第12回 企業ブログの運営と書き方、気をつけるべきポイント(2) - WEBライティングと文章編集の実践テクニック | デザインってオモシロイ -MdN Design Interactive-

第12回 企業ブログの運営と書き方、気をつけるべきポイント(2) - WEBライティングと文章編集の実践テクニック

2024.4.26 FRI

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WEBライティングと文章編集の実践テクニック


文=益子貴寛 (株)サイバーガーデン 代表取締役
Webプロデューサー/コンサルタント。(社)日本能率連盟登録資格「Web検定」プロジェクトメンバー。Webデザインに関する記事執筆、講義など多 数。『月刊web creators』(MdN)、ITpro(日経BP社)、Web担当者Forum(インプレスR&D)に連載をもつ。著書に『Web標準の教科 書 ─XHTMLとCSSでつくる“正しい”Webサイト』『伝わるWeb文章デザイン100の鉄則』(ともに秀和システム)。共著に『スタイルシート・デザ イン』(MdN)、『変革期のウェブ』(マイコミ新書)など。
url. www.cybergarden.net/


第12回
企業ブログの運営と書き方、気をつけるべきポイント(2)


今回は、企業ブログの成果測定指標として「一般指標」「ソーシャル指標」「検索指標」の3つを詳しく見ていこう。特にブログというメディアでは「ソーシャル指標」の目標値をきちんと設定したり、達成値を継続把握することが大切だ。最後に運営リスクへの対処法にも触れる。


企業ブログの成果測定指標

通常のサイトと同じように企業ブログも、訪問者数、ページビュー(PV)数、ユニークユーザー(UU)数など、一般的な測定指標を用いて成果を測ることができる。しかし、現在それらだけでは足りず、コメント・トラックバック数、ソーシャルブックマーク数、フィード購読者数など、いわゆるブログのインタラクティブな性質を表す数値をきちんと把握する必要がある。以下では、これらを「ソーシャル指数」と総称する。

ソーシャル指標の目標値は、企画段階で定めておくことが大切だ。プロモーションに割ける費用や労力にもよるが、立ち上げ数週間から数カ月はブログの存在が周知されておらず、あまり急激には伸びないのが通常であるため、それを織り込んで目標値を決めておく。一般的には訪問者数やPV/UU数がソーシャル指数の先行指標となることが多い。つまり、訪問者数やPV/UU数が大きく伸びたあとにソーシャル指数が伸びるということだ。

では、ソーシャル指標の測定方法について説明していこう。まずコメント・トラックバック数はカウントするだけなのでわかりやすい。しかし、数を増やすのは容易ではなく、短期的にはキャンペーンやプロモーションを展開したり、中長期的にはコンテンツの充実を図るのがセオリーである。

次にソーシャルブックマーク数の把握対象としては、最低限「はてなブックマーク」を押さえておけばよいだろう【1】。トップページの検索ボックスで「URL検索」を行えば、そのURL内でブックマークされているページと数、つけられたコメントが表示される。

【1】有名なソーシャルブックマークサービス「はてなブックマーク」(b.hatena.ne.jp/)
【1】有名なソーシャルブックマークサービス「はてなブックマーク」(b.hatena.ne.jp/)


そして、フィードについては、読者数やリーチ数、クリック数を把握できる「FeedBurner」というサービスがある【2】。単にこれらの「数」を把握できるだけでなく、巡回元であるフィードリーダー、ブラウザ、収集ロボットなどのレポートも集計されるので便利だ。最適化や集客支援などのヘルプ機能も充実しているので、配信方針の参考にしよう(有料ASP型のフィード測定サービスもあるので、予算に余裕があれば利用を検討してもよい)。なお、FeedBurnerを利用するには専用のフィードURLを設定する必要があるため、立ち上げ時に登録・習得しておこう。

【2】無料のフィード測定サービス「FeedBurner」(www.feedburner.jp/)
【2】無料のフィード測定サービス「FeedBurner」(www.feedburner.jp/)


最後に、当たり前すぎて見過ごされがちだが、検索サービスでの順位や結果数、外部被リンク数などの「検索指標」を把握しておくことも忘れないようにしたい。ターゲットとするキーワードでどのぐらいの順位なのか、個々のエントリーが検索対象となっているか、外部からどのぐらい被リンクを受けているかなどを把握することはSEOの基本であり、コンテンツ施策を行ううえでも欠かせない。


