第3話 スーパーマイルド、パッケージリニューアル | デザインってオモシロイ -MdN Design Interactive-

第3話 スーパーマイルド、パッケージリニューアル

2024.5.3 FRI

【サイトリニューアル!】新サイトはこちらMdNについて

このアートディレクターに聞く
資生堂の表現に、新たな風を送り込む
第37回 丸橋桂


旬のアートディレクターをお迎えして、デザインする際の思考のプロセスと創作のスタンスに迫るコーナー。第36回目は資生堂のアートディレクター、丸橋桂 さん。第3話で注目するのは、資生堂のロングラン商品「スーパーマイルド」のパッケージリニューアルプロジェクト。新たなロゴとブランドカラーを軸に、商 品の魅力を再構築したプロジェクトに迫る。



第3話 スーパーマイルド、パッケージリニューアル
グラフィックデザイナーがパッケージを手がける意味



ロングセラー商品「スーパーマイルド」のパッケージ。ロゴを作り直し、訴求したい情報をシールに収めた新しいボトル









店頭用の広告。 新たに配合された「オーガニックハーブ」をやさしくキャッチーな色づかいで表現した新たな世界感





5年以上前にデザインされた以前のパッケージ








商品の世界感を包括的に形作る


ファミリーユースで広く知られる「スーパーマイルド」は、20年以上の歴史を持つロングセラー商品。その名の通り「やさしい(=mild)」のほかにも「シンプルでいいもの」といった性格を持つ商品で、多くのファンがいます。今回「純国産オーガニックハーブ」が配合されることに伴いパッケージが一新されることになりました。

このときは、以前からのボトルを流用したのですが、一番変化した部分は以前よりハッキリさせたロゴです。以前のロゴはもう少し細いラインのものでしたが、これをシンプルだけどハッキリとしたものにしたいと思いました。もうひとつはオーガニックハーブを思わせる色です。パッケージのみならず店頭グラフィックなどにも共通するのですが、かわいらしくもキャッチーな通称「ハーブグリーン」を活用することで、新しいスーパーマイルド感を形作りました。本来、パッケージのリニューアルでは、イメージを大きく変化させることによって既存の消費者が離れてしまうことを危惧するものですが、スーパーマイルドの場合はその心配はいりません。認知度が圧倒的に高いため、多少イメージが大きく変化しても平気なのです。

さらに、ロゴと色を際だたせるためにも、細々とボトル本体に直接印字されていた文字情報は整理し直し、強調したい情報についてはパッケージ前面に貼り付けられるシールに収めました。この場合、売り場では訴求したいことが目につきやすい上に、購入後はシールをはがすことで、すっきり洗練されたボトルだけが残ります。また、シールとして別パーツにすることによって、訴求したい情報を更新できるようになるのも大きな利点です。


グラフィックデザイナーがパッケージのデザインを手がけられるケースは、まだ一般的ではありませんが、この場合パッケージをデザインする人と、広告をデザインする人とが分断されないのが嬉しいですね。パッケージが完成してから、バトンタッチされて広告を作る場合と違って、最初から広告のことを想定して携われると、一部分だけを担う場合よりも包括的にスーパーマイルドの世界感を構築できますからね。
(取材・文:立古和智 人物写真:谷本夏)


次週、第4話は「PCM竹尾 らくがき帖」についてお送りします。こうご期待。




 

 

 

 

 

 

 


 

●丸橋桂(まるばしかつら)
東京藝術大学美術学部デザイン科卒。98年株式会社資生堂入社。08年JAGDA新人賞を受賞。ADC賞,ディスプレイデザイン優秀賞、ディスプレイ産業奨励賞代表的な仕事に整髪料「uno」の広告、ウインドウディスプレイ「GINZA」などがある。


twitter facebook このエントリーをはてなブックマークに追加 RSS
【サイトリニューアル!】新サイトはこちらMdNについて

この連載のすべての記事

アクセスランキング

8.30-9.5

MdN BOOKS|デザインの本

Pick upコンテンツ

現在