第4話 買う人の立場から | デザインってオモシロイ -MdN Design Interactive-
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様々なジャンルで活躍するデザイナーの来歴をたどるシリーズ。今回は藤田一寿さんを取材し、グラフィックデザイナーとして活躍する今日までの足跡をたどりま


第4話 買う人の立場から



藤田一寿さん

藤田一寿さん

──いまの仕事はCDジャケット、書籍が半々ぐらいですか?

藤田●自分の中で振り分けているわけではないのですが、お話をいただくのは大体そうなっていますね。

──洋楽の復刻盤を拝見すると、オビのデザインが昔の雰囲気で独特に感じます。

藤田●そうですか。意識はしてないですけれど、せっかくだから当時のイメージを踏襲しつつ、しっかり作りたいと思っています。

──ありものに付加価値をという気分も?

藤田●やっぱり買ってくれる人にわかりやすく、きれいに作りたいと思っていて。ビクターに在籍していた頃は、復刻に際して付録なども作ってましたね。

──そういう仕事で留意していること、あります?

藤田●僕自身、音楽が好きでCDをよく買いますから、やっぱり買う人の立場から考えたいです。

──HPでは一方、イラストもよくアップしてますが。

藤田●これまで書きためたものですが、自分のために描いていたものが多いですね。でもそういう結果、イラストの仕事も依頼が来ているので、最近また描き始めているところです。

──アクリルですか?

藤田●はい。いろんな手法ができますから。油絵みたいなタッチや、水彩画のようにも描くことができます。ジャケットにもたまに使われる場合があるんです。こちらから「どうですか?」と提案もするし、向こうから依頼があったり。

──心の中で、絵の先生は?

藤田●意識したことはないですね。というか画家の方の名前をあまり知らないので。でも有名な人はみんな好きですよ。アンディ・ウォーホールとか。題材にしているのも音楽、映画、エンターテインメントの世界が好きなので、堅いものは敬遠していますが。

──自分のデザイン、アートワークのポリシーは?

藤田●特にないんですよ(笑)。でも、きれいに作れればいい。もちろん作品に合うかが大事だし。あと、いろんな色を使うのが好きなので配色は楽しんで作っています。

──これからのビジョンは?

藤田●いま不況で、音楽も出版もさびしい時代ですよね。できればずっとCDや書籍、カタチに残るものを作りたいというこだわりはあります。仕事も目減りしているから、いろんな方に会って売り込みもしてますよ。

──書籍で自分のカラーを出すのは?

藤田●意識はしてます。でも、カラーを出しすぎるのもよくないと思っています。CDジャケットのオビもそうですが、メインになるものを殺してはならない。その中で自分の「色」を出せれば一番いいのですが。

──デザイナーとしての理念を聞こうと思ったのですが、それが答えですね。

藤田●ええ。バランス感覚が大事だと思います。それは自分の性格も含まれています。自分を押し出す人もいるし、あまり前に出ず引く人もいるでしょう。タイプで言ったら自分は押し出すほうではない。その中間ぐらいかな……あまり引きすぎるのも良くないと思うし。

──では、最後にアドバイスを。

藤田●この仕事は辛い事も多いのですが、完成したものを手にすると今までの苦労がチャラになる、充実感が得られる時がある。そんな快感を得られることも多いので、誇りというか愛着もある。そういうことを感じることができればいいのではないかと思います。


初めてペンタブレットで描いたデジタル作品キンクスの紙ジャケットCD

外人部隊のCD
ロン・ウッドの自伝

藤田さんの仕事より

上左/使い方がよくわからなかったのですが、初めてペンタブレットで描いたデジタル作品です。
上右/BMGとビクター、ソニーの3社から発売されたキンクスの紙ジャケットCD。
下左/ストレンジ・デイズ・レコードから発売された外人部隊のCD。かなり豪華なパッケージです。
下右/装幀を手がけたロン・ウッドの自伝(シンコー・ミュージック刊)。

今回で藤田一寿さんのインタビューは終了です。

(取材・文:増渕俊之 写真:FuGee)


藤田一寿さん

[プロフィール]

ふじた・かずひさ●1968年広島生まれ。武蔵野美術大学短期デザイン科卒業後、東急エージェンシーに入社。退社後、個人事務所、ビクター・デザインセンターでの勤務を経て独立。

http://www014.upp.so-net.ne.jp/kazworks/top.html




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