サカナクション
ビジュアル・アーカイヴス 2008-2014
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■攻めることができるMV
―― 「『バッハ~ 』」「夜の踊り子」共に、アナログ感のある肉体的なアプローチですが、その点は意図したところでしょうか?
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演奏シーンは最初から撮ると決まっていたご依頼だったのですが、とくにアナログにしよう、肉体的にしようということに意図はないんです。楽曲を聞いて、思いついたアイデアを具現化している、僕にとっては自然の流れなのですが。何でしょうね(笑)。
―― 山口さんやメンバーのみなさんに「こんなことをさせたい」と考える、人に歩み寄ったアイデアであるような印象も受けます。
僕、単純にサカナクションのメンバーと曲が好きなんですよ。気を使わずに言ってしまうと、仕事をしたミュージシャンのアルバムを日常生活で聞くことって、僕の場合多くはありませんが、でもサカナクションはすごく聞きます。曲を愛せるのって幸せなことだし、どうしても映像の仕上がりに現れる。他の監督たちも含めて、サカナクションのMVがいつも素晴らしいのは、みんなが好きだからこそいい映像を作ろうって頑張った結果なんだと思います。クオリティーが上がるということはその分だけ毎回プレッシャーは感じることになりますが(笑)。
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「本作の絵コンテの一部。実際のMVと比べてみても時間や構図に差はほとんどない。イントロから曲の終わりまで、日の出、朝、夜と3つの時間軸のカット割が緻密に計算されている」
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―― 最後に、これまでテイストの違う2作品を手掛けられていますが、サカナクションだからこそ意識するポイントを教えてください。
新しいトライアルも一風変わった企画もはまりやすい包容力というか、奥行きや深さが、曲や歌詞の世界観の中に元々あって、そうした深みをいつも意識しています。好きだからこそ感情移入もするし、意識せずとも自分の感情や感覚が現出することもある。既存のMVの概念がかえってはまらない奥深さがサカナクションの魅力だと僕は思っています。
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本記事は『MdN』2014年9月号(vol.245)の特集「サカナクション ビジュアル・アーカイヴス 2008-2014」からの転載です。
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