今月の1年生デザイナー
矢部加奈子さん(ジュン・キドコロ・デザイン)
火曜。ダモ鈴木の奇跡。
7:00 起床
エリックは明け方近くに帰ったらしい。なんだか興奮している。昨夜、ダモ鈴木(40年くらい前の西ドイツのバンド、CANで一時期ボーカルをしていた日本人)と遭遇したらしい。今度、エリックのバンド「KAROHSHI」主催でやるイベント『Future Days』のフライヤーを高円寺のライブハウスの前で配ってたら、そのライブハウスの店長さんから「今日ダモ鈴木のライブがあるよ」と情報が! 『Future Days』はCANの1973年のアルバムのタイトル。もちろんイベントの名前はそこから付けた。奇跡の遭遇!! 「ダモさん、日本にいるんだあ」と思ったら、今日はもうオーストラリアに旅立つらしい。おお自由人。素敵な生き様。陽気な人だったらしい。
「じゃ、僕はCANを聴きながら行くよ!」と颯爽と仕事に出かけたエリック。朝からマッシュルームヘッドを見ちゃうんだろうか。それならあたしはNEU!を聴きながら行こうかな……ただの70年代西ドイツ繋がりです。
ちなみに、エリックのバンドの名前、「KAROHSHI」は日本語の「過労死」にちなんでいます。「KAROHSHI」はもはや世界共通語だとか? 単純に音の響きが気に入って、バンドの名前にしたそうです。
9:15 会社へ
会社へ向かう途中、だんだん頭の中がトリップしてきた。NEU!は出勤途中にはふさわしくないことに気付く。なので、カンつながりということで、久しぶりにKAN(『愛は勝つ』が有名な日本人ミュージシャンですね)を聴く。「♪よければ いっしょに そのほうが たのしい~」じんわりと胸を打たれた。。
10:10 出社&掃除
城所さんと関口さんは、朝から『SALUS』の撮影に出ています。
10:30 『アンネの木』表紙データ作成
くもん出版から出版予定の『アンネの木』の表紙を作成。『アンネの日記』のアンネ・フランクについて、「隠れ家」の隣に立っていたマロニエの木の視点から描いた作品です。アンネの感性は、けっこう好き。『アンネの日記』を読んだのは15年以上前なので、うろ覚えだけれど。なんとなく、ドイツづいてる、今日このごろ(字あまり)。あれ、でも隠れ家はオランダだっけ? 絵本の表紙はよほどのことがない限り、カバーと同じことがほとんどなので、カバーのデータを元にすぐ作成できます。
12:50 昼食
お昼は持参していますが、気分転換のために、必ず外には出るようにしています。麻布十番のスーパーといえばNISSINワールドデリカテッセン。輸入食品がたくさん!
『ノルウェイの森』撮影時には、トラン・アン・ユン監督ファミリーもここで買い物をしたとかしないとか……(正確にはお手伝いさんが買い物に来ていたらしい)。家で使ってる黒胡椒とアンチョビとオリーブはここでいつも買ってます。とにかく品揃えが豊富で、ワニの肉まで売ってる。そしてラム肉も大充実。いつかラムのミンスを買って、本物のムサカを作りたい(いつも牛肉で作るので)。麻布に住みたいとは思わないけれど、家の近くに欲しいスーパーです。
14:00 『アンネの木』赤字修正
『アンネの木』の最終赤字が届きました。カバーとオビに使われている写真のクレジットを奥付ページに入れるよう、指示。「カバーとオビ外しちゃったらどうなるんだろうなぁ……」と、城所さん。そういえば、カバーって、日本の書籍はなんでもかんでも被せてあるけど、海外で買ってきた絵本にカバー付きのはなかったし、家にあるエリックのペーパーバックにも付いてない。なんで日本の本はみんなカバー被せてるのだろう。あまり考えたことがなかった。汚れ防止? 値上がり対策? 簡易包装流行りの昨今なのに。
17:00 『ふたりのサンドウィッチ』色校到着
『ふたりのサンドウィッチ』の絵本版の色校が届く。原書と比べてけっこう色味が強く出ている。下の写真だと、この違いがあまりわかりませんね。色のトーンが少し変わるだけで、与える印象はかなり変わってきます。水彩のやわらかさが消えてしまったので、修正指示を入れます。
18:45 退社
さて、今日の作業はここまで。今週はわりとゆったりしたスケジュールです。
19:45 帰宅
我が家の姫を紹介します。名前をムランといいます。タヒチで生まれました。おしゃまなファンタスティックキャットです。
さて、今日の出来事を報告しあう大事な時間です。夫婦円満の秘訣はとにかくなんでも話し合うことだと、スウェーデンのご長寿カップルが言ったかどうか定かではありませんが、その通りだと思う。エリックはビール、期間限定の一番搾り。これ、美味しい。私は平日はアルコールを控えめにしているので、緑茶です。しかし、食事のときにはしっかりワインを飲んでいるので、お酒を休んでることにはならない。
気になっていたので、「どうして日本の本にはカバーがしてあるんだと思う?」とエリックに尋ねてみる。「さあねえ。折り紙の文化だからじゃない?」なんと! そう来たか! なんだかロマンがあるね、その意見。しかし、よくよく聞いてみると購入時に書店で掛けてくれるカバーの方を想像したらしい。確かに折って開いて差し込んで、折り紙っぽい技を使ってる気もします。掛けてもらったことはほとんどないけれど、本屋さんのカバーは、さらに謎ですね。カバー on カバー。食後にwikiってみたら、カバーについて、何やらいろいろ書いてあった。へえええ。ウィキペディアって便利。大抵のことは書いてある。たまに胡散臭い内容が紛れ込んでるのも、みんなで作ってる感じがして面白い。家にある絵本を調べてみたら『九月姫とウグイス』(岩波のこどもの本のシリーズ)のみ、カバーなしで表紙にバーコードが入ってました。