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クリエイターのライフハック できる人の仕事術を盗め。


第5章 バイラルディレクター木田広大のライフハック

第4回 突破力・インフォームドコンセント

おもしろいアイデアを考えたのに、企画が通せない。企画を通すために、説得材料を用意したのに、それでもダメな場合がある。小手先のテクニックよりも、説得しない、納得を引き出すテクニックを身につけよう。それがインフォームドコンセント。あなたのアイデアの突破力が変わるはず。

文:木田広大


[プロフィール] 木田 広大(きだ ひろお)

1969 年、東京都出身。フリーWEBプランナーを経てADK入社。日本初のバイラルディレクター。アドフェスト2007バイラルマーケティング部門金賞、NY フェスティバル、カンヌ国際広告賞、W3 Awards銀賞、消費者のためになった広告コンクールWEB部門グランプリ受賞。合言葉は「世の中のムーブメントは、すべて人が仕掛けている。」バズクリエイティブユニット・バズーカ(Buzzoooka)メンバー



日本語でしゃべろう


広告会社に入社したての頃、言葉を逆にひっくり返して言うしゃべり方が流行っていて、「シーメ(飯のこと)、行く?」なんて会話が飛び交っていた。寿司はシースー、タクシーはシータクといった具合だ。ジェスチャーを交えながら「これもんで~」なんて言いながら、武勇伝を語る諸先輩方もいた。

言葉の用途やセンスの差はあるけれど、アルファベットやカタカナがやたらと多い点は、WEB用語も同じように感じる。たとえば、SEO、RSS、ブログパーツ、ROI、BUZZ、バイラル、クロスメディア。最近では、PUC(Pervasive Ubiquitous Communication:広汎性ユビキタスコミュニケーション)やNGN(Next Generation Network:次世代ネットワーク)、P to P、IFX(インデックスファブリック)とか。

日々の仕事において、今やWEB用語だけでなく、経営用語、広告マーケティング用語がいりまじって会話されることも増えてきた。知らない国の外国語のようでもあるし、新しいギョーカイ用語のようでもある。

知ったかぶりをして熱弁をふるうと相当かっこ悪いから、知らないなら知らないままのほうがよっぽどいい。でも、知らないと会話にならないこともあるからやっかいだ。僕が尊敬するコピーライターの仲畑貴志さんは、「(横文字なんか使わないで)日本語で話せよ」と雑誌のインタビューやコラムなどで語られていた。僕も同感。ホッとするひと言だ。


おもしろい体験をみんなでしよう


まったくWEBを知らない人に、WEB提案をするのはなかなか難しい。「この企画、おもしろいでしょ?」といっても、おもしろいものを見たことがない人や、おもしろい体験をしたことがない人にはなかなか伝わりにくい。だから、提案の前に、おもしろい事例をまずはたくさん見てもらうようにしよう。

おもしろい事例を見つけたら、パワーポイント1ページに1作品ずつ、日頃からチェックしておく。ページ内には、作品タイトルとメイン画像があるだけでいい。画像からハイパーリンクをはってクリックすると、すぐにWEBが立ち上がるようにしておくと便利だ。1ページに1作品ずつまとめておくと、課題やテーマに合わせて順序の入れ替えや必要なページの取捨選択が簡便でいい。

パワーポイントにまとめた資料をもとに、会議室のプロジェクターなどを使って上映会を開催する。クライアントもクリエイターも営業も、みんなで見ることが重要で、一緒に笑ったり、わくわくする気持ちに火をつけることが大事だと思う。おもしろいものを見ると、あーしたい、こーしたい、もっとあんなことはできないか、と欲が出てくる。職種を飛び越えて、みんながクリエイターになればいい。


インフォームドコンセント


おもしろい企画を考えても、企画が通せない。また、企画がボツになると「説得し切れなかった」なんて言う人がいるけど、説得という言い方は間違っている。企画を通すために、説得なんていらない。納得なんだ、と思う。そう思うようになったきっかけは、インフォームドコンセントという言葉を知ってからだ。

インフォームドコンセントとは「説明と同意」の意味で、主に医療現場などで使用されている言葉だ。医師が事前に、患者に対して医療行為の方法などについて説明を行い、患者が納得し、同意を得たうえで医療行為を行うもの。

●次の文章をお読みください。



これは、インフォームドコンセントの説明です。アンダーラインをした単語を、「Web」関連用語に変換してみよう。




言葉を置き換えると、WEBにおけるインフォームドコンセントになる。僕らの仕事も同じかも。


インフォームドコンセントは、相手を説得するためのものではなく、相手から理解と納得を引き出すためのものである。だから、僕らの仕事においても、説得しようとしてはいけない。そのためには、(1)相手にも理解できる平易な言葉をつかう。(2)嘘をつかない。わからないことはわからないと言う。だけど、相手を不安にさせない心がけをする。ほぼこの2つで大丈夫。納得を得て、はじめて前に進めるんだ。

新しいなにかを、動かそう。



今回で「第5章 バイラルディレクター木田広大のライフハック」はおしまいです。
次章をお楽しみに!!
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