざ完成すると「もっと違う形にしたかった」といった、不満に近い声が上がってくる。この例は、そのままWeb制作の進行にも当てはまる。しかし、発注者と制作者という関係である以上、これはある意味仕方のないことだ。

白紙の状態からスタートしたWeb制作が、ディレクションによって具体性を帯びてくれば、要求が増えるのは当たり前だ。コストと時間をかけてつくるものだからこそ、一生ものにしたいし、時間の経過とともに要望はどんどん膨らんでいくだろう。しかし、これは逆に、Web制作にとって良い状態といえる。Webサイトに対するクライアントの関心や期待があふれている証拠だからだ。相手の立場や理解の度合いを踏まえ、要望や期待に応えていけば、結果的にWebサイト自体のクオリティも上がるし、クライアントの満足度も上がる。


クレームは
信頼度アップのチャンス

Web制作に不慣れなクライアントを相手にディレクションをしていると、クレームに遭遇する機会も増えてくる。経験を積めば積むほど、その率は高くなる一方ではないかとさえ思う。最大限に努力して進行管理をしていても、想定外のトラブルに見舞われたり、何度説明して伝えようとしても理解してもらえなかったり、といったことも出てくる。できればクレームには遭いたくないし、問題を抱えたくないと思うのは当然のことだとは思うが、なかにはWebディレクションを引き立てる「良いクレーム」というものが存在することを知っておいてほしい。

そもそもクレームはなぜ発生するのだろうか。これは発注者、制作者それぞれの意識や立場の違いから派生するところが大きい。この意識や立場の違いという溝をどうやって埋めていくかが、Webディレクションにおける大きな課題となる。クレームを上手に扱っていくことで、クライアントとの信頼関係は飛躍的に向上する。だからこそ、クレームが発生した際には「これはチャンスだ!」と前向きにとらえて取り組んでほしい。何より発注者側の要求に対して、最初から無理だと決めつけてしまわないようにすることが大切だ。このようなときこそ、Webディレクターが落としどころとしての代替案を用意する必要があるし、その腕の見せどころでもあるのだ【1】【2】。


クレームの背景にある
「理由」を考える

良いクレームの背景には「理由」が必ず存在する。物理的に不可能な要求であれば仕方がないが、クレームの理由を追求せず、代替案や落としどころも考えないWebディレクターでは、その役目を果たしているとはいえない。クレームの多さはトラブルの多さではなく、周囲からの期待の表れだ。身の回りからクレームが消えたら、Webディレクターへの期待値がゼロになるということに等しい。「何とかできるかもしれない」というちょっとした糸口から問題を追究、解決していこうとする姿勢が、クライアントとの信頼関係を築いていくうえでも大事になってくる。


【1】Webディレクターにはクライアントの要求に応じ、制作側にも無理のない代替案を提案していくスキルが必要だ


【2】クレームを上手に扱っていくことで、クライアントとの信頼関係は飛躍的に向上する

[INDEX]
>>> Phase1 ヒアリングはただ“聞くこと”ではない
>>> Phase2 段階別のヒアリングポイント
>>> Phase3 クレームをチャンスに変える技術
>>> Phase4 サイト制作を円滑にするプロジェクトフロー


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