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クリエイターのライフハック できる人の仕事術を盗め。


第5章 バイラルディレクター木田広大のライフハック

第2回 ピンチ脱出法・ペーシングコントロール

新しい企画にチャレンジしようとする場合、予想もしないようなピンチがつきものだ。だけど、そんなことにいちいちビクビクしていたら、新しいコトはなにも始められない。万一のとき、どう立ち向かうか。どうやって制作現場を動かすか。あらゆるクリエイターに必要なマネジメント視点のライフハックを紹介しよう。

文:木田広大


[プロフィール] 木田 広大(きだ ひろお)

1969 年、東京都出身。フリーWEBプランナーを経てADK入社。日本初のバイラルディレクター。アドフェスト2007バイラルマーケティング部門金賞、NY フェスティバル、カンヌ国際広告賞、W3 Awards銀賞、消費者のためになった広告コンクールWEB部門グランプリ受賞。合言葉は「世の中のムーブメントは、すべて人が仕掛けている。」バズクリエイティブユニット・バズーカ(Buzzoooka)メンバー



「あきらめる」の法則


Webの制作段階に入ると、納期めがけてチームが一丸となって突っ走らなければならない。そんなとき、クライアントからの不条理な修正対応や、予定外の対応によって忙殺的なスケジュールに陥ることだって多々ある。

時間に余裕がなくなって追い詰められた状態になるまえに、チームワークの乱れに注意しよう。チームワークが乱れる最大の原因は、感情問題。仕事のぐち、仲間の陰口が出始めたら要注意だ。あらゆるネガティブな発想が、チーム全体のやる気を低下させていく。

楽しい瞬間、人は時間を忘れて無我夢中でのめりこむ。でも、つまらないと思った瞬間から、その時間は永遠に苦痛でしかない。チーム全体が、ネガティブ発想に陥らずにポジティブな発想を心がけることで、制作効率がぐんとアップする。

ポジティブシンキングのコツは、「あきらめる」だ。これは、個性心理學の第一人者、弦本將裕先生に教わった言葉。「あきらかに認める」の略で、相手がどんな人間でもその存在を否定しない、人はそういうものなのだとあきらかに認める。

「あきらめる」発想でチームが前へと動き出す。
「あきらめる」発想でチームが前へと動き出す。


ペーシングコントロール


Webをやっていると、納品後も脳天気でいられない場面は多々ある。サイト運営中、予想打にしない万一の事態に陥ったとき、人は興奮状態になる。

慌てた声で、まくしたてるような電話をいきなり受けた経験がある人もいるのではないだろうか。でも、よくよく落ち着いて調べると、騒ぐほどのことじゃないことも意外と多い。よくわからない原因不明の状況が不安をあおって、どうしたらいいかわからず、興奮状態に追い込むのだ。

とくにクライアントの担当者がそのような状態になったとき、同じように制作現場側が一緒になって慌ててしまっては、事態収拾がますます混乱する場合がある。だって、もしあなたが急病で病院に行ったとき、あなたよりも医師が慌てたら不安で仕方ないでしょ。

そこでそんなときは、相手のペースよりもあえて呼吸をゆっくりさせながら対話するように心がける。こうすることで、相手は落ち着きを取り戻しやすくなる。落ち着いて、しっかり正しく現況が把握できれば、やるべき対策は必ず見つかるはずだ。

さて、そのペーシングコントロールのやり方をお伝えしよう。まずは黙れ。余計なことをしゃべるな。相手に言いたいだけ、存分にしゃべらせろ。遮断せず、聞いてやれ。その時に、相手の息づかいを見ろ。肩の揺れ具合を見ろ。それによって、ペースがわかるはずだ。そのペースよりも、ゆっくり呼吸し、相手のペースよりもほんの少しわざとゆっくりさせてしゃべればいい。

もしも相手以上に慌ててしまって、相手のペースよりもこちらが興奮して早い呼吸を繰り返しながら対話をすると、ますます相手も落ち着かなくなり、興奮から余計な混乱を引き起こすことがあるので注意しよう。

相手のペースをつかんで、自分のペースを意識しよう。
相手のペースをつかんで、自分のペースを意識しよう。

トライアングルマネジメント


最後にもうひとつ。ピンチ脱出法のひとつとして、トライアングルマネジメントの話をしよう。仕事を進める際は、常に三角形(トライアングル)を意識してフォーメーションを組むといい。

たとえば、クライアント担当者と受注担当者の1対1の関係の場合は、仕事の依頼も、文句もすべて同一人物に向けられることになる。でも、相手からしたら直接文句を言いにくい場面もあるだろうし、受け手からすれば、せっかく今まであれこれと一生懸命やってきたのに、文句を言われた途端、やる気をなくしてしまうこともあるだろう。そこで、もう1名加えて三角形になる関係をつくっておこう。

これがたとえば、ディレクターとデザイナーの2人の関係の場合には、あともう1名加えて、2人をつなぐ役目ができるといいだろう。

トライアングルマネジメント
2人の応援役を加えて、三角関係を意識しよう。
ピンチを恐れず飛び込めば、きっとチャンスが訪れる。おもしろいコトやるまえに、不測の事態にも明るく堂々と立ち向かう勇気を。


次回もお楽しみに!
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