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ITライター・山口真弘の気になるグッズラボ

2020.12.23 Wed

暗い場所でも位置合わせの手間ナシ! 使って分かった「MagSafe充電器」最大の利点とは

~Apple「MagSafe充電器」レビュー

2020年12月22日
TEXT:山口真弘(ITライター)

AppleからiPhone用の周辺機器として新たに登場した「MagSafe充電器」は、iPhoneの背面に磁力で吸着してワイヤレス充電が行える充電器です。ベースになっているのは既存のQi規格のワイヤレス充電ですが、高速に充電できることに加え、マグネットでiPhoneの背面に吸着できるため、位置がずれないことが特徴です。

さてこのMagSafe充電器、MagSafeという規格自体がまったく新しいものということで、実際に使ってみなければわからない挙動がいくつもあります。筆者も実際に使ってみて「なるほど、そのようになるのか」と驚かされた点がいくつもあります。今回はそれらを見ていきましょう。

製品本体。中央にはキズ防止のラバーが貼られており、表裏はすぐ見分けられます

製品本体。中央にはキズ防止のラバーが貼られており、表裏はすぐ見分けられます

厚みは実測5.3mmと非常にスリム。最大15Wでワイヤレス充電が行えます

厚みは実測5.3mmと非常にスリム。最大15Wでワイヤレス充電が行えます

まず最初の疑問は、MagSafe充電器が使えるのは今回新しく発売されたiPhone 12シリーズだけで、過去の製品では使えないのか? ということですが、本製品はiPhone 8以降の、ワイヤレス充電対応のiPhoneであれば利用できます。例えば今春発売の第2世代iPhone SEでも、問題なく利用できます。

ただし、ここでいう「利用できる」は「充電が行える」という意味であって、MagSafeならではの、磁力で本体の背面にピタッと吸着するギミックはありません。吸着しなければ通常のワイヤレス充電と変わりませんので、それらと同様、位置がズレていて充電に失敗する可能性は高くなります。

またMagSafeでは、吸着させた瞬間に、充電開始を知らせるマークが画面いっぱいに表示されますが、iPhone 12よりも前のモデルとの組み合わせでは、このマークは表示されません。画面右上の小さなバッテリーアイコンを目を凝らして確認するという、従来と同じ挙動になります。

これならば、将来的なiPhoneの買い替えを前提にMagSafe充電器を前倒しで買うならまだしも、そうでなければ従来のQi規格のワイヤレス充電器で十分、ということになります。速度面でもメリットはないので、MagSafeにこだわる必要はあまりなさそうです。

MagSafe充電器の上にiPhone 12シリーズを載せ、磁力で吸着させると…

MagSafe充電器の上にiPhone 12シリーズを載せ、磁力で吸着させると…

充電が正しく開始されたことが、画面いっぱいを使って通知されます

充電が正しく開始されたことが、画面いっぱいを使って通知されます

それ以前のiPhoneでは、充電状況は、画面右上のピクトで確認するしかありません

それ以前のiPhoneでは、充電状況は、画面右上のピクトで確認するしかありません

ワイヤレス充電対応のAndroidスマホでも、充電そのものは行なえます。写真はPixel 3

ワイヤレス充電対応のAndroidスマホでも、充電そのものは行なえます。写真はPixel 3

iPhoneにケースを装着した状態ではどうでしょうか。今回のiPhone 12シリーズの発売に合わせてAppleから登場した純正ケースは、ケース側にもMagSafeのマグネットが組み込まれており、ケースを装着したままでも吸着力を弱めることなく、MagSafeによる充電が行えます。

ではこれ以外のケースは、装着したままでの充電は行えないのでしょうか。結論から言うと、磁力での吸着を妨げない薄いケースであれば、装着した状態でも問題なく充電は行えます。筆者は私物のiPhone 12 miniは、サードパーティー製の薄型シリコンカバーを装着していますが、その上からでも問題なく充電を行えています。

