これからライター、Webライターになりたい人&なりたての人に向けてお届けする「あたりまえライター処世術」。9回目のテーマは、「友人・知人からの依頼について考える」。友人や知人から「ライターしてるの?かっこいいね!」なんて、言われたからって安請け合いは禁物。この業種を“理解していない”友だちからの依頼は、結構危険かもしれません。
はじめに
エディターやライターという職業の場合、友人や知人から「ライターしてるの?かっこいいね!」なんて言われたことはありませんか? 褒められるのはもちろんうれしいことですが、かっこいいというイメージから脳内で勝手に変換され、「ライター=文章が書ける=お願いしたらなんでも文章を書いてくれる!」と勘違いされてしまうこともしばしば。なにが言いたいかというと、ライターの仕事は、雑誌やWebの記事だけとも限らないのです。そう、友人・知人がクライアントになることもある……。
実際にわたし自身も友だちからのお願いで、何回か仕事を受けた経験があります。やっぱり仲のいい人、知っている人の場合、簡単に断れなかったりするんですよね。けれども断らなかったのが大きな間違いで、ほとんどの案件で泣きたくなるほど苦労しました。
とあるショップで働いている友だちから、ショップで配る冊子の文章を書いてほしいという依頼。「せっかく友だちが依頼してくれたんだから!」と引き受けてみると、スケジュールがころころ変わる、謎の赤字が入る、修正してもまた修正、変なこだわりで先に進まない……など、なかなか解放されずぐったり。とはいえ、“仲がいい”という関係性から強くも言えないんです。
わたし&知り合いのライターさんの体験談から、友人・知人からの困った傾向をまとめてみました。
あれれ?スケジュールかなり狂ってるぞ
「昨日戻しの日だったよね?まだかな?」「あ……、上司が休暇中だから、今日も明日も戻せないや。ごめんね」「了解!(え、先に言ってくれや)」。納品日、校正出し戻しなど、スケジュールを立てても、あまり気にされず進行してしまう場合も。
んんん?何言ってるんだ?こだわりがスゴイぞ
ある意味プロの仕事だと、「ここで妥協しなくてはいけない」というポイントがあると思います。けれども、他の業種の人たちの場合、その理解がない場合も。本当に些細なこと、変なこだわりで直しが発生。修正を何度も繰り返して、終着点が見えなくなってしまうケースが多々。
えー!本気で言ってる?ギャラに見あってないぞ
たとえば、1つの記事(取材あり、原稿1500文字程度)を仮に1万5000円だったとしましょう。たしかに1万5000円と聞くと、わりと高い金額に聞こえるかもしれません。けれども、1万5000円の内訳は、取材、原稿作成、原稿チェックなど、さまざまな作業もすべて込みの価格です。1日で終わるものではありません。他業種になってしまうと、ライターのギャラの価格相場がわからないため、「え、そんなするの?信じられない」となって、値切ってくることもあります。
自分のために、ふんわりお断りも大事です
【1】〜【3】で共通するのは、普段、編集やライターなどと関わっておらず、“業界のルール”のようなものがわかっていないということ。つまり、悪気があるわけではないんです。とはいえ、それってとてもたちが悪い。仮に、親切心から友だち価格で安く引き受けたとします。順調に進めばなにも文句はありませんが、なにかしらのトラブルが発生したらどうでしょう。モヤモヤイライラするけれど「友だちに文句言えない……」「どうしたらいいのだ」なんて負のスパイラル。
個人的には「今忙しくて」というようにふんわりお断りするのがベターだと思っていますが、関係性を重視して、断れないという人ももちろんいると思います。そんなときは、仕事を受ける前にきっちりと話し合っておくべき!!ライターという職業を理解してもらった方がいいように感じます。
スケジュールを作る場合、事前に誰のチェックが必要か、本当にこの進行で問題ないのか。ギャランティーは適正価格か、どこまでの作業を引き受けるのか……。あとでトラブルが起こらないよう、リスクヘッジできることはしっかりしておきましょう。
第9回 まとめ
プライベートと仕事をごちゃまぜにしない。友人・知人からの依頼は安請け合いせず、断ることが難しければリスクヘッジを。
次回のテーマは「編集さんについて考える」です。編集っていろんな人がいますよね〜。
- モコ(仮名)
- 編集、ライター
- 都内住みのしがない編集兼ライター。フリーランスになって早5年が経とうとしている。広告関係の案件を担当したり、編集部から依頼されて原稿を書いたり、いろいろする人。
2020.11.09 Mon