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クリエイターのライフハック できる人の仕事術を盗め。


第5章 バイラルディレクター木田広大のライフハック

第1回 アイデア発想法・エクスカージョン

ありきたりのアイデアしか出ないまま、企画が迷走してしまうことがある。そんなとき、エクスカージョンを実践するとアイデア発想の幅を劇的に広げることができる。「脱線」という意味をもつエクスカージョンは、本来検討すべき課題とはまったく関係ないキーワードから斬新なアイデアを生み出すことができる発想法である。

文:木田広大


[プロフィール] 木田 広大(きだ ひろお)

1969年、東京都出身。フリーWEBプランナーを経てADK入社。日本初のバイラルディレクター。アドフェスト2007バイラルマーケティング部門金賞、NYフェスティバル、カンヌ国際広告賞、W3 Awards銀賞、消費者のためになった広告コンクールWEB部門グランプリ受賞。合言葉は「世の中のムーブメントは、すべて人が仕掛けている。」バズクリエイティブユニット・バズーカ(Buzzoooka)メンバー



オリエンの現況


「誰も考えつかないようなアイデアを提案せよ」というオリエンを受けた。あれ? コンセプトは? ターゲットは? マーケティングは? ええー、なにも無し? そんなオリエンあるか?!

いつもならオリエンシートに企業からの要望や難しい条件などがあれこれ書かれていて、いろんな事情にがんじがらめになりながら、企画会議がはじまる。楽しいアイデア会議をしているはずなのに、営業はじめ各セクションから大勢集まると、全員が全員、最高におもしろいぜ! なんてことはなく、早く終わらせたい空気が蔓延することもある。

いろんな事情や前提条件を取り払って、「もっと自由におもしろいこと考えたいな」なんて思うこともあるが、驚いたことにここ最近、そういう機会が出始めているのだ。企業によって、オリエンシートの体裁はまちまちだが、斬新でおもしろいアイデアを求めるクライアントが急増している(ように感じる)。

ブリーフィング(状況説明)をがんじがらめにしてしまうと、凝り固まったアイデアになってしまいがちだ。だから、クリエイターに対して、今までのブリーフィングではいけないってことに企業が気づき始めているみたい。だけど時々、「どこの会社に声をかけても、つまらないアイデアしか出ないんだよ」と嘆いている声を聞くこともある。それって、もしかするとオリエンに問題あるのでは? なんて思うことがある。ぜひ、クリエイターを放し飼いにしてあげてください。狭い箱に閉じ込めないで、元気にのびのび放牧させてあげる感じで、企業の皆様、経営者の皆様よろしくお願いします。



エクスカージョンをはじめよう

「脱線」という意味をもつエクスカージョンは、アイデア発想手法のひとつ。アイデア発想手法には、ブレーンストーミング(ブレスト)とかKJ法とかいろいろあるけど、エクスカージョンを行うと、素人でもいきなり泉のようにアイデアを出し続けることができる。

仮にテーマが、激辛ポテトチップスのキャンペーンサイトの企画だとしよう。はじめに考えつくアイデアは、きっと誰もが考えつくものなので思い切って捨ててしまおう。ここからが腕の見せどころ。ターゲットもコンセプトもマーケティングも、前提条件はすべてリセット。まったくの白紙状態で、脈絡のないキーワードをテーマにしてアイデアを考えてみる。

激辛ポテトチップスとは関係ないキーワードを見つけるために、はじめに好きな動物を想像して、そこから連想される形容詞を瞬時に思い浮かべて次々に紙に書いていく。想像した動物が象であれば「おっとりした」「重い」「ゆっくり」……といった具合だ。形容詞を10コ書いたら、下から3番目の形容詞に丸をつける。

丸をつけたキーワードが「長い」という言葉の場合、激辛ポテトチップスのキャンペーンサイトのアイデアを出すときに、強引に「長い」というキーワードに関連させて考えていく。たとえば、「長い」→「どこまでも続く」→「激辛に悶絶する女優さんのさまざまな表情が毎日見られるサイト」とか、「長い」→「話が長い」→「ユーザーの相談に激辛コメントでこんこんと説教するサイト」といった具合にアイデアを出していく。もしアイデアが詰まったら、キーワードを変更して同じように何度も繰り返すことでアイデアの幅を大きく広げることができる。

あまり深く考え込まず遊び感覚でやるのがコツ。アイデアを連発する頭の体操にもなる。さっそくやってみよう。


Step1 はじめに準備しよう
●動物(物でもよい)を想像する。(目安時間30秒以内)
●形容詞を10語、思いついた順に書きだす。(目安時間1分以内)
●下から3番目の形容詞に丸をつける。



Step2 アイデアを出そう
●動物から浮かべた形容詞(脈絡のないキーワード)をテーマに本来課題をからめながらアイデアを出す。



Step3 アイデアを発散させよう
●エクスカージョンを使ったアイデア会議では、司会進行者1名、アイデア参加者3名~5名程度で行う。
●各自のテーマ(形容詞)が決まったら、司会進行者は順番に指名し、参加者はその場でアイデアを発言する。
●パスは3回まで。



次回もお楽しみに!
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