ただし、バンカーリングやスマホリングと呼ばれる、スマホを持ちやすくする補助具は、一定の厚みがあるため、間に挟んだ状態でMagSafe充電器は使えません。なにより接点部分に金属の部品を挟み込むのは、非常に危険なことです。これについては、バンカーリングの側か、それともMagSafeの側か、一方をあきらめるしかありません。

MagSafe対応のケース(右)。MagSafeを吸着させる部品がケースに備わっています

MagSafe対応のケース(右)。MagSafeを吸着させる部品がケースに備わっています

これならばケースそのものに厚みがあっても、MagSafeの吸着力は弱まりません

これならばケースそのものに厚みがあっても、MagSafeの吸着力は弱まりません

ところで筆者がこのMagSafe充電器をしばらく使っていて、最大のメリットだと感じたのは、暗い部屋などできちんとセットできたことを、目視で確認しなくて済むことです。

就寝するために部屋の明かりを消したあと、暗闇の中でしばらくスマホをいじることはよくあります。また、夜中に目を覚ましてスマホの通知を確認したあとに、充電状態に戻して就寝するのが、習慣になっている人もいることでしょう。

こうした場合、物理的にケーブルを挿すには両手を使う必要があります。ワイヤレス充電器に置く場合は片手で済みますが、ずれずにセットできたか目視で確認しないと、翌朝になって充電できていなかったという悲劇が起こりがちです。どちらの場合も、眠気が襲ってきている中、面倒なことに変わりはありません。

これに対して本製品は、パチンと吸着さえさせられれば、特に目視の必要もなく、またその吸着させるアクション自体、片手だけで手軽に行なえます。半分寝ぼけていても、ミスをせずに済むというわけです。この手軽さこそが、MagSafe充電器のメリットでしょう。

逆に言うと、厚みのあるケースを取り付けるなどして、本体にパチンと勢いよく吸着できなくなり、そのたびに目視での確認が必要になってしまえば、MagSafeの利点は活かせず、従来のLightningケーブルでの充電や、通常のワイヤレス充電と、そう手間も変わらなくなってしまいます。

そうした意味では、なるべくケースなしの状態で、もしケースを必要とする場合でも純正ケースを使うか、もしくは極力薄型のケースを使うことが、MagSafe充電器を使う上での必須条件と言えそうです。

パッケージはシンプル。2台充電可能なモデル(MagSafe デュアル充電パッド)もあります

パッケージはシンプル。2台充電可能なモデル(MagSafe デュアル充電パッド)もあります

ケーブル長は1.5m。利用にはUSB-C充電器が必要ですが、出力にはやや制限があります

ケーブル長は1.5m。利用にはUSB-C充電器が必要ですが、出力にはやや制限があります

さてこのMagSafe充電器は、今回紹介したシングルタイプのモデルと、2台を同時充電できるデュアルタイプのモデル(MagSafeデュアル充電パッド)が発表されています。今後はサードパーティからも、MagSafe準拠の充電器が登場するかもしれず、従来のワイヤレス充電器は、隅へと追いやられていく可能性もあります。

もともとQi規格のワイヤレス充電は、iPhoneに牽引されて普及してきた経緯があるだけに、影響を受けることは間違いありません。前回紹介したレザーウォレットや、レザースリーブのように、充電機能とは関係のないMagSafe準拠のアクセサリも含めて、今後MagSafeがどのような方向に発展していくのかは楽しみです。

製品名:MagSafe充電器
実売価格:4,500円(税別)
発売元:Apple
Amazon:https://www.amazon.co.jp/dp/B08L6LMMWB/

[筆者プロフィール]
山口 真弘(やまぐち まさひろ)
ITライター。PC周辺機器メーカーやユーザビリティコンサルタントを経て現職。各種レビュー・ハウツー記事をWEBや雑誌に執筆。最近は専門であるPC周辺機器・アクセサリに加え電子書籍、スマートスピーカーが主な守備範囲。著書に『ScanSnap仕事便利帳』(ソフトバンククリエイティブ)『PDF+Acrobat ビジネス文書活用[ビジテク] 』(翔泳社)など。Twitter:@kizuki_jpn

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