第5章 バイラルディレクター木田広大のライフハック
第3回 肩書き
あなたの名刺には、どんな肩書きが書いてありますか? 肩書きは会社によってそれぞれですが、名刺をきっかけに会話が生まれるか、すぐにしまわれてしまうかは、ビジネスチャンスの大きな分かれ道。いい仕事が欲しいなら、まずはチャンスが舞い込む仕掛けを考えよう。名刺はクリエイターにとって、一番小さなバイラルメディア。だからこそ、大いに活用しなくっちゃ。
文:木田広大
街角写真家との出会い
ある日、雑誌の取材を受ける機会があって、取材に同行していたカメラマンの方と名刺交換をした。そこには、「街角写真家」と書いてあった。あまりに衝撃的で、「街角ってなに?」「いったいどんな写真を撮る人?」という疑問が頭の中をぐるぐるした。何日経っても、頭から離れなかった。
それまで僕の肩書きは、Webディレクターだった。でも、Webディレクターのままじゃダメだと感じた。Webディレクターという肩書きをもつ人は、世の中に山ほどいる。ましてや、自分の仕事領域は幅広すぎて、自分がプランナーなのかプロデューサーかディレクターかマーケッターかコピーライターか、ポジションが定まらずにいた。だから、人に聞かれてもきちんと説明できなかった。そんな中、ひらめいたのがオリジナルの肩書きをつくっちゃえ!だった。
それまで僕の肩書きは、Webディレクターだった。でも、Webディレクターのままじゃダメだと感じた。Webディレクターという肩書きをもつ人は、世の中に山ほどいる。ましてや、自分の仕事領域は幅広すぎて、自分がプランナーなのかプロデューサーかディレクターかマーケッターかコピーライターか、ポジションが定まらずにいた。だから、人に聞かれてもきちんと説明できなかった。そんな中、ひらめいたのがオリジナルの肩書きをつくっちゃえ!だった。
肩書きを捨てろ!
僕がずっと意識していたのは、「広告視点でWEBをやる!」ということ。そこから、WEBとWEB以外のメディアもシームレスにアイデアを連鎖できそうな肩書きはなんだろうかと考えた。クロスメディア、360度、メディアニュートラル、エモーショナルマーケティング、バイラルマーケティング、Web2.0などいろんな単語を列挙してみて、その中で「バイラル」というコトバを選んだ。
「バイラル」は、10年前からマーケティング用語として存在したコトバで、「ブレアウィッチプロジェクト」の映画プロモーションや、「サントリー無頼派」の新商品ロウンチなどが成功事例として有名だ。当時、「サントリー無頼派」の企画・コピー制作に携わった経験もあって、「バイラル」でいこうと決めた。
そしてもうひとつ、ちょうどマス広告が勢いを失いかけつつある背景を受けて、海外では「バイラル」に対する期待が高まっていた。旬なコトバだった「バイラル」を選んで、「ディレクター」と合体させた。「バイラル」も「ディレクター」も、どっちも新しいコトバじゃないけど、合体させてみると新鮮なコトバとして輝いて見えた。それで誕生したのが、「バイラルディレクター」の肩書きだ。
それからというもの、自分自身の仕事の取り組み方が変わり始めた。バイラルディレクターとしてプロジェクトに参加して、「誰かにしゃべりたくなる価値づくり」に専念するようになったのだ。
これまでは、企画の判断を、時にはコピーライター的な視点から行い、時にはアートディレクター的な視点から行っていた。しかし今は、バイラルディレクターの立場から企画の判断や制作物の方向をディレクションするようになった。つまり、「誰かにしゃべりたくなるモノ」に最終的に仕上げることが僕の中でのミッションだ。
「バイラル」は、10年前からマーケティング用語として存在したコトバで、「ブレアウィッチプロジェクト」の映画プロモーションや、「サントリー無頼派」の新商品ロウンチなどが成功事例として有名だ。当時、「サントリー無頼派」の企画・コピー制作に携わった経験もあって、「バイラル」でいこうと決めた。
そしてもうひとつ、ちょうどマス広告が勢いを失いかけつつある背景を受けて、海外では「バイラル」に対する期待が高まっていた。旬なコトバだった「バイラル」を選んで、「ディレクター」と合体させた。「バイラル」も「ディレクター」も、どっちも新しいコトバじゃないけど、合体させてみると新鮮なコトバとして輝いて見えた。それで誕生したのが、「バイラルディレクター」の肩書きだ。
それからというもの、自分自身の仕事の取り組み方が変わり始めた。バイラルディレクターとしてプロジェクトに参加して、「誰かにしゃべりたくなる価値づくり」に専念するようになったのだ。
これまでは、企画の判断を、時にはコピーライター的な視点から行い、時にはアートディレクター的な視点から行っていた。しかし今は、バイラルディレクターの立場から企画の判断や制作物の方向をディレクションするようになった。つまり、「誰かにしゃべりたくなるモノ」に最終的に仕上げることが僕の中でのミッションだ。
バイラルディレクターの名刺
肩書きから生まれた仕事
たとえば、バイラルディレクターの視点で関わった仕事のひとつに「東京メトロこども大学」がある。オリエンでは、キッズサイト制作という課題だった。サイトネーミングは課題には無く、コンテンツ企画の中身を考えればよかったのだけど、僕はサイトネーミングに徹底的にこだわった。
オリエンで、このサイトは広告をするかどうか僕はたずねた。すると、広告はほとんどしない予定という答えだった。キッズサイトを公開しても広告をしないとなると、サイトの立ち上がり時にはほとんどアクセスが期待できないので、だとすると、最初は一握りの人でも、そこから誰かに伝播していかれるようにしないといけないし、人からサイトの存在を聞いたときにアクセスしやすい名前にしておかないとたどり着けないと考えた。
もしも、ネーミングがオリエンにある「キッズサイト」のままだったら、世の中には「~キッズサイト」と名のつくサイトだらけなので検索してもたどりつけないかもしれない。そこで、何十案ものネーミングを考察して完成したネーミングが、「東京メトロこども大学」だった。
美しいものづくりは、得意な人にまかせることにした。僕は、誰かにしゃべりたくなる価値づくりをしようと思う。
オリエンで、このサイトは広告をするかどうか僕はたずねた。すると、広告はほとんどしない予定という答えだった。キッズサイトを公開しても広告をしないとなると、サイトの立ち上がり時にはほとんどアクセスが期待できないので、だとすると、最初は一握りの人でも、そこから誰かに伝播していかれるようにしないといけないし、人からサイトの存在を聞いたときにアクセスしやすい名前にしておかないとたどり着けないと考えた。
もしも、ネーミングがオリエンにある「キッズサイト」のままだったら、世の中には「~キッズサイト」と名のつくサイトだらけなので検索してもたどりつけないかもしれない。そこで、何十案ものネーミングを考察して完成したネーミングが、「東京メトロこども大学」だった。
美しいものづくりは、得意な人にまかせることにした。僕は、誰かにしゃべりたくなる価値づくりをしようと思う。
東京メトロこども大学
「地下鉄がおもしろくなる」をテーマにした小学生向けのエデュテイメントサイト。
「地下鉄がおもしろくなる」をテーマにした小学生向けのエデュテイメントサイト。
次回もお楽しみに!