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第4回 Atom - もうひとつのフィードフォーマット

 

Web 上のコンテンツ配信のためのフィードフォーマットでは、これまで紹介してきた RSS が有名ですが、そのほかにも Atom と呼ばれる規格があります。今回は、Atom についての紹介です。

 


解説:柳田 浩平(株式会社フィードフォース)

 

 

 

 

 

 

 


[プロフィール]

やなぎた・こうへい●株式会社フィードフォース勤務。同社においてエンジニアとしてWebアプリケーションの開発に従事している。
好きな言語はRuby。日本Rubyの会所属。東京都在住

 

 

Atom の成り立ち

RSS が使われていくにつれ、その問題点も出てきました。第2回でも紹介したように、RSS の規格は複雑に分裂してしまいました。また、RSS 2.0 の仕様は凍結され、改善のための変更を加えることが不可能でした。

2003年6月、IBM の Sam Ruby は新しいシンジケーションフォーマットを策定すべく行動を開始します。その結果、Web 上のコンテンツの配信・編集のための仕様群としてまとめられたのが「Atom」であり、その中で RSS に替わる新しいフォーマットとして作られたのが「Atom 配信フォーマット (The Atom Syndication Format)」です。ちなみに歴史的には「Pie」「Echo」という名前が使われていた時期もありました。

Atom の規格の中には、フィードのフォーマットを定める「Atom 配信フォーマット」のほか、Web 上のコンテンツ編集のためのプロトコルである「Atom 出版プロトコル (The Atom Publishing Protocol)」、Web ページから Atom フィードを自動的に発見するための仕様である「Atom Feed Autodiscovery」があります。

Atom の目指すものとして、次の項目が挙げられています。
* 特定のベンダに依存しない
* 全ての人が自由に実装できる
* 誰でも自由に拡張できる
* 明確かつ完全に仕様が決められている
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Atom 配信フォーマットは、現在では IETF (Internet Engineering Task Force) によって仕様が管理されており、その仕様は RFC になっています。RFC とはインターネットに関するさまざまな仕様などがまとめられた文書です。
(RFC4287: http://www.ietf.org/rfc/rfc4287 )

IETF はインターネット技術の標準化を行なっている組織である

IETF はインターネット技術の標準化を行なっている組織である
?なお、フィードを読むためのアプリケーションは一般的に「RSS リーダ」と言いますが、多くの RSS リーダは RSS だけでなく、Atom 配信フォーマットにも対応しています。

 

Atom 配信フォーマットの構造

フィードに関する情報

Atom 配信フォーマットの構造を簡単に見てみましょう。Atom 配信フォーマットは RSS 同様、XML をベースとしたフォーマットです。ルート要素は feed 要素になります。
feed 要素の下には、「id 要素」「title 要素」「updated 要素」を必ず 1 つ含めなくてはなりません。それぞれの要素の意味は、以下のとおりです。

・id 要素
フィードを一意に決定する識別子を記述します。これは「IRI」である必要があるので、注意しましょう。「IRI」とは「URI」を拡張して Unicode を使えるようにしたもので、RFC3987で定義されています。
・title 要素フィードのタイトルを記述します。

・updated 要素
フィードの最終更新日時を記述します。

そのほか、feed 要素に任意に含めることのできる要素の例として、次のものがあります。

・author 要素
フィードの著者を表わします。

author 要素の中に直接著者を書くのではなく、author 要素の下に name 要素を作ってその中に著者名を記述します。author 要素の中には name 要素のほかに、uri 要素 (著者に関する IRI を記述する) とemail 要素 (著者に関するメールアドレスを記述する) を含めることができます。

・icon 要素
フィードのアイコン画像の IRI を記述します。

・rights 要素
フィードに関する著作権などの権利情報を記述します。

・subtitle 要素
フィードのサブタイトルを記述します。

エントリに関する情報
コンテンツ中の 1 エントリを表わすのが entry 要素です。
これは feed 要素の下に置かれます。entry 要素の下には、「id 要素」「title 要素」「updated 要素」を必ず 1 つ含めなくてはなりません。それぞれの要素の意味は、以下のとおりです。

・id 要素
エントリを一意に決定する識別子を記述します。これは IRI でなくてはなりません。

・title 要素
エントリのタイトルを記述します。

・updated 要素
エントリの最終更新日時を記述します。

そのほか、任意要素の例として以下のようなものがあります。
・author 要素
エントリの著者を表わします。書き方は feed 要素の中の author 要素と同じです。

・content 要素
エントリのコンテンツまたはコンテンツへのリンクを記述します。コンテンツへのリンクを記述する場合は、src 属性として記述します。

・published 要素
エントリの(最初の)作成日を記述します。

・summary 要素
エントリの概要を記述します。

仕様の詳細
Atom 配信フォーマットの完全な仕様については、次の文書を参照してください。
* RFC4287 http://www.ietf.org/rfc/rfc4287
* 有志による日本語訳 http://www.futomi.com/lecture/japanese/rfc4287.html


次回につづく
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