第3話　仕事を楽しくするのは自分次第

メガマックファンのための笑えるスペシャルサイト「MEGA MACSHOW」（日本マクドナルド）やFlash技術を駆使した地図検索サービス「スゴイ地図」（リクルート）など、常に新しいクリエイティブ、新しい ユーモアに挑み続けているのが（株）コスモ・インタラクティブの阿部淳也氏である。クリエイティブすることが好きで、ユーモアがとても大切だと語る阿部氏 に、さまざまな話を伺った。

——Webメディアだからこそやりたいこと、注意していることはありますか？

阿部●Webだからということではあまり考えていないですね。もし、Webでこだわらなければいけないとしたら、やはりインタラクティブであるということでしょうか。エンドユーザーがいて、そこでどういったコミュニケーションをとりたがっているのか。それらによってエンドユーザーはどういったベネフィットやバリューを得るのだろうかとか、そこが重要じゃないですかね。だからといってWebだからこそということはあまり考えたことはないですね。正直いってWebじゃなくてもいいと思っていて。

——Webでなくてもいいとはどういうことでしょうか？

阿部●他のメディアの方がより効果が上がる場合もあるし、最終的に目的が達成できればいいと思っていて、Webだけにこだわる気持ちは特にないですね。僕としてはコミュニケーションを行うプラットフォームはなんでもいいかなってことがありますね。

Webに関して注意していることをいうのであれば、最近ではリアルな部分へつないでいかなければならないと思っています。Webを見て、そこから行動を喚起して、能動的にキャンペーンに参加したり、イベントに足を運んだりとか、そういったところに落ちないと意味がないんじゃないかなって思いますね。もちろん直接的に効果をあげていくのは難しいのですが、それができてこそ本当の意味でのコミュニケーションが成立しているということでしょうし、そこからリレーションシップが取れていくものだと思っています。もちろん普段の仕事ではWebをつかったコミュニケーションがコアなケースがほとんどですが、常にその先を意識することを最近では求められることが多くなってきていると思います。

——Webをつくる楽しさってなんですか？

阿部●やろうと思えば誰でもできて、そこで自由に表現ができるということでしょうか。Webのメディアとしての価値がここ1-2年でぐっとあがってきていて、最近では大手の代理店さんもマス展開と連動した形で積極的にWeb制作サイドの意見も交えながらコミュニケーションプランをつくっていくというのも増えてきましたし、クライアント企業のリテラシーが徐々にあがってきていますね。

そういう意味では、いま一番チャレンジしがいがある時かもしれないですね。そういった常に変化しつづけ、変化を求められるところに面白さがあって、それで今はWebをやっているのかもしれないですね。ただ変化といってもそれはインフラや技術的な進歩による表現の幅が広がっているということであって、コミュニケーションする際の人間の本質的な部分は変わっていませんからね。人それぞれで喜怒哀楽の起伏の幅はあっても、人が何かを見たときに感じるベースの部分はそれほど変わらないと思ってものづくりに励んでいます。

逆につらいのは、先程のことと表裏一体なのかもしれないですが、変化のスピードが速いのと、情報量が膨大すぎて常に追われている感じがありますね。当然ながら仕事をしていく上では、いろいろなことを知らないといけないし。たとえば企画をたてるのもフロント側のことやバックエンドのことなどのWebにおける技術的なこともしらなければならないし、ブランドなどを含めたコミュニケーションやマーケティング、他のメディアのことなんかも知らなければいけないでしょう。本当にいろいろなことを知らないとできないかもしれないですね。

しかしながら、僕はこの仕事が辛いと思ったことがないんです。実際には辛い部分もあるのかもしれませんが、楽しいことのほうが多いのでやっているんでしょうね。当然ながらつくったものに対して、クライアントや世間的な評価頂くとうれしいのですが、本当の意味で満足することってないじゃないですか。次はこうできるなとか、もっとこうできたなってことのほうが多くて。

他の方がつくったものを見て「くやしい」、「やられたっ」てことも多々ありますし。そういった点では、「まだまだ足りないし、やらなければならないな〜」という探求心や追求していく楽しさのほうが勝っていますよね。

——阿部さんのように楽しく仕事をする秘訣ってなにでしょう？

阿部●やはり、仕事をやる上で「やらされてる感」があってはだめでしょうね。自分の考えをもって、自らやるってことが大事なわけで。好きなことだったらいろいろと苦労があってもやり続けることができるし。

僕は基本的に楽しくなければ仕事ではないと思っているし、せっかくなにかをやるだったら楽しくやったほうがいいし、楽しくやればいいものをつくれると思っていて。いまの一緒にやっているチームのみんなとはそういう意識共有ができていて、仕事に対してネガティブに取り組んでいる人はいないですね。いつも新しいアイデアがでてくるし、新しい技術を使って新しいチャレンジもしていますし。そういう意味でも一緒にやるメンバーとチームワークはとても大切だと思います。




（取材／蜂賀亨　撮影／谷本夏　）