帰宅してすぐ暖かい!? 自宅の空調を外出先から操作したければコレを使うべし~スマートリモコン、Nature「Remo mini」レビュー
TEXT:山口真弘(ITライター)
ここ1年ほど、新製品が続々と登場し、ホットなカテゴリになっているのが、スマートリモコンと呼ばれる製品です。名前からも分かるようにリモコンの一種で、さまざまな家電製品の赤外線リモコンの信号を学習し、スマートフォンから操作できることから、この名前がつけられています。
家電製品がスマホから操作できるというのは、実際に使ってみるとかなり便利です。あらゆる家電製品の操作をスマホに一元化できるのはもちろんのこと、見通しのよい場所にスマートリモコンを設置しておけば、スマホとスマートリモコンの間はWi-Fiで信号が伝送されますので、通常のリモコンのようにひとつひとつを家電製品に向けて操作しなくても済みます。
そして、なによりスマートリモコンにしかできないのが、さまざまなセンサと連動しての自動運転です。今回は、これからの季節に間違いなくライフスタイルを快適にしてくれる、エアコンをはじめとした暖房器具の自動運転について、売れ筋のスマートリモコンである「Nature Remo Mini」を例に紹介しましょう。
これは指定の室温よりも低くなった場合に、自動的にエアコンの運転を開始する、という方法です。普段はなるべく暖房をつけないようにしているけれども、冬場でとくに気温が低い日だけは自動的にエアコンを入れたい、というケースに役立ちます。朝起きたらとんでもない寒さで、身体はすっかり冷えていて、こころなしか風邪っぽい……という事態を未然に防げるでしょう。
これに近い用途としては、自宅でペットを飼っていて、外出中につねに暖房をつけっぱなしにするわけにはいかないけれども、あまりにも室温が下がりすぎるとペットの命に関わりかねない……というケースにも役立ちそうです。ちなみに温度や風量、風向きなどは自由に設定できます。
もちろん夏場であればこれとは逆に、指定の室温よりも高くなった場合に運転を始めることもできますし、また上位モデルの「Nature Remo」では、温度以外に湿度をトリガーにすることもできます。加湿器や除湿機の運転と組み合わせるのも一興でしょう。
こうしておけば、消し忘れにもつながるほか、自宅まで500mのところまで来た時に暖房が入るため、帰り着く頃には部屋をいち早く暖まっている、というわけです。一人暮らしの人や、出社および帰宅の際に自宅に家族が誰もいない場合にはぴったりでしょう。
距離は自由に設定できますので、例えば自宅から数百m離れたところによく足を運ぶコンビニがあり、そこに往復するだけでエアコンをON・OFFされるのは困るのであれば、範囲を1kmに広げるなど、生活圏に合わせてカスタマイズするとよいでしょう。
これ以外に、上位モデル「Nature Remo」のみの対応となりますが、人感センサーによるコントロールも面白い機能です。モーションセンサーの反応がなくなって30分経過することをトリガーに、家電製品をコントロールできますので、部屋が無人になって30分後にエアコンや照明を自動的にオフにするという使い方が可能になります。家電製品のスイッチの消し忘れ、および省エネに効果があります。
またこれも「Nature Remo」のみの対応ですが、照明については、照度センサーと組み合わせ、日が暮れてきたら部屋の明かりをオンにするという使い方が考えられます。さらに小規模な使い方として、部屋の明かりをオンにした時に、ベッドサイドの読書スタンドを連動してオフにするといった使い方もできるでしょう。
これはたしかに便利な機能ではありますが、操作になるべく手間がかからないことを重視するのであれば、スマートリモコン単体で前述のような温度やGPSなどをトリガーとした自動運転の環境を構築し、その補助としてスマートスピーカーによる音声操作を組み合わせるのが、順序としては正解でしょう。
いまAmazon Echoや、Google Homeをはじめとしたスマートスピーカーがブームになっていることで、製品選びの順序があべこべになっている印象がありますが、むしろ自動運転のための機能がどれだけ充実しているかを中心にスマートリモコンを選び、それにスマートスピーカーを組み合わせるのが、本来あるべき姿と言えます。
また本製品は、ここまで紹介してきた設定まわりの画面がスタイリッシュで、レスポンスが高速なことも、個人的におすすめできる理由の一つです。家電製品の快適な自動運転環境の実現を目指し、スマートリモコンの導入を考えているのであれば、見逃せない選択肢だと言えるでしょう。
山口 真弘(やまぐち まさひろ)
ITライター。PC周辺機器メーカーやユーザビリティコンサルタントを経て現職。各種レビュー・ハウツー記事をWEBや雑誌に執筆。最近は専門であるPC周辺機器・アクセサリに加え電子書籍、スマートスピーカーが主な守備範囲。著書に『ScanSnap仕事便利帳』(ソフトバンククリエイティブ)『PDF+Acrobat ビジネス文書活用[ビジテク] 』(翔泳社)など。Twitter:@kizuki_jpn
2018.12.04 Tue