一般指標、ソーシャル指標、検索指標の目標値設定

効果測定指標の目標値を設置するためには、「どの指標を」「どの期間について」「どのように集計するか」を決めておく必要がある。指標の種類については、すでに述べた一般指標、ソーシャル指標、検索指標をカバーしておけばよいだろう。ひな型として立ち上げから6カ月後までの目標値を【3】に示してある。

【3】目標値の設定例(立ち上げから6カ月後まで)
【3】目標値の設定例(立ち上げから6カ月後まで)


集計方法は「月間合計」と「営業日末日」のどちらかを採用するのが基本となる。訪問者数やPV/UU数などの一般指標、コメント数とトラックバック数は「月間合計」となる一方、検索指標やソーシャルブックマーク数は「営業日末日」に調査する。フィード登録数も「営業日末日」のみの調査としてもよいが、その日に更新(エントリーの追加)があったかどうかなどでブレがあるので、「最終3更新日平均」などブレを平準化した値を採用したほうがよいだろう。

これらの目標値は、予測グラフなどをつくってはっきりと視覚化し、キャンペーンのタイミングなどを織り込んだうえで設定する。このように目標値を設定する理由は、ブログの立ち上げ後に目標値を実際の達成値と比較し、その後の対策の参考とするためである。目標値という「仮説」を達成値で「検証」する、ということである。このような「仮説」「検証」の繰り返しによって、効果的かつ効率的な対策を実施し、ブログを発展させることが大切だ。


更新Ping送信先の設定と検索サービス用サイトマップ

検索サービスやブログサーチからの集客を図るためには、「更新Ping送信先」を設定したり、「検索サービス用サイトマップ」を用意することも大切だ。「更新Ping」とは、検索サービスやブログサーチに通知するトラックバックであり、検索対象となることを確実にする仕組みである。Movable Type 3と4の設定方法は【4】と【5】のとおりだ。代表的な更新Ping送信先は【6】にまとめてあるので、参考にしてほしい。

【4】Movable Type 3の更新Ping送信先の設定方法。「設定」→「新規投稿」→「更新Ping/トラックバックの設定」でURLを指定
【4】Movable Type 3の更新Ping送信先の設定方法。「設定」→「新規投稿」→「更新Ping/トラックバックの設定」でURLを指定

【5】Movable Type 4の更新Ping送信先の設定方法。「設定」→「ウェブサービス」→「更新通知先」でURLを指定

【5】Movable Type 4の更新Ping送信先の設定方法。「設定」→「ウェブサービス」→「更新通知先」でURLを指定

【6】代表的な更新Ping送信先一覧
【6】代表的な更新Ping送信先一覧


検索サービス用サイトマップは、GoogleやYahoo!などに新規ページを登録するために必要なものである。検索サービスは自動的にページを巡回・収集するが、その時期を早めたり精度を向上させるための仕組みが、XML形式で出力する「サイトマップ」である。Googleサイトマップ、Yahoo! Site Explorerで指定された形式のサイトマップファイルを、CMSのテンプレート機能で自動生成できるように設定しておくとよい。


運営リスクへの対処法

企業ブログもアクセスが増えるごとに、さまざまなユーザーが訪れることになる。そうした中で、発生しうるリスクの最たるものは、あるエントリーについてユーザーから批判にさらされたり、それがきっかけとなって、多数のユーザーから批判的な意見や誹謗(ひぼう)・中傷、理解に窮するコメントが大量に寄せられるといった、いわゆる「炎上」である。

このような事態が発生した場合は、事態が落ち着くのを待ち、後日、状況説明やお詫びのエントリーを投稿するといった冷静な対応が求められる。特定のコメントを削除したり、言い訳や反論めいたことを書くと、さらに事態が悪化する可能性が高い。一時的にコメントやトラックバックの受け付けを停止したほうが賢明な場合もあるが、それまでの状況を公開したままにしておかないとユーザーが納得しない場合が多く、ブログの存続が難しくなってしまう点にも注意しておこう。

つねにフラットかつオープンな態度でエントリーを書き、ユーザーに接することが、このような事態を避けるいちばんの方法といってよい。また、もし問題が起こっても「それも反響のひとつだ」「ブログが知られるきっかけになった」と大きく構え、冷静でしたたかに対処するぐらいの図太さも同時に求められる。このようなマインドを担当者同士でシェアすることが、ブログの発展を支えるひとつの大きな力になるといってよいだろう。


本記事は『Web STRATEGY』2007年11-12 vol.12からの転載です
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